あのセリフをリアルに体験
自分たちって実はすごいんだぁ!と、自信を持つことができるでしょう?
と、子供たちの笑顔を期待したのに、微妙な顔をされた。
「でも、雨が続いたって、畑を照らすだけの魔法なんて使えないし」
あうっ。
子供たちは現実的だ。
「あのさ、じゃあ、家の中でも野菜を育てることができるの?」
8歳の子が一人ワクワクした顔で質問してきた。
「うん。たくさんは作れないけれど、プランター……何か器に土を入れて種をまいて、太陽の代わりに光を当てれば家の中でも育てることができるわよ!」
人工的な光を当てることによって、植物に季節感を勘違いさせて収穫時期をずらすことさえできるとか、すごいんだよ!
「家の中ではたくさん作れないかもしれないけど、寒い冬でも部屋の中なら暖炉もあるし、外よりは暖かいでしょう。雪も積もらないし、あとは光をたくさん当てれば野菜を育てることはできるわよ」
二十日大根みたいに割と短期間で収穫できる野菜がプランターを使って室内で育てられるだけでもいいよね。雪深い冬場なら、ほぼ保存食の生活になるのだろうし。新鮮な野菜って貴重じゃない?
「本当?だったら、僕孤児院で野菜育てたい!いっぱい光魔法使って、皆の役に立ちたいっ!」
うんうん。いい子だな。
「僕も、冬の間は家の中にみんなこもっちゃうから、店もしまっていて依頼もないし、家で育ててみるよ!」
「私は……魔力が弱いから、日光は1時間くらいしか使えないの。それでも育つかな……?」
くぅー!もっと喜んでよ。私よりもよほど慎重だなぁ。でももっともっと喜ばせてあげるわ!
光属性でよかったって絶対思わせてやるんだから!
「さて、もう食事は終わった?じゃあ、これから依頼をお願いね。実験の手伝い。実は1週間は毎日お願いするつもりなの。依頼料は今日と同じなんだけど、お願いできる?昼ご飯もつけるわ!」
子供たちが大きく頷いた。嬉しそうな顔を見て、私も嬉しくなる。
「じゃあ、まずは今日の実験は、皆の魔力がどれくらいなのか知りたいの。だから、今から私が出す日光と同じ明るさの日光を皆に出してもらいたいの。全力でね。それで、消えるまでの時間を計って、誰がどれくらいの魔力か知りたいのよ。いい?」
うんと頷いたのを見て、早速……。
日光魔法かぁ。逆に使ったことないしなぁ。どれくらいの明るさかな。LED10と同じくらいでいいかな。あんまり明るくすると「目がぁ!目がぁ!」ってなるよね。
よし。
「【日光】さぁ、皆も並んで、ありったけの魔力を込めて同じ明るさの日光魔法をお願い」
私の言葉、一列に並んだ子供たちが私が出した日光と同じ明るさで日光魔法を唱えた。
うわぁ!目がぁ!目がぁ!
ギルドの会議室に12個の明かりは多すぎたっ!
真夏のギラギラ照り付ける太陽の下にいるようだ。
「へ、部屋の外で……廊下から中を見ながら確かめましょう!!」
みんなに声をかけて慌てて外に出る。
そうか、日光は、日光なんだ……と、改めて感じた。そりゃ、服屋が日光で店の中照らさないよねぇ。服が日に焼けちゃうわ……。
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