勝負
「騎士って、そもそも女性を守るためにいるのでは?容赦しないって、そもそも騎士道精神に背いてない?」
思わず冷たい視線で突っ込みを入れてしまった。
「だ、黙れ!お前のような女など守る価値もない!」
ちょっと怒らせすぎたか。騎士が顔を真っ赤にして腕を振り上げた。
ひるむことなく、振り上げた男の顔をそのまま見る。
殴られるのはいやだけどさ。慣れてるからどうってことない。私の大事な筋肉を守るためなら小さな犠牲よ。
と、思ったら、振り上げられた手を光属性の筋肉様がつかんだ。
「僕をバカにするのはかまわない。だが、女性に手を挙げるのは許せない」
きゃぁ!筋肉様素敵!
「はっ、うるせーな!」
「何が許せないだ!」
別の騎士が筋肉様にけりを入れた。
ゆるっせなぁい!
堪忍袋の緒が切れましたぁ!……いや、もうずっと切れてるけどさ。
「何様よ、たかが攻撃魔法が使えるからって!攻撃魔法も剣も使えない私でも、あんたたちなんて簡単に跪かせることができるのよ?」
人差し指を伸ばし、筋肉様に手をつかまれている騎士に向けて突き出した。
「はぁ?この俺様を跪かせるだと?できるもんならやってみろよ!」
「やってやるわよ!ただし、ずるいぞって後出しで言わないわよね?あらかじめ私は、攻撃魔法も剣も使えないって言ったんだから、それ以外の手段を使うわよ?」
「ははは、やってみろよ、やれるもんならな!」
方法は2つ頭に浮かんでいる。
一つ目が失敗したら、二つ目を使えばいい。言質はとった。どんな手を使ったっていいんでしょう?
ちなみに2つ目は最終手段。この紋どころが目に入らぬかへへー作戦だ。公爵夫人だぞ図が高ーいで、跪くがよい!ってやってやるんだからね!くくくっ。完全勝利は間違いないわ!
筋肉様が驚いた顔をしている。
「後ろに下がっていて」
筋肉様を後ろに下がらせると、赤髪騎士の目の前に立った。
「謝るなら今のうちよ?」
「はっ、謝るのはそっちだろ?どうやって俺に膝をつかせるつもりだ?ああ?もしできなかったら、分かってんだろうな?生意気な口をきいたことを後悔させて」
はいはい。1つめ失敗しても2つめがあるから、行きますよ。
「【閃光弾】」
目をつむり、片手で目を覆う。
これ、あんまり近くで使うと失明しちゃうもってうわさもある。
「うわっ!」
悲鳴が上がった。
「目が、目がぁ!」
うん、そのセリフ、嫌いじゃない。
目を開くと、赤髪の騎士もほかの二人も目を手で抑えている。
「くそっ、見えねぇ」
いまだ!
赤髪の騎士の後ろに回る。
「それー!」
必殺、膝カックン!
かくんとなった赤髪騎士の背中を押せば、簡単に倒れて膝をついた。
……
一応ね、あれよ。
このもんどころがめにはいらぬか!はご存じ?
しらないひとのための簡単な説明。
正体隠した王族みたいな偉い人が、正体を明かして悪人を懲らしめるのね。
王族の証の印が入ったものを護衛が見せるのよ。
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