★元ギルド長ガルダ視点★
本日三話目です
「こいっ!」
逃げ場を失った魔物を挑発すると、1匹飛び出してきた。それを皮切りに、一斉に魔物が動く。
「ばらばらに逃げられると倒しにくいがな、逃げなきゃ楽に倒せるんだよな!」
剣を振って次々に倒していく。
それを見て、火を恐れる魔物がなんとか火球の囲いを突破しようと突っ込んでいく。実際は火球ではなく火光へと。
「まずい、レッド!」
火光は熱くない。偽物の火だとばれて学習されては困る。
「分かってる」
レッドが火光にめがけて駆けていく魔物にファイアーボールをぶち当てた。
火光が危険だと思わせるためだ。
群れの掃討はあっという間に終わる。
「どうだ、レッド」
「ああ、これはずいぶん戦い方が楽になるな。火属性魔法持ちの魔力が大幅に節約できる。それに、これなら森を燃やす心配をせずに囲めるということだろう?」
うんと頷く。思わず笑いがこみ上げる。
レッドも嬉しそうだ。
「ジョン、光属性魔法の使える冒険者を集めて、火光を教えてやってくれ。それから火属性魔法使いとの連携訓練を行う」
レッドがジョンに声をかける。
「それから、実験も必要だぞ?魔物によっては、蛇のように熱で感知するやつもいるだろうからな。どの魔物に有効な手段なのか見極めが必要だ。それから、どれくらいの継続時間のある火光をいくつ出せるのかも知る必要があるな」
「ああ、それならアリスが昨日子供たちとそれぞれの魔力量を測る実験をしていたそうだ。基準を作ったとかなんとか。それで、魔力の多さが分かれば、あとは魔力の少ない者がいくつ出せるのかを元に大体分かるだろう」
ああまったく。
レッドの頭を乱暴に撫でる。
「規格外だなぁ」
レッドも規格外なら、嫁も規格外。
これも、似たもの夫婦ってやつか。
実に似合いの二人じゃないか。
まぁ、アリスの嬢ちゃんの方は、公爵の時のレッドと顔を合わせてはいないようだが。さっさと正体を明かしてよろしくやればいいのに。
「ジョン、忙しくなるが頼んだぞ!」
ジョンに声をかけると、涙ぐんでいるのが見えた。
「それから、下半身の強化も怠るなよ」
光属性魔法の冒険者たちが、攻撃魔法が使えないことにコンプレックスを大なり小なり感じていることは知っている。そのため人一倍努力をして体を鍛えていることも。ジョンもそうだ。
「お前の剣の腕に期待している」
今までの努力は無駄じゃない。今までのお前たちの生き方を俺は認めている。
攻撃魔法が使えようと使えまいと、光魔法が役立とうが立ちまいが、関係ない。光魔法が役に立つことになったからといって、評価を変えるような真似はしない。
だが、努力を怠らない彼らを光属性だからというだけで馬鹿にしていた者たちがどんな顔をするのか見るのは楽しみだ。
次から視点戻ります!
感想、ブクマ、いいねありがとうございます。
誤字報告ありがとうございます。反映したかしてないかメモで感想返してない状態のものがあります。感謝しております。
気が向きましたら広告下の★評価をぽちっとしてくださるとうれしいです!