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34 ドッキドキのお呼び出し

 お呼び出しをくらってしまった。誰からかって?ウィステリア学園の理事長からですよ。担任の先生が真っ青な顔で呼びにきて知らせを聞いたときに色んな意味でクラスが凍ってた。だってあの理事長だよ?生徒たちから謎に人気があるとはいえ直接会うのとは話が別だ。

 ……私何も悪いことしてないよね……?


 で、無視するわけにもいかないからライラと一緒に長過ぎる廊下を歩いてるんだけど……これ絶対一人だったら迷う。ここ学園だよ?普通に小さな村くらいの広さはあるんじゃない?


 理事長室は生徒たちがいるところとは少し離れたところにあるらしい。"らしい"っていうのは生徒たちはもちろん先生たちでさえもよっぽどのことがない限りは近づかないからだ。それに中には許可が降りている人しか入れない事になってるから行ってもあんまり意味ないらしいけどね。




 10分くらい歩いたかな?ようやく理事長室があると思われる建物が見えてきた。細かい彫刻が目を引く白を基調とした2階建ての建物で、周りには小さな泉や木々が沢山植わっていてちょっとした森みたいになっている。この組み合わせ……どこかで見たことがあるのは気のせいだろうか……?


『ねえイリスー、ここに入るのー?』


『僕達ここ来たことあるよー』


『懐かしいです〜』


 え!?いつ来たのだろう?リー達が来たことあるってことはライティアもあるのかな。あ、じゃあもしかしてこの小さな泉と森は蒼の泉と精霊の森がモチーフ?なるほど。納得。とりあえず中に入ってみよう。



 ……私って許可もらってるよね……?



◇◇◇


 中は意外とシンプルな造りになっていた。シンプルというか何もない?廊下を見渡してみても部屋が数部屋と窓だけ。後は彫刻がびっしりとあって逆に怖い。よく見るとこれ、彫刻じゃなくて古代文字?読んでみようかとも思ったけど諦めた。だってそんなに建物は大きくないとはいえびっしりと書かてれていたら読み終わるまでに何日もかかっちゃう。






………………。


…………………………。



……騙された……?


 まず人がいない。気配がない。確かに許可した人しか入れないって言ってたけど理事長だし秘書の1人くらいはいるかなーって思ってたけど……いない。


「ライラ……」


 一回帰ろう、と言う前に女性にしては低く、それでもはっきりとした声に後ろから話しかけられた。


「よく来たねイリス嬢!驚いただろう。ここには秘書も使用人もいないから私が留守になると誰もいなくなっていしまってね。もう少し早く帰って来たかったのだが予想以上に会議が長くなってしまって……。すまなかったな。立ち話もなんだし私の部屋へ案内しよう」


 り、理事長!?それに予想以上によく喋ってる……!理事長って入学式のあの挨拶のイメージが強いから、いつもは堂々と"いるだけで空気が変わる"みたいな人だと思ってたのに(今も多分そうだけど)さっきの感じは普通だ。普通というか押しがものすごく強い。今も言われるがままに奥の部屋へ移動。



 他の部屋よりも少し大きめの部屋へ案内された。中は予想通りというか、大きい家具は仕事机と2つのソファだけ。机には大量に書類が積まれてある。

 理事長ってここで生活してないよね。一応ウィステリア侯爵家当主なわけだし。でもクラリッサ理事長だと有り得そう……。なんてどうでもいい事を考えながら落ち着かずそわそわしていると、お茶を持ったクラリッサ理事長が入ってきた。


「あ、あの私がしますので……」


「大切な客人にこんなことをさせるわけ無いだろう」


「諦めてください、イリス様。私も何度も断られました」


 ライラが後ろで小さく息をはいている。あ、だめなんだ。仕方ない、大人しく座っておこう。


 クラリッサ理事長は年齢不詳な方だ。藤色を少し渋くした感じの髪を後ろで綺麗に束ね、その色と同じ瞳でじっと見つめられるとどきどきしてしまう。


「……こっちの3人はクッキーでいいかな?」


『僕達が見えるのー!?』


「見えるのですか!?」


 思わずびっくりして身を乗り出してしまった。リーたちはよっぽど魔力が高くなければ人間の形に見えないはずだ。どれくらいかは詳しくはわからないけど……相当だと思う。


「ああ、私は魔力が高い方でな。しかしこんなにもはっきりとした見えるのは初めてだ。君たち……上位精霊かい?」


「!?」


『そうですよ〜』


『僕達上位精霊!』


 じょ、上位精霊……。リーたち以外の子はみんな一回り小さいか光だけを放っている子ばっかりだった。精霊にも上位とかあるんだね。知らなかった……。


 ちょと、ライラ!そんな目で見ないで。知らなかったものは知らなかったんだもん!


「……本題に入ってもいいかい?単刀直入に言おう。イリス嬢、君はどうして座学のテストで満点をとることができたんだい?」


 クラリッサ理事長の目がギラギラしだした。どうしてって……


「勉強したから……ですかね?」


「違う違う、そういう意味じゃない。質問を変えよう。どうしてあの問題がとけたのだい?三柱に関する問題だ」


 三柱に関する問題……?記憶を辿ると……あ、確か変な問題あったな。


"問102 エルアティナ国の三柱であるライティア様並びにヨイ様の魔力の色は何色であるか"


 ……あれもしか……しなくてもクラリッサ理事長の罠?


「なぜあれがわかったかな?」


「本で前に読んだことがありましたので……」


「ほう、魔力の色など書物にのっておったか?」


「はい……!」


「ではおかしいな……。三柱に関する書物は全て我が一族が書き表しているのだが。そんなことを書いた覚えもないし、誰かのデマであろうか……?仮にデマだとしたらその著者を捉えなければならないが……」


 は、はめられた!クラリッサ理事長の瞳が私を捉えて離さない。


 誰か助けてくれ……!


 思わずそう願ってしまったのが良くなかった。今気づいてしまってももう遅い。願ったと同時に右手につけていたブレスレットから淡く柔らかい光が溢れ出し部屋を包み込んでいく。





 やってしまった……。

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