★ギルド長視点
「ああ、カイが選んだ最後の子の紙……って、まさか!」
女性職員がうんと頷いた。
そして、いくつかの光を消す。
「ゴブリン、30、負傷者あり、犠牲者なし……」
消えた光の場所と同じ場所が書かれた紙の部分を読み上げる。
「おい、こりゃ……」
ガルダが興奮気味に俺の顔を見た。
「犠牲者が減らせるな……」
今まではどうしても救援要請を誰かがギルドまで急いで伝えにきてそれから救援に向かうしかなかった。
時には、誰も救援に向かえる者がギルドにいなくて戻るのを待ち向かったため手遅れになってしまうこともあった。
それが、直接森の中にいる冒険者が救援要請をした者たちの場所に向かえるようになるならば、助けられることが増えるだろう。
助けてくれというだけではなく、魔物の種類や数も伝えることができるならばどれくらいのレベルの人間が何人救援に向かえばいいかもわかる。
ということは。
「救援要請用の他に救援に向かう人間側の暗号もあったほうがいいな。街道を道行く人間が使える物もあるといいだろう」
「となれば、火光で魔物避けだけではなく、LEDというのか?光の狼煙とでもいいのか、両方の意味で光属性の者が護衛任務に同行することに意味が出てくるな。森での魔物討伐にも必要だろう。耕作地を広げるにも、……そうだな見張り台の任務は今まで遠距離魔法で魔物を討伐できる者を2人組にしていたが、それも考え直す必要がありそうだ」
俺とガルドが興奮気味に話をしていると、女性職員も会話に加わった。
「光属性魔法の冒険者をリストアップします」
「ああ、すでに仕事をしていない者たちにも声をかけたいからそれも頼む」
「はい。それから、講習会の計画もしなければなりません」
「そうだな、暗号文はもう少し必要な用語を練ろう。救援物資に関しても必要な場合があるだろう。食料が尽きているとか」
「では職員各自に案を出してもらい、会議を行いましょう。準備します」
「頼む」
女性職員がお辞儀をして部屋を出ようとしたところにガルダが声をかけた。
「だが、仕事は明日にしろ。もう遅い。残業はほどほどに帰って休むように」
女性職員がバツの悪そうな顔をして小さく返事をして部屋を出て行った。あれは確実に夜を徹して仕事をしようとしていた顔だな。
「お前もだぞ」
ガルダが俺の頭に手を置いた。
「ちゃんと休め。それから、もっと大事なことが一つある」
ん?
今まで、休むこと以上に大切なことなんてガルダが言ったためしがなかったのに、いったいなんだ?
くふふふふー。
がんばれ光魔法!君の行きつく先は、レーザーばかりじゃないのだ。