ファイヤー!
「なぁアリス、いくつか聞きたいことがあるんだが」
「は、はいっ!なんでもお答えいたします!スリーサイズですか?」
半分裏返った声で答えると、レッドが私の手を取った。
「答えたくないことは答えなくていい。っていうかスリーサイズってなんだ?どうもろくでもないことのように思うのだが……?」
ちっ。代わりに腕周りが何センチで胸筋肉の厚みが何センチなのか聞き出そうと思っていたのに。なぜばれた。
「この火光はどれくらいの時間継続できる?月光や日光と比べてどうだ?」
「え?分かんない……日光よりは魔力はいらないのは確実だけど……えーっと、ちょっと待ってください【火光】」
蝋燭をイメージした大きさの光球を出す。蝋燭1つ分の明るさがたしか1ルクスだったはず。
「これを1とすると……【火光】【火光】」
次に松明をイメージした光球と暖炉をイメージした光球を出す。松明は20ルクスくらい。暖炉はどうだったかな。
ぶっちゃけ、明るさで火光は調整できない。もちろん、火の温度が高くなると青くなるとか白くなるとかいう知識はあるけど。「明かりとしての光」というイメージがしにくいからかな。
つまり、蝋燭と松明と暖炉、それぞれをイメージした火光の魔法は、サイズの違いがあるだけだ。指の先サイズ、手の平サイズ、一抱えサイズと。
で、太陽も燃えてる光なんだよね?なんと10万ルクスなんだって。ろうそくの10万倍。エネルギー量でどう違うのか分からないけれど……。松明の20ルクスが、明るさ的に太陽光の5000分の1なら、5000倍松明サイズの火光魔法が使えるはずってことになる。うーん。
「実験したことがないので、確かなことは言えませんが、この中くらいのサイズ松明サイズが仮定通りであれば日光の5000分の1の魔力で使えます」
ガルダ様が驚いた顔をしている。
「ご、5000倍?それは日光魔法1時間と同じだけの魔力で5000時間ということか?」
「えーっと、実験してみないとなんとも……」
前に消費魔力の体幹150倍くらいかなと思ったけど魔力量の違いイコール継続時間って単純な感じでもない。もっといろいろ実験してみない事には分からないことが多くて、仮説ばかりだ。
LEDよりも暗い月光は太陽の反射光なので可視光線……明るさ以外にも魔力が消費されてるってのもあるんだろうし。全然よくわからない。一番わかりやすい説明は「魔法はイメージ」これに尽きる……。火光は火の光だけど明るさだけを意識したからなのか熱エネルギーはなくて熱くないし。
「大きさによって必要な魔力も違ってきますし……?私もこの間初めて出しただけで」
サラちゃんに日光と月光以外に光があると教えるためにね。あの時サラちゃんが簡単に比較はしてたけど。
「特に役に立つ場面もないので、実験もしてないですし……」
正直、蝋燭や松明の明かりは前時代的すぎて光としては底辺なのよ。現代日本ではキャンドルの明かりに癒し効果がなんて言うけど、だったら光魔法じゃなくて素直に火をともした方がいいだろうし。だって、光魔法の火光には「ゆらぎ」がない。じーちちちみたいな音も、ぱちぱちっていう音もない。あんまり癒されないと思う。暗くて不便だけだと思う。
「役に立つ場面がない?そんなはずないだろう……月光より明るくて日光よりもずっと長く持つ光……。それに、火魔法にそっくりな……」
LEDがあるので……。いや、フィラメント光らせた電球ですら蝋燭以上より便利ですし。蛍光灯も……。
ガルダ様の筋肉からまるで湯気が立ち上っているかのように見える。いや、これは気?
何、興奮してる?え?いや、何が何だか……。火を見ると興奮する人っているけど、そっち?落ち着くタイプと興奮するタイプがいる。キャンプの焚火をじーっと見つめて癒されるタイプもあれば、火祭りって火を浴びるようにして大興奮するタイプも……。
ご覧いただきありがとうございます。
感想、なかなか返せなくて申し訳ありません。ありがたく拝見しております。