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53 兄(周りも)、人間じゃない説

お……お久しぶりです。

長らく留守にしてすみませんでした。

これからも不定期が続くと思いますが何が何でも完結までは投稿するつもりなので、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。

「なんで私が知らない間に色々と発展してるのよ!ミモザ、私はあなたの親友だったと思うのだけど私の思い違いだったのかしら!」


合流したソフィアナはぷくぷくと頬を膨らませている。理由はまあ…笑顔で手を振りながらこちらへ向かってくるソフィアナが、ミモザとリディ様の現状を見て一回派手に転び、アル兄様達に見られた恥ずかしさと、ルドフィル様とミモザの関係の進展の場に自分がいられなかったことだろうか。


「すまないソフィアナ。その…私も正直今でも何が何だかわかっていないんだ。憧れだと思っていたルドフィルとこんな関係になれるなんて…」


「あー!いつの間にかルドフィル呼びになってる!?」


ソフィアナの叫びにハッと自分の口を押さえるミモザ。そしてそこまでいったんだねとニヤニヤする頬を押さえる私。


「も、もういいだろう。ほら、ホールについたぞ」


無理やりミモザは話を変えようとするが、ソフィアナはまだ納得していない様子だった。まあ私達もこれくらいにしておいてあげようという事で空いている席を探す。


生徒会の出し物まではあと20分ほどあるが、もうみんな続々と集まっていた。アル兄様とルドフィル様はとてつもなく人気が高いため、密かにファンクラブとやらがあるそうだが、たぶんその会員である御令嬢ないし、御令息達がほぼ前を陣取っている。何故彼らがファンクラブとわかるのか。それは全員アル兄様とルドフィル様を連想させる扇を手にしているからだ。


どこで売っているのか知りたいが、隣にいるソフィアナによれば会員になると全員にくれるらしい。どこでソフィアナがそんな情報を仕入れてきたのかは知らない。

生徒会の出し物をホールでする、すなわち生徒会がホールの舞台上で何かをするということ。こんなにも合理的にアル兄様達を目に焼き付ける機会はないだろうとファンクラブの方々は1時間前からホールの最前列を確保していたそうだ。(ソフィアナ情報)



私達も真ん中あたりの席に3人並んで腰を下ろす。


「イリスはアルベルト様から何か聞いていないのか?」


「アル兄様は特に何も言ってなかったなー。生徒会の出し物があるからどうこうっていう話はした事があるからきっと今回はちゃんとアル兄様、出ると思うんだけど」


アル兄様のことだからもしかしたら出演を拒否する可能性がないことだってない。でも前に話した感じだときっとアル兄様も出演すると思うのだけれど…。


「私は今年は劇をすると思うのだけれど、そうなった時にヒロイン役を誰がするかで揉めると思うのよね。ヒーローはきっとアルベルト様だからヒロイン役の人は次の日から刺すような視線を浴びなきゃいけないと思うの。2人はどう思う?」


どう思うとは劇をすることにどう思うということか、そのヒロイン役(仮)に対してどう思うのかどちらを指しているんだ?

劇は…ホールで出し物をするっていう時点で結構可能性は高いと思う。ただあの生徒会のメンバーが劇をするとは思えないのも事実。だってアル兄様だよ?

ヒロイン役は…頑張ってもらうしかないと思う。


「私は演奏だと思うな。ルドフィルはヴァイオリンがとても上手だし、書記のエレン・ベニス伯爵令嬢はハープが上手だと聞く」 


確かに。アル兄様も嗜みとしてピアノとチェロを弾いていたし、それも可能性的には結構高い。

高レベルな演奏、見てみたい。




軽く時間が来るまで談笑していると、いつの間にか全生徒がホールへと集まったみたいだった。照明が暗くなり、舞台へのみライトが照らさせる。




幕が上がり……まるで神話から抜け出してきたような2人に皆の目が奪われる。

白を基調としたアル兄様、赤を基調としたルドフィル様。

対比した2人はいつもよりも少し長い剣を持ち、軽く礼をした。そして…音楽と共にそれは始まった。



初めはゆっくりと、まるで相手と楽しく談笑しているような軽いステップで剣を振りながら舞う。



「……剣舞」


横でミモザがポツリと呟いた。


中間試験で見た時の2人もまるで舞を舞っているかのように見えたが、今回は比ではない。

本当に言葉を失うとはこういうことなのかと、言葉で伝えなくても深く心に響くのはこういうことなのかと思い知らされる。


皆静かに2人を見ていた。涙を流すものもいる。


中盤に入り、ゆっくりだったテンポは次第に早く、2人の動きもだんだんと大きくなっていく。先程は戦いの始まりを楽しんでいるようだったが、今は剣を合わせるのが楽しくて仕方がないように見えた。

月のように静かに、でも有無を言わさない美しさで舞うアル兄様。太陽のように大胆に動くも一切の下品さを感じさせないむしろ優美さを感じさせられるルドフィル様。

今なら2人が武神と言われても誰も疑わないだろう。




ハープが最後のアルペジオを弾き終わり、舞は終わりを告げた。

途端に会場が割れるほどの拍手に包み込まれる。

剣舞を舞った2人と、演奏をしていた生徒会のメンバーが大きく礼をして幕は閉じられた。


どうでもいい話、実は私ハープを弾いたことがあるんのですが、大体ハープ弾いてる人って美しい人が多いんですけど手はゴツい人がほとんどでした。

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