敷きもふもふ
あ、そうですか。火魔法で焼け焦げてるか剣で切り裂かれているかでほとんど使えない……。
なるほど。そして、見栄えの悪い皮でも厳しい冬を乗り越えるために領内で消費。
うんうん、ブーツとかいるよね。消耗品だよね。皮の防具も消耗品だよね。そっか。
肉と一緒で、命がけで素材を採りに行くようなことはないと。
ですよね。王都に入ってくる毛皮とか貴族はミンクみたいな上質なものだったし。
あれ?
どっかで養殖してるんじゃないかなって。前世の記憶を思い出すと、当然そうする領地があるよなぁと。
って、話がそれた。毛皮はブーツや防具にするとして、加工前の物は避難所で保管ってことでいいんじゃないかな。敷いて使う。よし。提案事項。紙にメモを……。
あぶない。日本語で書くところだった。
こっちの世界の文字よりも日本語の文字が先に出そうになるのって、単に日本語で読み書きした量が、この国の文字を読み書きした量より圧倒的に多いからなんだよね……。
伯爵令嬢としてちゃんと扱われていたころに基本的な読み書きは教えられてて助かったよ。そのあと使用人扱いになってからは紙とペンから遠ざかる生活だった。本を読むことなんてなく、時々書類仕事など手伝わされるときに読み書きしてただけだものねぇ。
あ、そうそう、手紙なんて旦那様から久しぶりにもらったくらいでもらうことなかったし。
「愛することはない」って内容が久しぶりにもらった手紙って、一周回って素敵な思い出。
うふふ。
「日本語で書いておけば、誰に見られてもわからないメモとしては有効だよね……いや、見られたくない日記とかに日本語はいいかもしれない」
でも、逆に見つかったらどこの文字だとか。もしかしたらスパイじゃないのかとか、悪魔信仰してるとか思われたらたまったもんじゃないから、やめとこう。
怖い怖い。
……魔物肉をもしおいしく食べられてしまったら、それこそ王都の人間から悪魔信仰をしているとか言われそうだ。
日本語で書いた日記とかあったらこれが証拠だとか……言われそう。
……って言われないためには、日本語を不用意に書かない。
それから、悪魔信仰と疑われないためには魔物肉がおいしかったら、それをみんなにも食べさせちゃうのがいいよね。
この領地の人はやむに已まれぬ事情で食べることはあるから、魔物肉を食べても悪魔なんていうような人はいないだろうけど。
っていうか、そういえばこの領地って思ったより人口いたよね。
食糧問題大丈夫なのかなと思ってマーサに聞いたら山だか森だかちょっと挙動不審な答え方してなかった?
それって、普段から魔物肉を食べているということなのかもしれない。
街を守るために討伐した魔物の肉を食べるのは普通のことの可能性。
だって、死体の処理も、血が別の魔物を寄せ付けるかもしれないとか考えると大変なことだよね?
穴を掘って埋めるにしろ焼きつくすにしろ……。食べてますって言われたほうが分かりやすい。
まぁ、私はそういう事情とかに想像力が働くけど。
王都の貴族とかぼんくらたちは想像力なさそうだよね。
ご覧いただきありがとうございます。
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