子供の発想は天才
「光の文字で告白なんてロマンチックだ」
そして、サラちゃんの「好き」と書いた文字も選ばれる。
最後に残った子をカイが選んだ。
「他の人に選ばれなくてよかった。ボクは一番これが好きだ。よく100秒でこれだけたくさんの光の球を綺麗に並べられたね!」
絵にはなっていない。ただ、四角く光の玉を隙間なく並べただけの物。
「えへへ。これはね、紙の絵なんだよ!」
紙の絵?
ああ、なるほど。紙に絵をかくことが普通だから、紙を描くなんて思いつかなかった。子供って発想が自由だなぁ。
冒険者に登録できない8歳の子がうれしそうにカイに説明している。
「お兄ちゃん、見てて」
そういって、男の子が「消えろ」とLEDの光の玉を消していく。一つ、二つ、三つ……
「お、おお!すごい!なるほど!紙に絵を描く絵か!」
光の玉を消した場所が逆に浮かび上がり、紙に絵を描いているように見える。
「この発想は……なかった……天才か……!」
白黒反転というか、いや逆に反転を反転?あれだ。電光掲示板みたいな。電球がびっちり並んでいてついているところついてないところで文字や絵を表現する。
あれ?これって……。テレビみたいな?もっと小さくして、光の三原色で……って、そんな器用なことはできない!
人力には限界があるよね。でも、将来的には一人ではなく複数人で巨大モニターみたいな感じで、夜空に光の絵画を映し出すことができたりして?
そうだなぁ、例えば、異世界っぽくドラゴンとか。ふふっ。面白そうだわ。
「ギルド長っ!これが見せたかったのですね!」
職員の一人が興奮気味にレッドに話かけた。あの美人職員さんが、頬を紅潮させ、うるんだ目でレッドを見ている。
「お時間ください!あとで、二人でお話したいです」
手を握られてレッドが頷いた。
そして二人はそのまま倉庫を出て行った。
な、何よっ!いくら幻想的な景色にロマンティックな気分になったからって。
レッド……!私のこと嫁とか言いながら、ちゃっかり美人でグラマーな職員さんといい仲なんじゃないのっ!
ふ、ふんっ。べ、別にいいけどね。わ、私はあくまでも、筋肉を推してるんだから。推しに恋人がいるとかいないとかで推すのやめるようなにわかじゃないんだから!
「はい。じゃあ、今日はおしまい!依頼達成です。実験に付き合ってくれてありがとう。本当に助かったわ。明日はもよろしくね!」