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ワーウルフ


「着きました」

 空に輝く紙の所々が消されていくのをぼんやり眺めながら、現実逃避している間に、西側の街をぐるりと囲む塀の上まで連れてこられた。

 高さが5mはあろうかという高い壁の上。

 怖っ。

「あそこですっ」

 怖いと言ってられない。示されたほうを見下ろすと、冒険者3名が背を合わせて立ち、ワーウルフをひきつけ、街に向かうのを必死に阻止している。

 塀までの距離はおよそ200mといったところか。

 塀の向こうは更地。その向こうに森がある。冒険者たちの場所から50m程。そこから、ワーウルフが1頭、また1頭と姿を現している。

 20ほどといったのに、すでにその倍はいそうだ。

 名前から狼っぽい魔物を想像していたけれど、想像通り狼のような姿をしている。ただ、色だけがブルーグレーと見慣れない。

「【火光】【火光】【火光】……」

 ぶおっと塀の上、今私たちがいる場所を燃やす。

 いや、燃やしたわけではないよ?

 燃えているように大きな火光を出す。ちまちま小さなものを設置できない。

 って、よく考えたら5mもある塀の上には必要ないか?

「カイ!下に降りましょう!」

「え?アリス様、危険です」

「【火光】」

 下で囲まれている冒険者の足元に一つ火光で作った球を飛ばすと、その近くにいたワーウルフが後ずさる。

 うん、効果はばっちり。

 偽物の火だと見破られては意味がないので、すぐに消す。

「ほら、大丈夫。見たでしょ、カイ」

「ここからでも十分なのでは?」

 カイが首をかしげる。

「だめ。さすがに距離がありすぎてねらえない。

 射的みたいなものだ。今のはあまり正確な場所に打ち出す必要がないから距離があっても問題なかっただけ。

 ……というか……。

「光魔法なら大丈夫。でも、火魔法は外すわけにはいかないでしょう?」

 カイには言いたいことが伝わったようだ。

「そうですね。間違えて人に当たる危険もありますし、狙いを外して無駄うちしても大丈夫なほど魔力もありません」

 うんとうなずく。

「どれくらいの距離近づけば問題なさそう?」

「50m」

「そう、じゃあ、行きましょうカイ!私は火光で魔物除けを。カイは、火球で火光に引かない個体を攻撃して【火光】【火光】……」

 冒険者が囲まれている場所から50m程後方、塀からは150m程の距離に火光を一列に並べると、ワーウルフが警戒し2,3歩ほど後退する。攻撃が当たる距離じゃないと思ったのか、まだ逃げ出すことはない。

 下に降り、私を呼びに来た冒険者とカイとともに塀の外へ。

 ワーウルフの群れに向かって走っていく。50m程手前までくると、カイがワーウルフに向けて火球を放った。

 命中したワーウルフが地面に転がり動かなくなる。

 すぐさま、ワーウルフの群れの少し手前や、ワーウルフの頭の上をかすめる位置などに火光を放っていく。

 実際に当たれば火球と違いとばれちゃうから、絶妙な場所を選ぶ。ワーウルフからすれば「ノーコン」って話になるだろう。……まぁ、実際飛ばすとすぐに、軌道を読み着弾場所から距離をとっている。その動きを読んで、カイが火球を当てる。

 って、カイすごいな!50mからの射的。それも、動くものの動きを読んだうえで……。

 すでにワーウルフは10ほど倒れている。

「おかしい、まだ引かないのか……」

 冒険者が奥歯をかみしめる。

「まずか彼らと合流しましょう!」

 囲まれていた3人の冒険者の退路を確保するために、後方のワーウルフを集中して狙う。

 ひるんで及び腰になっているワーウルフを囲まれていた冒険者たちも剣でなぎ倒していき、後方に移動。ワーウルフと10mほどの距離ができたところで合流した。



注*一般的な「ワーウルフ」(人狼っぽいの)ではなく、この作品では”狼”の魔物です。4本足歩行です。時々二本足で立ち上がることもあります(クマのように)ですが、基本は狼です。

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「研ぎ師ミチェは頑丈です~転生幼女の大冒険~」 こちらの作品もよろしくお願いします。てとてと歩いてぽてっと転びすぴぴと寝ます。
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[気になる点] 『「まずか彼らと合流しましょう!」』のセリフ。 『まずか』→『まず』ではないですか?
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