肉はハンバーグか唐揚げかなんてのはそこそこに使える肉の話だ!
「え?」
「水魔法使いを呼んで、洗い方を教えるわ。洗える場所も準備してほしいのだけど」
というわけで、調理場の隅っこ。解体とかもする場所で、モツを洗ってもらう。
まずは軽く汚れを落としてもらい、水を変えてもみ洗い。水を変えつつ何度か洗い、それから筒状の腸に水魔法で勢いよく水を流してもらう。これ大事。水をこうやって流水にして流せるからこそしっかり洗えるってなもんよ。
あ、ちなみに私は口しか出させてもらえない。ドレスが汚れるといけませんのでって……。
うえーん。じゃあ着替えていいってマーサに顔を向けたら、無言で微笑まれた。あの顔は絶対ダメって顔だ。
「このペラペラの薄いものも食べるのですか?」
下っ端調理人がぴろーんと持ち上げた薄い膜……。
もつ鍋にあんなの入ってるの見たことない。さすがに捨てちゃう部位?
「リリアリス様、そろそろ塩水につけた肉は大丈夫でしょうか?」
考えているところに声がかけられた。
そうだった。ワーウルフの肉の臭みを取りたくて2時間くらい塩水につけてとお願いしたんだ。
「えっと、とりあえず水洗いの続きをお願いね。また後で……」
実食して食べられる食べられないを確認するのが一番早いかな?後でまとめて焼くか煮るかして皆にも食べてもらって今後に生かしてもらおうかな。
と、後回しにしてワーウルフの肉の様子を見に行く。
「えっと、私、こんなに食べられないですよ?」
私の分だけをお願いしたはずなのに。すごい量の肉が塩水につけられていた。
「リリアリス様の仰るようにすればきっと間違いないですから」
「そうです、領地のために命がけで戦ってくれる騎士への差し入れです。できるだけおいしいものを差し入れられればと」
うっ。責任重大。っていうか信用しすぎだよ~。
「とりあえず、小さくそいで1枚焼いてもらえる?臭みが取れたか確認したいの」
「分かりました!」
料理長の指示で料理人が肉を数枚薄く切って、焼く。
1枚でいいのにと思ってみていたら、焼いた肉を私に1枚。他のは料理長と料理人が食べるようだった。
そりゃそっか。確認したいよね。
パクリと口に入れる。
んー、何か胃からせりあがりそうなほどの臭みはなくなった。
なんか安い肉を買ってきて消費期限ぎりぎりまで冷蔵庫で熟した傷んでいるわけじゃないけどすごく臭くなった肉みたいな感じで全然食べられなくはない。問題は筋張った硬さかな。いっそ軟骨みたいなこりこり感を楽しむと思えばと思ったけど、なんか違う……。
筋切りして焼けばいいのか。筋切りしてしっかりハーブを刷り込んで……。
ハーブ類は、チキンナゲット作った時の料理長特性のハーブ。あれを使えばこれくらいの臭みなら問題ないのでは?
……ごまかすためにもう少し辛みを入れる?スパイシーな感じに。
「料理長、ちょっとピリッとするようなもの……高価なスパイスじゃなくて気軽に使えるもので何かないかしら?」
胡椒っぽいものは高そうだけど唐辛子っぽい物なら……辛子でもマスタードでもいいけど。何かこう刺激系のってないのかな?
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