現代知識、披露!
「あのね、皆が食べてるパンの材料は知ってる?」
「知ってる!麦!」
うんと頷く。
「じゃあ、麦を育てるには何が必要か分かる?」
「土と水と種だ!」
打てば響くように答えが帰って来る。元気でいい子たちだ。光属性というだけで冷遇されていいわけがない。
「他にも必要なんだけど、分かる?」
子供たちが考え始めた。それから一人の子が手を上げた。
「あと、草むしりして、魔物から守るんだ!世話が必要なんだろう!」
世話は確かに必要だけど……魔物から守るっていうのはこの世界、いえ、この領地ならではの答えにちょっとびっくりする。
やっぱり子供たちにも魔物は身近な存在なのだろう。孤児になったのだって、もしかしたら魔物関係の理由なのかも
「そうね、確かに。でも、まだ一つ大切なものを忘れてる」
えーなんだろうって、子供たちが顔を合わせながら考えている。
「分かりました、気温ですね?冬は麦は育てられない!」
いつの間にか追加の料理を買って踊って来たカイが会話に参加した。
「おお、兄ちゃんすごい!寒いと育たないもんな!」
うん。確かにそうだった。気温もいるんだ。雪深い土地……なんだっけか。……こりゃ一本取られたな。
だけど、私の求めている答えとは違うのだ。カイよ……。
「あのね、土が必要なのは、土から栄養を取るためなの。でも栄養のある水をあげれば実は土は必要じゃない」
「うそだー!」
水耕栽培とかあるから。嘘じゃないけど、土に植えるのが当たり前で、肥料の概念も少ないと信じられないよね。
「土よりももっと大切な物……水と同じくらい大切な物をみんな忘れてるわ」
「え~そんなのあるの?」
「今、私が出してあげる【LED】」
テーブルの頭上にLEDの光を出す。
「え?光魔法?」
「なんで麦と関係あるんだ?」
それはね、光合成と言って、光がないと植物は成長できなくて……あ、光合成で思い出した。二酸化炭素も必要だな。って、さすがにそれは説明しがたいぞ?そもそも空気の気体の概念から教えないと駄目じゃない?
「そうだ。意味が分からない」
うう、どう説明すれば……。
「私……分かった。雨ばっかり降った年は、作物が育たなくて大変だって」
賢い!さっき計算をささっとした女の子だ。12歳くらいかな?
この子も貧しい身なりで痩せてはいるのに。どこかで計算や知識を学ぶことができたのだろうか?
「そうだ!確かに、日陰よりも日向の方が良く育つよな!」
うんうん。
「そう、光が無ければ、パンもジャガイモも食べられないのよ!それくらい、光ってすごいの!それを作り出せる私たちは、役立たずなんかじゃないのよ!」
どや。
感動の一瞬でしょう?