サラ
「あ、あのリリアリス様はどれだけの魔力をお持ちなのですか?うちの娘も魔力は多い方ですが、それでも日光魔法は1つか2つ、3時間ほどしか持ちません。月光魔法であれば、30ほど5時間は持ちますが……」
待って、待って、めちゃめちゃ情報が多すぎて。
えーっと、うちの娘って言った?マーサには息子のカイの他にも子供がいたのね。
しかも、私と同じ光属性魔法の使い手ってこと?
それから、日光とか月光とかギルドの依頼書にも書いてあったけど、明るい魔法を日光、暗い魔法を月光っていうのよね?依頼書の1時間だとか2時間だとか2つだとか3つだとか……あれってもしかして……。日光1つ1時間とかで依頼されてたけど、1時間だけしかいらないというわけじゃなくて、魔力が多くない人にとっては、それだけで精一杯だから?日光5時間なんて依頼しても、誰にも達成できないってこと?
いやいや、確かに私は魔力がかなり多いけど……。差がありすぎない?
首をかしげる。
何か理由があるはずだよね……?
光魔法は、魔力の量で明るさと継続時間が変わる。魔力はまるで電力のような感じで、LEDにすると電力消費量が減って少ない魔力で長時間……。
ん?
ん?ん?
「マーサ、ちょっと、娘さん呼んでもらっていい?」
まさか、まさか、まさか……。
「およびでしょうか、リリアリス様……」
中学生くらいのマーサに似たちょっとふっくらしたかわいい女の子が泣きそうな顔で私の前に立った。
いや、なんで泣きそう?
「サラ、奥様の前ではちゃんと笑顔を作りなさい」
マーサがサラの耳元でつぶやいた。
いや、丸聞こえ。
サラっていうのか。っていうか、なんで泣きそう?
「私、いじめないよ?」
使用人たちが「世話するのめんどくさい」とか愚痴っていたのを思い出す。「光属性の嫁もらって旦那様かわいそう」みたいなことも言ってた。
ってことは、使用人たちは光属性の人間を馬鹿にしているってことだよね?
サラも虐められてた?
サラは頑張って私に笑顔を向けようとして口角を上げたものの、フルフルと震え、そして目からはぼとぼとと涙が落ち始めた。
「え?い、いじめないよ?大丈夫だから、泣かない、泣かないでね?」
どうして~!
もしかして、私、悪役顔?
鏡、鏡!って、鏡を見るまでもなく、ユメリアとは一卵性の双子なのだから私の方がやせっぽちで栄養行き届いてなくて肌も髪もボロボロだけど、基本の顔の作りは同じ。悪役顔じゃなくてヒロイン顔だよ?怖い顔じゃないよ?ね?
「も、申し訳ございませ……ん。あの、でも、私、一生懸命仕事をしますから、辞めさせないでください!お屋敷で働かせてください!」
ぽんっと、手を叩く。
私ったら、またやらかしたわ!