隠し事
「というわけで、私は数日ギルドで冒険者に火光魔法を教えに行ってきます。子供たちへの伝言があれば」
「サラ、私が行くわ!私が教えるし!」
光属性の冒険者に光魔法の指導をする!筋肉に囲まれた楽しい仕事なのでは?だって、光属性魔法の冒険者と言えば、戦闘に魔法が使えない分体を鍛えている!
いや、自己流な鍛え方してバランス悪い可能性もあるから、そこは徹底指導させてもらって。ついでに筋肉改造し、理想的な筋肉持ちを増やしていく。
完璧な計画ね!
「いえ、あの、私が頼まれたので……それにリリアリス様はまだお体が……」
サラが動揺しているのか、ちょっとしどろもどろ答える。
まさか、私の野望を阻止しようとして必死になっていてしどろもどろになっているのだろうか?
なぜ、ばれた?
「もう、体は大丈夫よ!それに、頼んだのってギルド長よね?サラの雇い主は公爵様でしょう?勝手なことはできないんじゃない?」
「え?あっ」
サラが口元を押える。
私が許可したとか私がお願いしたと言えば、まぁ許されるんだろうけど。私は、サラ一人においしい仕事……げふんごふん。
「私は、サラ一人にギルドへ行かせるのは心配だから許可しないわよ?」
カイを護衛代わりに連れてくのかな?とすると、さらに公爵様にお伺いが必要なならない?
「あ、いえ、アルフレッド様のご指示で……」
サラの視線が心なしか泳いでいる。どうしたのだろう?
私の野望を阻止できずに困っている?
「もしかして、すでにギルド長とアルフレッド様との間で話し合いが持たれたってこと?」
レッドがアルフレッド様に「光属性の冒険者の指導をさせる人を派遣してほしい」と。それでアルフレッド様が「光属性の侍女がいたな。サラだったか。派遣しよう」みたいなやりとりを?
あれ?まって、まって!
私、偽名を使っているし、レッドに公爵夫人リリアリスなんてばれてないよね?おかしくない?
どういうことあdろう?
首をかしげる。
「た、たぶん、そうだと……」
サラがひきつった笑いを浮かべた。
連携はしてるみたいな感じだったから、ワーウルフ襲撃がひと段落ついた時点で話し合ったのかな?今後のこととか。
いや、もしかすると、レッドがサラに指導してもらいたいと思っていると言って、サラか公爵様に確認した?でもサラの口ぶりはそんな感じではなかったし。
あ!連携は常にしてるわけだよね?だから「協力を要請したらそれに即座に答える、お互いに」みたいな協定があるのかもしれない。俺の部下はお前の部下。お前の部下は俺の部下。みたいな?
なんだ、そういうことか。
「でも、レッドははどうして冒険者に火光魔法を教えてほしいってサラに頼んだのかな?私って優秀な指導者がいるじゃない!私に頼めばいいのに……」
首をかしげる。
「えーっと、そ、それは……その……」
サラが激しく動揺しているように見える。
何か、これは隠し事をしているに違いない。
いったい、何を隠しているのか!
「……で、サラはどうして一度ギルドへ行って戻ってきたの?早速冒険者に教えなくていいの?」
何を隠しているのか探ろうとして聞いてみた。