コンテストスタート
「これくらい明るくするだけなら、まるっと1日は行けるんじゃない?魔力の多い子なら、1週間……いや、1か月……んー、実験しないと分からないけど……あ、そうそう、サブスクを導入したいって話もあとで聞いてくれる?」
「いや、待て、待て、サブスクってなんだ?日光が1日ってそんなの無理だろう。1週間ってなんだ?」
「あー、だから、これ、日光じゃないから。LEDっていうの。長持ちする明るい光。消費電力……消費魔力が少ない明かり」
レッドの顔から表情が抜け落ちた。
「……火光以外の第三の……いや、第四の光か……?このLEDというのは、火光よりも明るくて、火光よりも長持ちすると……?」
レッドが見上げている。
「あ、アリス様!おかえりなさい。もう皆準備万端ですよ!」
話声で気が付いたのか、サラちゃんが奥から出てきた。
「そう、じゃあ、大会を始めましょう」
サラちゃんと一緒に倉庫の奥に向かうと、レッドが後ろからついてきた。
「あっ」っと、倉庫整理の冒険者がまだギルド長に話が終わってないとばかりに小さく声を上げる。
「あなたたち、長時間倉庫の整理お疲れ様。少し休憩がてらあの子たちの光魔法を見てあげてくれない?」
何を言ってもレッドは見に来るのだろう。そうすれば冒険者たちが報告したいことを報告できない。
勝手なことを言ったかなとレッドの顔を見ると、レッドはハッとして倉庫整理の冒険者を振り返った。
「そうだな、休憩をしてくれ。観客がいた方が、これを渡すときも嬉しいだろう」
レッドが勲章もどきを見せる。
「ありがとう」
小さくお礼を言うと、レッドも小さな声でお礼を口にした。
「いや、俺こそありがとう。いろいろ教えられてばかりだ。こういうことはガルダも気が回らない」
こういうこととはどういうことだろう?まぁいいか。
「じゃあ、コンテスト……大会を始めましょう!私が数を数えるから。1から100まで数える間に完成させてね!じゃあ、よーい、スタート!いーち、にーい、さーん……」
「は?完成?小さな光をたくさん出してどうする気だ?LEDって聞こえるなっていうことはあれがLED……第四の光か。部屋を照らすわけではなく何をしているんだ?……思った場所に出す練習か?並べて出すのは大変だろう。ファイアーボールも思った場所に出したり飛ばしたりするにはそれなりの訓練が……いや、どれだけたくさんの数を出せるかの競争か?それとも大きさをそろえて出す訓練なのか?いずれも繊細なコントロールが必要で……」
うるさいなぁ。黙って見てられないのかな。
……でもそうか。大きさも位置も数も訓練が必要なんだ。ってことはだ、このお絵かきコンテストは案外いい訓練になるってことかな?一石二鳥?
「きゅーじゅきゅー、ひゃーくっ!はい、終了!」
14人の子供たちとサラちゃんの絵が出来上がった。
「うわー、みんなすごいよくできてるわね!」
パチパチパチと拍手をすると、私の拍手につられて倉庫整理の冒険者も手を叩いた。
「すごいなぁ」
「綺麗だ、光魔法ってこんなこともできるんだな!」
「宝石みたいだな」
「すごいぞお前ら!」
そして、手放しに子供たちを褒めてくれる。
うう、この冒険者さんたちいい人だ。
「ほら、レッド」
レッドも褒めてよと、横にいるレッドを肘でつつく。