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8 そんな簡単に……。

遅くなりました。

今日も私は精霊、リーたちと遊んでいた。今日はというか最近は毎日毎日遊んでいる。かれこれ半年くらいたつかな。


『今日は何して遊ぶ〜?』

『僕鬼ごっこがいい〜』

「それは飛べない私がとてつもなく不利なのではないかしら?」

『ほんとだー』


精霊たちはきゃらきゃらと笑っている。

かわいい。

いつもこうして3人で遊ぶことを決めて私に話しかけてくるのだ。

最近私はもそすごく楽しんでいると思う。それが伝わっているかは分からないが……。なんせ能面なんでね。でも結構表情は出てきたと思うんだよ? こう……わかる人は空気で分かるみたいな?


そしてもう一つ、リーたちと遊んでいて変わったことといえば……森の様子だ。皆様覚えているだろうか。そう、あの森だ。

昔……っていっても数週間くらい前のこの森の印象は"うわぁ、暗っ!! 絶対近寄りたくないなーここ"である。


が、


何ということでしょう。あんなに空気が重く、暗かった森がこんなに光あふれる場所に。


そうなのだ。今この森は光に満ち溢れている。なんかこう……キラキラしているというか……森が元気になっているっていうか……、上手くは説明出来ないけど伝わってほしい。なんか神々しい雰囲気までかもしだしている。物理的にパワースポットと言われてもおかしくないくらいに。

森が神々しい雰囲気かもしだしているって「離れ」の森としてどうなのよ。「離れ」にいて元気が出るっていうのもね。一応罪人が入れられる場所だから薄暗くてそれなりの雰囲気になってるはずなんだけど、、。


一人でツッコミを入れている間にリーたちは今日やることが決まったらしい。

笑顔でこちらに体を向けてきた。


『『『ライティア様に会いに行こう!!』』』


おぉ、素晴らしい。見事なハモリ。

ん? ライティア様? また3人とは違う精霊かな?

いい案を思いついて、褒めてほしいのかライはなでて〜と頭を寄せてきた。正直ライティア様が誰かは分からないけど可愛いので撫でておく。


「ねえ、ライティア様って誰?」

『ライティア様は私達の王様ですよ〜』


ふむふむ、王様かー。


…………えっ、ちょいまち。王様!?


『あはは〜、イリス驚いてる〜』


ライがきゃらきゃらと笑っている。

まるでいたずらが成功したかのように無邪気に笑っている。この自由な感じというか何にもとらわれていないような感じというか、たぶん精霊というのは元々こういうものなのだと思う。私の数日間出てた結論だ。

 


そんなことはどうでもいい。問題はさっき言ったカイナの言葉。

ちょっとまってね。頭の理解がが追いつかないぞ。思わず現実逃避してしまったではないか。

リーたちの王様。精霊たちの王様。……つまり、精霊王様…………。

そんな人に会いにいくって言ってたよね。


「ねえ、みんな。私は一般の人間よ。それに3歳の。まだ幼女に分類される年齢だわ。こんな何も持ってない人間がいくよりも、この国の王様とかもっと偉い人のほうがいいんじゃないかな?」


これで私がいくのは勘弁してくれと含みを込めて、行かなくていいと淡い期待を抱きながらリーたちに訪ねた。普通は精霊王なんて気軽に会っていいお方ではない。それなりの貴族の人がいくべきだ。……私も貴族としてはそれなりに高い地位にはいるのだろうけど、実際ほぼいないも同然のような存在だ。それこそ王様とか、まあせめて公爵家当主の方々とか。

……が、そんな期待はすぐに裏切られた。


3人はキャラキャラ笑ってまるで私がおかしなことを言っているように言う。


『何言ってるのですかー、イリス。イリスじゃないと意味ないんですよー。それに、イリスは普通の人間だって言ってますけど普通の人間は私達を見て平気でいられませんよー。捕まるか献上するか、もしくは殺すかの3択ですねー。まあ私達は人間に捕まるようなヘマはしませんけどねー』


さらっとカイナ怖いこと言う……。

行かなきゃだめかなー……。カイナが鬼に見えるよ私……。ああ、胃がキリキリする。あれだ。前世で初めて国王にあったときのことを思い出す。国王に会う前には必ず自分で調合した失敗に失敗を重ねてついに成功した胃薬着用してたんだけど今はまだないからなー。近いうちに作っておこう。


はあ、倒れないことを願う…………。


そんな私のことは気にもしない様子でリーたちは私の手を引っ張り、森の奥へ奥へと入っていった。引っ張られるままについていく。拒否権はもうなさそうだ。

一度深い息をついて覚悟を決めた。

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