35 これが我が子の成長を見守る母の気持ち(たぶん違う)
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光の中には案の定というべきか、ライティアとヨイが立っていた。
二人は堂々と、いきなり呼ばれたにも関わらずまるでここにいるのが当たり前のような涼しい顔をしている。
……知ってて、ここに来たな?
「……一応急に呼び出したことには謝っておくけど……知ってたよね?」
「なんのことじゃ? 我らは呼ばれてここに来たぞえ」
「ま、どっちみち行かせてもらうつもりだったけどね」
ほらみてみろ、確信犯だ!
「ここってそもそも僕達が作ってるところなんだよ。心地よく感じられるように作ってあるから。いつかは来ようかなーって思ってたんだけどなかなか機会がなくてね」
そうなんだ。道理で作りが蒼の泉と似てるはずだ。
本人が作っているのならば納得。
「あ!! そういえば、私知らなかったんだけどリーたちって上位精霊だったの!?」
「なんじゃ、知らなかったのかえ? リー達はその気になればぬしたち人間と同じ姿になれるぞ。ほれ、やってみろ」
『『『はーい!』』』
3人が元気よく返事をして、私は固まった。
なぜなら目の前には20歳くらいの男女が立っていたからだ。
…………いや、誰だよ!!
わずかに面影が残ってるからわかるといえばわかるか……。
真ん中にいるのが多分リー。
癖っけひとつないレモン色の髪を高い位置にツインテールしているところと、活発そうな光を帯びた瞳がリーだとわかる特徴だろうか。
右にいるのは……ライかな?
小さい姿のときよりもだいぶ大人びて好青年になっているけど人懐っこい顔立ちは変わっていない。貴婦人にモテそう……。
左にいるのは消去法でカイナだろう。
ふわふわの髪は綺麗にひとつで三編みにされていて肩にかけていて、よりカイナの大人っぽさを強調している。
多分私論だけどカイナはライティアと一番存在が近い存在だ。だってまとう雰囲気が他の精霊達よりもよく似ている。
しかしみんな見事に美男美女ばっかりだなー。
リー達は唯一私がお姉さん気分でいられた存在なのに……。
明らかに私よりも頭1つ分(ライに関しては2つ分)くらい違う人たちにそんな目で見るのは無理そうね……。
寂しいような、悲しいような、はたまた成長を見守っている謎思考を抱えていると少し低くなったライの声が上から聞こえてきた。
「イリス、姿は少し違うけど僕達は僕達だよ。僕はイリスの態度が変わってしまうのは寂しいな」
そう……だよね。
誰がなんといようと3人は3人だ。違う人って見る私がおかしい。
「そうだね、私が間違ってた。ごめんね」
「私達は私達なのです~」
仲良く和解? してほのぼのとした雰囲気になっているとヨイが何かに気がついた。
「ねえイリス。ここはイリスの部屋でも精霊の森でも、ましてや僕の泉でもないよ。この場の主をほったらかしておいて大丈夫?」
…………?
なんのこ……と!?
やばいやばい、すっかり忘れてた。クラリッサ理事長!!
ちょっと言い訳させて!
だって助けてってお願いしただけで二人が来るとか思ってなかったし、なおかつ、リー達が上位精霊だって今日初めて知ったし、極めつけには私よりも大きくなってこの成長を見守っているような謎の母思考にまで走ってしまったわけで……って、なんか知らない間に堅苦しい自己紹介始まっちゃってる……。
「お初にお目にかかります。私はウィステリア学園理事長兼ウィステリア侯爵であるクラリッサ・ウィステリアでございます。ライティア様方が1021年前に加護を与えてくださったライアス・ウィステリアの子孫でございます。僭越ながら私めはライアスの血が濃く、ライティア様のお力を使わせて頂いております」
「ああ、やはりライアスの一族であったのかえ。懐かしいのう。ちとあの者は妾らの信仰心が強すぎた気もするが……こうやって末裔に会うのも良いものじゃのう」
へえー
ライアス様って確かウィステリア家初代当主だったよね。色々な逸話が残っておられるよく分からない人物だけど。ライティア達あったことあるんだ。
クラリッサ理事長はライアス様の血が濃いって言ってたからきっとライアス様もクラリッサ理事長みたいに格好良かったんだろうなー。
「ライティア様、ヨイ様! 我が一族は貴方様方にライアスの恩返しをするのが悲願でありました。ライティア様方がいらっしゃらなかったら我らは生きていなかった。そして自分もライティア様のお力を使わせて頂いております。是非ライティア様のお力になりたく存じます。なにかのぞみはございますでしょうか」
勢いが……勢いがすごい。
あれ? クラリッサ理事長ってこんなキャラだったっけ。この屋敷に来てから度々思ってたんだけどなんかイメージと違うよね。
「やはり信仰心が強すぎるのは血筋かえ。特にこれといったものはないが、そうじゃな。ならば今後イリスを見守ってやってくれ。妾たちにとって一番大切なものはイリスじゃ。どうしても学園に入ると迂闊に外には出れぬからな。あとぬしが使っている妾の力については気にしなくても良いぞ。だが決して己の身を滅ぼさぬように」
「ありがたきお言葉。命に変えてもイリス殿を守り抜くことを誓います」
ちょ、待て待て待て待て!
ずっと蚊帳の外だと思ってたけどいきなりinされて気づくと私中心の話になってたんだけど…………これで……いいのか?




