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限界

 応援はどこまで来ている?あと何分?何秒で到着するの?

 私の魔力はどれくらい残ってる?

 雷光はどれだけ使える?

 一瞬だけ咆哮が止まる。でも、連続して雷光を見たら?ねぇ、一瞬じゃなくて、1秒、2秒と止まるんじゃない?

 そう、雷光だなんてまどろっこしい。

 連続して、稲妻を走らせてやるっ。

 魔法はイメージだ。

 連続雷光。稲妻ブレイク。

「【ピカーッピカピカピカーッ】だっちゃ!」

 間も置かない連続稲光。どんどん光れ。

 ほら、咆哮が止まってる。

 あと、魔力は何秒もつかな。応援は間に合う?

 今のうちにカイたちは扉に内側に退避して。

「【――チュウ……】」

 あれ?魔力が尽きる?

 なんか、気持ちが悪くなってきた。これが魔力切れ?

 いや、まだ魔力が切れる感じはない……。

 でも、ピカピカ光る魔法を出し続けるとどんどん気持ちが悪くなってくる。

 あ……。

 もしかして……。

 ポリゴンショック?

 某アニメで激しく点滅する光の映像を見ていた人たち1万人ほどが体調不良を起こし、何百人と救急搬送されたっていう伝説の……。

 それ以来テレビ番組で「テレビは部屋を明るくして離れて見ましょう」だとか、記者会見シーンでは「フラッシュの強い光の点滅にご注意ください」だとか注意書きがされるようになったきっかけの……。

 某アニメでも電撃攻撃のシーンでぴかぴか激しい光が高速で繰り返され……光過敏性発作を起こさせたとか……。

 でも、あれって……赤と青の点滅シーンで、その後の研究で赤い光が問題だったとか言われてなかった?

 いや、違う、強い光もだめなんだっけ?私、光にちょっと過敏な体質?……っていうか、リリアリスの体は、こういう点滅に慣れてないし、あの時子供ほど影響が大きかったっていうし、耐性がない可能性!

 ああ、気持ちが悪い、意識が……。だめ。

 応援が来るまでは!

 自分の魔法で自分が倒れそうになるとか馬鹿なの!

 そうだ、目を覆って光を遮断。

 両手で目を覆い、体を丸めてなるべく光の刺激が入らないようにして、魔法を放ち続ける。

 咆哮は聞こえない。

 雷光の連続攻撃でびびって咆哮できないんだ。ゴロゴロごろっと、時々本物の雷の音がするのも、いい演出だよね!

 ああ、あとどれくらい咆哮を防げば助けが来るだろう。1秒がとても長く感じる。

 頭の芯がくらくらっとする。まるで貧血みたい。

 きっと、もう少し。もう少し頑張れば……。

 ザーと激しくなる雨。雨に打たれて、寒いのかどうかもわからない。

 意識が遠くなる。だめ。

 だめ。

 壁際でワーウルフと対峙していた冒険者たちの姿が思い浮かぶ。

 傷ついてもなお、引かない姿。街の人たちを守ろうとまさに命がけで戦う冒険者たち。

 そして……カイ。

 誰一人として死んでほしくない。

 私は、この領地の……領主の妻なんだから!街の人たちを……誰一人として死なせたくないっ!

 すっと、今までにない感覚が走る。

 警告のような感覚。

 まさか……今度こそ魔力切れが近い?

 ひゅっと、体の中から熱のすべてを持っていかれたような強烈な冷え。

 だめ!まだ、まだ、だめ!

 ガタガタと震える体を両手で抱きしめるようにして、うずくまる。

「【ピカッピカピカ……】」

 苦しい。吐きそう。

 だめ、まだ、だ……。

「アリスっ!」

 名前を呼ばれて頭を上げて目を開く。

「アリスっ!もう大丈夫だっ!」

 レッドの顔がそこにあった。

 助けに来てくれたんだ。応援が……間に合った……。

 ほっとしたのと、うれしさと……。

 ああ、でも私よりも、下にいる人たちを……助けてと、口にする前に意識を失った。


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「研ぎ師ミチェは頑丈です~転生幼女の大冒険~」 こちらの作品もよろしくお願いします。てとてと歩いてぽてっと転びすぴぴと寝ます。
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