サラの記憶
……出ない。
どうして!
でも火光もすぐには出せなかったよね。なんだろう、具体的なイメージがしにくいのかな。
「えっと、LEDというのは発光ダイオード……半導体がどうので……あー、えっと、光るクラゲという生き物から青色ダイオードが作れるようになって」
サラちゃんがぽんっと手を打った。
「光る生き物、蛍とを集めた光ってことですか?」
「うーん、蛍をそのまま集めたんじゃなくて、光る成分を集めて加工してそれに電圧をかけると光るというか……あー」
私自身がよくわかってないのに、こんなあやふやに説明されたって分かるわけないよね。
蛍の光か……。頭の中で音楽が流れだした。光魔法改革終了。閉店ガラガラ。またのご来店をお待ちしております。
サラちゃんが私が出したLEDの光の玉をじーっと見上げている。
サラちゃんの呪文で私が出したLEDの隣に同じような光の玉が出現した。
「できました!」
できるんかい!
「えーっと。【月光】【LED】これで、消費魔力比べればいいですよね」
そして、もうしっかり私が次に知りたいことをを先取りして実験始めるし。
恐ろしい子。なんて賢い子なのかしら。
というわけで。
MPという項目があるならば。体感としてLED:消費MP1~4、火光:消費MP8、月光:消費MP15、日光:150といった感じのようだ。
もちろん、それぞれ、明るさ、大きさ、継続時間で変動するけれど。
同じ明るさで同じ時間の日光とLEDでは150倍も消費魔力が違うんじゃぁ、そりゃぁ……ねぇ?
電球や蛍光灯でも何十倍も違うわけで……。
サラちゃんは魔力が多い方だといっていたけど、他の光属性魔法の使い手はもっと日光も月光も継続時間も少ないわけだよね。
……うん。冬場は暖炉の明かりで十分って感じになるよね。昼間も窓からの光で大丈夫ってなるよね。
でも、やっぱり、明るさになれると暗いのいやだよぉ!
いや、暗い方がいい場合もあるのかな?汚れが目立たないから掃除が行き届かなかくても気にならないとか?
「ねぇ、サラ、部屋の中は明るすぎない方がいいのかな?王都だと、窓がもっと大きくて昼間なら部屋の中ももっと明るかったんだよ。街のお店もそう。明るいお店で商品を選び、明るいお店でご飯を食べたりしてたの」
特に、日本人の記憶があると食事は目で食べるというし。暗いだけで食事の魅力を損なうと思うんだけどな。
「えっと……明るい方がいいと思います」
サラの目が泳ぐ。
あいまいな答えになるのはどうしてだろう?
マーサがサラの肩をぽんっと慰めるようにたたきながら私を見た。
「もっと明るくできないのか!暗いぞ役立たずなんていう人もいます。裏を返せば、明るくしてほしい、明るい方がいいということでしょう」
くっ。サラちゃんはバカにされた記憶を思い出したのか。




