お姉さんの魔法
子供たちを見送り、依頼達成報告をしようと倉庫の階段を上がる。
……レッドと美人の受付のお姉さんが仲睦まじく話をしている様子を想像して……。
うーんっ!私は嫁じゃないんだから、別にレッドが誰と仲良くしてたって関係ないんだから!
っていうか、もしかして……もしかしなくても、ずっとそばにいて欲しいとか、まるでくどき文句に聞こえるようなこと、他の人にも言ってるんだ。
ずっとギルドの職員として働いてほしいとかを、ずっとそばにいて欲しいみたいな勘違いするような言葉で伝えてるとかもありそう。
うん、別に、誰にでも同じような態度に違いない。
いやいや、受付のお姉さんは「二人でお話したいです」って言ってた。
もやっとしながら受付を見ると、お姉さんが笑顔で私の手を掴んだ。
あれ?レッドは?
きょろきょろしてみたけど姿がない。
「アリスさん、どうか私にもさっきの子供たちの使っていた魔法を教えてください!日光ではないですよね?」
「あ、そうなんです、よくわかりましたね?」
完成してから見たんじゃなかった?LEDって言ってるときにはいなかったよね?
「……私も、光属性なんです。だから、日光ではないのを不思議に思って。子供たちの魔力じゃ日光があんなにたくさん使えるわけもないですし……」
ああ、お姉さんも光属性なのか。
もし、レッドがお姉さんと親しいのなら……。魔法の属性で人を差別するような人じゃないってことだ。
それに、私に気をかけてくれるのは、恋人のお姉さんと同じ光属性だから、なのかもしれない。
いや、待て待て、恋人はカイでは?ん?あれ?どゆこと?
私、何か勘違いしてる?
してる。何か勘違いしてる!あわわわ!
混乱しながらも、お姉さんにLEDを教えてから、カイとサラちゃんと3人で屋敷に戻った。
屋敷は見違えるようだった。
「あちこち本当にきれいになったわねぇ。サラ、今日はありがとう。朝から依頼で回ってくれて」
「依頼に書かれていたのを無視して全部同じ調子にしかできなかったんですけど……」
「ああ、そうだったわね。逆にそれでなんか可能性が広がるかも。結果オーライよ。明かりのサブスク計画の宣伝になってるわ!」
サラちゃんが首を傾げた。
「明かりのサブスク?新しい明かりですか?」
「えーっと、何て言えばいいのかな。とりあえず、まだこれはギルド長にも相談しようと思ってるの……」
そうなるとサブスクの宣伝もかねて、明日は依頼を出してるところも出してないところもいろいろ回って試供品ならぬお試し体験としてLED付けて歩こうかな?子供たちのLED実践にもなるだろうし。あんなに早くみんないろいろできるようになると思ってなかったしなぁ。正直驚いた。
って、明日たくさんサンドイッチ作って持っていく約束してたんだ。
「サラ、明日も手伝ってもらえる?今日と同じように依頼をこなしてほしいの」
サラちゃんがどんっと胸を叩いた。
「任せてくださいっ!」




