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3 襲来

……と、思っていたこともありました。

もちろん今でも意思は変わっていないよ!


でもこの状況…………。



「こんにちはイリス。僕が誰かわかる?」


わかるわ! ていうかわかりたくないわ!!

なぜあなたがここにいる!?



少し時を戻そう。


◆◆◆


私は自分の部屋で本を読んでいた。


『世界の不思議に迫る! 二重人格の謎!』


これ、とても面白かった。全部本当か嘘かがはっきりしないところで終わっているのがまたいい。


………ちゃんと勉強の本も読んでますよ!

今回がたまたまこれだっただけだからね!!


まあ、そんな感じで何をするわけでもなく部屋でゆっくり過ごしていたら、ドアをノックする音が部屋に響いた。


? 誰だろう??

ここに来るのはご飯を運んでくる使用人しかいないはず……。いつも絶対ノックなんてしないで逃げるように帰っていくのに。


よいしょっと。

私の身長だとドアノブがギリギリ……!



少し開いたドアから人の姿がちらりと見えた。



………………。


やばい、やばいやばいやばい!!


シルバーブロンドの髪がふわりと動く。

なぜあなたがここにいるんだ!?!?


脳内処理が追いつかないぞ。


そこには見間違うはずもない私の兄、アルベルト・ラナンキュラスが立っていた。


◆◆◆


というわけで今に至る。


彼は、アルベルト・ラナンキュラス。

今はまだ6歳で幼い顔立ちが残るが、さぞかしイケメンになるであろう顔。いや、実際なるんだけどね!

少し金よりのシルバーブロンドの髪がその恐ろしく整った顔に綺麗に映えている。

一見柔らかそうな濃いブラウンに瞳で、何人の女性が被害にあったか……。

そして、私の兄でラナンキュラス家の時期当主でもあります。


過去は罵られたことしかなかったのに。じわじわと不安が襲いかかってくる。

たぶん彼の中には私という存在はなかった。もともとアルベルトは両親に愛されていたし、小さい頃から私を悪魔の子だと教えられ続けてこられたのだろう。


何もおこらない。きっと遊んでいて間違えてこの部屋へ来てしまったのだろう。大丈夫。

けれども頭のどこかではそれは絶対に違うと危険サインを掲げている。

どうしよう。彼についてはまったくのノープラン。


絶体絶命のピンチ!!


「…………」


?

彼はさっきからずっと私を凝視したまま動かない。これはどうするべきなのだ? 私何か変なことしたかな?

見た目? それはふれないで。


名前をよんでみる? なんて呼ぶよ。兄様?

いや、だめだ。

私よ、過去を思い出してみろ。もう忘れたのか! あの言葉を!


確か二度目の人生だったな。

学園でアルベルトに兄妹だからと思って助けてもらおうと会いに行った時だった。


『お前のような分際で私を兄様などと呼ぶな! お前をこれまで一度たりとも家族と思ったことはない。この学園に入学できたからと言って調子に乗っているのじゃないか? うかれるなよ』


……うん。思い出しました。すんっと冷静な自分に戻る。

物凄く言われたな。しかも初会話がこれだよ。

無理ですね、はい。

じゃあ無難にラナンスキュラ公爵子息様? まあ間違いではないよね。よし、いこう。


深呼吸してー。

すーはーすーはー……よし!


「ラナンチュ、キュラ公爵子息様、こんなところまきてどうされまち、たでしょうか。何かに緊急の予定でも?」


…………。

自分の舌を恨みたい。ひさしぶりに喋ったというのもあるがサ行がとてつもなく難しい。


彼に気づかれないようにそっとため息をつく。そして彼を見上げると、、うん、固まらないでほしいなー。

もしもーし、生きてますかー。彫刻みたいに動かなくなってる。ほんとに大丈夫?


あっ、動いた。


「ああ、ごめんね。そうだね、僕はラナンスキュラ公爵子息ではあるんだけど……名前はアルベルトっていうんだ。はじめまして。君のお兄さんだ。」


は? まさか本当に私に会いに来たの?

あのアルベルトが?

いや待てよ、これはアルベルトじゃないのかもしれない。だって彼がこんなはにかむように笑うはずがない。いつも濃いブラウンの瞳を冷たく光らせていたはずなのだが……?

何か良くないものでも食べましたか?


「イリスにとっては僕はお兄さんだから僕のことは兄様って呼んでほしいな」


……本当に誰でしょう。

爆弾発言を笑顔で落としてきましたよ!

ハードル高いねー。自己紹介はね、良かったんだけどね。次の言葉がさ。


あなたは過去の私に何を言ったのか知らないだろ。知っていたら逆におかしい。

やっぱり何か悪いものでも口にしたんじゃないの? きのこには気をつけなよ。この変わりよう、普通おかしい。


内心物凄く焦ってる。

危うく、自分を頭の中で何人か引っ張り出してきて会議をするところだったよ。危ない危ない。

たぶん私の表情は変わっていないから、アルベルトには分からないはずだ。

なんせ私の表情筋は死んでるんで。ここ、今こんな状況になるとちょっと自慢できるんで。


よんでみる? 本当に?

急に怒り出したりしない? 怒っても私のせいじゃないからね。いちゃもんつけてこないでね。


ちらっとアルベルトの様子を確認してみる。

……物凄く目をキラキラさせてこちらを見ていた。


うん、これ言わなくちゃ駄目なやつだな。

ちょっとまってね。もう一回深呼吸しよう。


すーはーすーはー……よしっ、いくぞ!!


「アル……兄様……?」


言えた!! 素晴らしい! さすが私!

だがこの舌っ足らずな口のせいでアルの後が言葉ではない言葉になってしまった。それはまあ、許してほしい




……自分で無理やりテンション上げていかないとこの場が持たないんだよ! 心臓押しつぶされるわ!

頼むから何でもいいからなにか言ってくれ!!


アルベルトの様子は…………


笑顔でした。


うん。良かったと思っているけどね。もう一度聞いていい?


この人は誰でしょう……?

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