サラの評判
それから2時間
なんて、時間がかかるんだろう……。
「まぁ、なんて素敵なんでしょう!」
「本当に!部屋が明るいだけで、化粧もはかどりますね!」
いつの間には、部屋には別の侍女もいた。サラとマーサのほかに2人。リリアリス様を飾り立てる隊助っ人らしい。何それ。
「そうなんですよ屋敷の中が明かるいだけで、夜勤も楽しみになりました。リリアリス様ありがとうございます」
「夜勤が楽しみ?」
赤毛で少しそばかすの浮いた20歳前後の侍女が恥ずかしそうに口を開く。
「あの、私実は暗いところが怖くて。宿舎なら相部屋なので暗くても誰か人がいるので平気なんですけれど……。夜勤だとどうしても一人で暗いところに控えていなくてはいけないことも多くて……」
ああ、そうなんだ。
宿舎か……。
「サラ、光属性の使用人って他にいればLEDを教えてあげて。宿舎も明るくしてあげて。もちろん寝るときは暗くなるようにはしてね」
私の言葉に、赤毛の侍女が息をのんだ。
「そんなっ、使用人の部屋まで明るくしていただくなんて、そんな贅沢なことっ」
フルフルと、首を横に振っている。
「贅沢でもなんでもないわ。水属性の人が水を出してくれるように、火属性の人が火をつけてくれるように……私たち光属性の人間が明るくするだけ。当たり前のことをするだけだもの。むしろ……贅沢だなんて、褒められた気分だわ。ありがとう」
明るくするだけで無駄な魔法。光魔法なんてハズレだ。使えない……。
そんな風に言われていたのに。
「あ、あの……お屋敷が明るくなって、物を探しやすくなりましたし、怪我をすることも少なくなったと……皆感謝しています!」
ああ、暗いと探し物しにくいもんねぇ。怪我は段差が見えなくて転ぶとか釘が出ていても気が付かずに引っ掛けるとかそういうことかな?昔は爪は夜に切るのはだめだと親に教育されたとかいうもんね。暗いか指も切っちゃうからって理由だったはずだ。
赤毛の侍女の言葉に、サラとマーサさんまでもちょっと涙ぐんでる。
「リリアリス様、宿舎も明るくしていいなら、使用人通路も明るくしていいですか?」
サラが涙ぐんでいるのをごまかすように明るい声を出した。
「もちろんよ。明るいほうが便利な場所は全部明るくしちゃえばいいよ。あ、もちろん魔力が切れそうなのに無理して魔法を使い続ける必要はないからね?」
サラがポンっと自分の胸をたたいた。
「大丈夫です!LEDならまだまだ全然明るくできます!明るさを暗めにすればさらにたくさん出せますし!そうだ、枕元だけの小さな明るいLEDも作れるよ!」
サラが赤毛の侍女に笑いかけた。
「え?明るさを暗めに?小さな明るい?」
赤毛の侍女がびっくりしている。
「あ、そっか。リリアリス様が教えてくれたの。月光や日光は、魔力を込める量で継続時間だけしか調整できなかった
けど、LEDは大きさも明るさも調整できるんだよ。それに月光のように小さな魔力で日光のように明るくできるの。ただ……まだ魔力量の調整ができなくて、何時間ってことができないんだ」
サラが赤毛の侍女に自慢げに説明している。
「へぇ~すごいね。いろいろできるんだ。いいなぁ。水魔法って、結局水を出す量が調整できるだけだもん」
「え?そうだっけ?攻撃に使えたり……」
赤毛の侍女が首を傾げた。
「水を、攻撃にですか?そりゃ確かに、戦闘中に突然水を浴びせられたらひるんだりはするでしょうけど……」
うーんと考えている横でサラがポンと手を打つ。