アルフレッド視点<前書き読んでね必須>
ep.130 言いくるめられるの続きです。
131ep.130 言いくるめられるの続きです。
131~134(なろう版の結末)とは世界軸が違いますので、まだ続きが読みたい人は131~134を忘れてお楽しみください。
もうお腹いっぱいだという人は134で読み終えてください。★評価していただけると嬉しいです
<前書き読んでね必須>
「アルフレッド様!って、どうしたんですか、その姿……?」
仮面を外し騎士の訓練所へと向かう。足を踏み入れたところで団長に声をかけられた。
「いや、ちょっと事情があってな……。うん、いや、これには助かった。マントで覆っているだけではバレるところだった」
柔らかな布を何重にも巻いたおなかをぽんぽんとたたく。
「で、あの侍女は何をしているんだ?」
一人の侍女が、副団長と話をしていた。いや、詰め寄ってるようだ。
「いや、それが……。水魔法でも戦えるので弟を騎士に入れてほしいと言いに来ていて……」
「は?剣の腕が立てば魔法の属性関係なく騎士団に所属できるだろう?」
ポリポリと団長がほほをかいた。
「いやー、それが剣の腕はいまいちで」
「なぜ知ってるんだ?」
「……3年連続で試験を受けに来ています。入団資格が得られる14歳から」
なるほど。
「熱心だが……鍛えてもどうにもならないのか?」
「魔法攻撃と併用できれば十分な腕があるのですが、剣だけとなるとあまり伸びしろも期待できるようなものではなく……」
そうか。水属性の者はすでに騎士団には十分な人数がいる。欠員がいれば、飲み水を出してもらうために入団も許可できるのだろうが……。
「話をしてみよう」
「アルフレッド様が?」
侍女と副団長の元へと近づく。
「とにかく、見てくださいっ!水魔法で攻撃できるんですっ」
「確かに、全く攻撃できないわけではないだろう。魔物の気を引くために水をぶつけるとか、視界を一瞬奪うために目にぶつけるとかはできるのは知っているが……」
それならば、今いる水属性の者たちで十分事足りる。
攻撃力があるものを一人でも増やそうとすれば、やはり攻撃に特化した火属性魔法か、魔法以外の腕が立つ者でないと無理だ。特に今はスタンピードが起きる危険が高まっている。
「話は聞いたよ」
「アルフレッド様!」
声をかけると、侍女が振り返った。
「残念だが、副団長の言う通りだ……」
がっかりした顔を見せるだろうと思ったが、侍女は強い光を目に宿してまっすぐ俺の顔を見る。
弟思いの姉の姿に複雑な気持ちが芽生える。家族のために、人はここまで一生懸命なれるんだな。
リリアリスにも心配する家族がいるのだろうな……。どんなにここにいてほしいと思っていても……。
真っ白な顔で意識を失っていたリリアリス……いや、アリスを思い出す。
死んでしまうかと思った。
「リリアリス様に教えていただきました」
「は?リリアリスがなんと?」
まさか、無責任に頑張れば大丈夫だとか、頼めばいいとか言ったりしてないよな?私も戦うと言い出したくらいだ。
魔物の脅威を軽く考えているのかもしれない。
「副団長と戦わせてください」
侍女が意外なことを口にする。
副団長が俺の顔を困ったように見た。
「負けたら、諦めると誓ってくれるか?」
うんと侍女がうなづく。
それを見て副団長に模擬試合の許可を出した。
「では弟を呼んできなさい」
副団長の言葉に侍女が首を横に振る。
「水魔法で戦えると証明は私がします。一戦お願いします」
は?




