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29 中間試験 1

「そろそろ移動しないと遅れてしまうぞ」

「「はーい」」


 元気よく私とソフィアナが返事をしてミモザと3人で競技場へ向かう。


 あのチーム分け以来、学園内ではこの2人と常に一緒にいるようになった。2人とも高位貴族になるため寮でも部屋が近い。そういえばこの間ソフィアナが「またパジャマパーティーなんかもしたいわね」なんて言ってたけど……あれたぶん私の部屋でする気だ。嬉しすぎて舞い上がりかけたことは秘密だ。私も同世代の女の子の部屋ってちょっと気になる。


 ……もうボッチじゃないから!ちゃんと友達できたんだから!




「なあイリス。今日の剣技の試験だけど練習しているのか?」


「忘れてたの……。なぜ剣術なんてものしなくちゃいけないの……」


「ふふふ、イリスは座学以外は何にもできないものね。知識とマナーは完璧なのに」


 そう、そうなのだ。私は見事に座学以外は何もできない。術学はそもそも魔力がないから使えないし、武学に関してはまず剣をふるうこともできない。

 誰だよ、ラナンキュラス家は"エルアティナの盾"だーとか言ったやつ!

 ……アル兄様がいるから間違いではないのか……。まあこの学園、できなければ別にそれでもいいみたいなところあるから武学と術学は捨てることにする。


「アルベルト様はあんなにできるのにな。イリスは……どうしてだろうな」


 私に聞かれてもわかるかい!でもそんなことを言うミモザの剣技は素晴らしい。まるで舞を舞っているかのように剣をふるう。私もちょっと分けてもらえないかな。努力しろって怒られそう……。努力してない訳じゃないんだよ?やってもやっても筋肉がつかないから諦めただけで。





 試験だって言っても内容は簡単だ。トーナメント式でやっていき、その順位、倒した相手で点数が決まる。例えば一回戦目で落ちちゃってもその相手がアル兄様とかだったらショックでしょ。だから相手が上位に行けば行くほど敗者復活戦のチャンスが来るってこと。ちなみに試験だから1,2年生と3,4年生で別れる。合同でしてしまうと誰が優勝するかは目に見えているだろう……。



「ほらほら、ついたわよ」


 目の前には絶対大きすぎると思う競技場がそびえ立っている。全体的に円を描いた造りで真ん中にある空間で戦うことができるようになっている。その周りをぐるりと囲むように客席があり、結界魔術が張ってあるため攻撃がとんでこない仕組みだ。


 私達が一歩会場へと入った瞬間、ほぼ全員の視線がこちらを向いた。……何故?


「ねえ、今日なんか異様に人が多くない?」


「何言ってるんだ?今日は中間試験だぞ。全校生徒がいるのは当たり前だろう」


中間試験……。もうそんな時期だったの?!てっきり小試験だと思っていた。



 ここで少し登場させましょう。イリスの知ってて役に立つ豆知識、試験編ー。


 ウィステリア学園で行われる試験は大きく3つに分けることができる。小試験、中間試験、修了試験だ。


 小試験はまあ……自分の実力を知るための試験ってところだろう。各分野月1のペースであって、あんまり成績には反映されないらし。


 中間試験、修了試験は順位が出る。1,2年生と3,4年生で別れていて、各分野で男女一緒なのだ。座学、術学は別にいいと思うけど武学一緒って大丈夫なのかなってちょっと思ったりする。中間試験は1年のちょうど真ん中くらいの時期に、修了試験は最後にある。


 以上!


 ちなみに……私は今までの人生で座学は真ん中くらいの成績だったと思う。術学と武学は……聞かないでくれ。アル兄様はというと3年間座学、武学はトップの座を譲ったことがない。すごすぎるね!


 確か次の座学の試験は一週間後くらいだったはず……。よし!座学では前よりもいい点数が取れるようにしよう!今回は変わると決めたのだ。仮にも公爵令嬢だしね。今思うと公爵令嬢が真ん中くらいの点数ってどうなのって思うし、他が駄目駄目だからね。


 意気込む私に気づいたミモザが苦笑しながら話しかけてきた。


「多分違うことに意気込んでいると思うのだけれど次、イリスの番だぞ」


「……へ?」


 なんか変な声出た。いつの間にか試合が始まっていたらしい。そしてどうやら次が私の番らしい。いきたくないと言うわけにもいかず、しぶしぶ下へと降りていく。


 結果は……もう目に見えているだろう。聞かないでくれ。


ほんっとにヒーロー出てきません。影はまあ、、ちょっと出てきましたが……。学園ものだと思って楽しんでいただけたら幸いです。大丈夫です。ちゃんと恋愛モノです。

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