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カイ登場

「まるで……冒険者の女性のようですわね」

 ん?

「今、マーサ、何て?」

「いえ、あの……男の人のようにズボンを履いて髪の毛をひと結びにするのは冒険者の女性くらいで……服装の話で決してリリアリア様が冒険者みたいだと言っているわけではなくて……」

「冒険者がいるのね?」

 なんてことでしょう!冒険者がいる世界だっただなんて!ワクワク!ワクワク!

「ということは冒険者が登録する組織……ギルドとかもあるのかしら?冒険者の仕事は依頼をこなすの?それともダンジョンでドロップ品や素材を集めるの?」

 魔法があるだけじゃない世界だ!ワクワクが止まらない。

 って、光魔法じゃダンジョンは無理か?くぅ!こんなことなら剣術とか身につけたのに!いや、今からでも……。

「え?あの、ギルドはありますが、ダンジョンとは?」

 ダンジョンはなかったかぁ!ステータスもオープンしなかったし、ゲーム的な世界とはいかなかったわ!

 そういえば魔物はダンジョンじゃないのに普通に出てるもんねぇ。しかも、ドロップ品に価値があるなら魔物がたくさん出る土地を流刑地扱いにしたりしないだろうし。

「王都で流行っている、物語に……出てきたの……そ、それで、冒険者に憧れていて」

「そうでしたのですね。王都では冒険者の物語が……」

 なんとか誤魔化せた!

 朝食をしっかり食べた後、マーサが一人の少年を連れて来た。

 高校生くらいの少年だ。……ってことは私と同じくらいの年齢ってことか。

「息子のカイです」

 あー、言われてみれば、マーサに目元が似ている。優しそうな少し垂れた茶色の瞳。茶色の髪もマーサと同じ色だ。

「カイ、護衛と街の案内よろしくね?」

 優しそうな眼をしているのに、にこりとも笑わない。

「カイ、リリアリス様にご挨拶をしなさい」

 マーサの隣に並ぶカイが、私を値踏みするように上から下まで見ている。

「母さん、奥様の護衛をという話でしたが、誰ですか?」 

 マーサが慌ててカイの頭をこつんとたたいた。

「こちらがリリアリス様です!申し訳ありませんっ」

「は?え?この女性が奥様?え?でも……それとも王都に住む女はみんなそんな恰好するのですか?」

 無表情だったのが、一気に表情豊かになった。こう、なんていうか……。犬ころ系だ。目まぐるしくくるくると視線が動いて耳やしっぽがあれブンブンピコピコせわしなく動く……あ、犬ころじゃない。子犬だ!

「そうよ。これが最先端。夫の幼少期の服を着るのが流行っているの」

 私の言葉に、カイが再度、私の姿を見た。ああ、いけない。つい、かまい倒したくなる。

 もふもふ枠だ!いや、実際になでくりまわすわけにはいかないから、脳内で犬耳としっぽをつけたカイを動かして脳内でもふる。

 オタク歴30年のベテランともなれば造作もないこと。脳内二次創作なぞお手の物!

「そっか!王都はそんなのが流行してるんですね。確かに、その服見覚えがある。昔アルフレッド様が着てたやつだ」

 うんうんと納得している。

「ぷっ」

 だめだ。思わず笑ってしまった。可愛すぎるだろう。信じちゃうか?どんな流行りだ!

「ごめん、カイ。嘘。流行ってなんかないよ。みんなドレス着てるわ。私の場合はドレスがないし、街に出るなら動きやすい服がいいでしょう?買いに行く服は普通に女性用のものよ」

 空っぽのクローゼットを指さして、運び込まれた衣装箱を指さしてにこりと笑った。

「うっ!嘘……騙したんですね」

 ぷぅっと、カイがほっぺを膨らませた。

「こ、こら、カイ!言葉遣いにもう少し気をつけなさい!相手はリリアリス様ですよっ!」

「マーサ、かまわないわ。カイも。街中では他の人にお嬢様……奥様だとわからないほうが安全でしょうからあまりかしこまらないほうがいいわ。それから、私のことはアリスと呼んでね」

 カイが戸惑っている。

「だましてごめんなさい。じゃあ、案内よろしくね」

 謝って笑いかけると、すぐにカイは期限を直してくれた。

「はい!では行きましょう!」

 脳内では、お散歩に張り切っていく大型犬がしっぽを振っている姿が思い浮かんだ。

 くっ。かわいいだろ!




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「研ぎ師ミチェは頑丈です~転生幼女の大冒険~」 こちらの作品もよろしくお願いします。てとてと歩いてぽてっと転びすぴぴと寝ます。
― 新着の感想 ―
冒頭辺り 服装の話しで決してリリアリア様が、ってとこ リリアリス様でしょ。 後↓の人達が何度も指摘してる 数話前から誤字やら色々目立つね... 予測変換が仕事してないねって事かな?
期限→機嫌 とお知らせしたかったのですが 誤字報告機能は受付停止されているのですね
[一言] 誤字報告が使用できないようなので、ここに。 >>謝って笑いかけると、すぐにカイは期限を直してくれた。 謝って笑いかけると、すぐにカイは機嫌を直してくれた。
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