24 入学式 1
ヒーロー登場までもう少しお待ちを……。
柔らかい日差しが差し込み、こころなしか体も軽くなっているように感じる。
ここは……どこだろう。目をこすりながらまだ寝ぼけている頭をフル回転させる。私、朝には弱いんだよね……。どう頑張ったら治るものなのか。
そんなどうでもいいことを考えていると徐々に頭がスッキリとしてきた。そうだ、私昨日から学園にいるんだ。どうりでいつもよりベッドがふかふかな訳だ。(まあ、ファルたちには遠く及ばないけどね。)
「おはようございます、イリス様」
「おはよう」
軽く挨拶をかわし、朝食をとる。
今日はサクサクのクロワッサンと、野菜が細かく刻まれて入っている朝にも優しいスープ。カリカリに焼かれたベーコンに小さなサラダまでついている。
ちなみにこれ、ライラが作っている。
私はね、、壊滅的に料理が出来ないのよ。こればっかりは……。ま、まあ出来なくて将来困ることはないしね、たぶん。
朝ごはんと夜ご飯は自分たちで作らなきゃいけないからライラがいないと毎朝黒焦げのベーコンを食べるとこだった。ものすごく助かる。前世は毎回黒焦げだった。
このためにライラはラナンキュラス家の料理長直々に教わったらしい。
ほんとありがたすぎる……!
しかもものすごく美味しい。
「ありがとう、ライラ」
「いえ、イリス様に使える身として当然のことです。」
そういうライラは少し嬉しそう。自然とお互いに笑みが溢れた。
「……イリス様はよく笑うようになりましたね」
「そう?」
あんまり気にしたことなかったけど。昔よりかは表情筋動くようになったかな。でもまだ貴族令嬢としては固いことは否めないと思うが……。
「はい。初めてあったときとが比べ物にならないくらいお美しいです」
たとえお世辞だとしてもやっぱり嬉しい。
こんな外見を綺麗だと言ってくれるのはアル兄様とライラ、あとカイルだけだ。あ、忘れてはいけない。ライティアやヨイを始めとした人間外のヒト達もね。みんなとても優しい。
「イリス様、今日は入学式です。準備をなさいましょう」
ご飯を食べ終えて、改めて制服を見る。
別に制服だからといって着なければいけないことはないのだが、こっちの方が楽なのだ。
たまーに魔力の高い平民も入ってくるので、いわばその子達のための制服だろう。
男子はほとんどが制服なのだが、女子は圧倒的にドレスが多い。
ドレスってコルセットとかつけないといけないからしんどいんだよね……。
でもみんな競い合うようにして新作のだとか有名なデザイナーのオリジナルだとかで毎日言い合っている。
正直私の目から言わせてみれば色は多少異なるもののあまりドレスに違いがないように見える。だからファッションに疎すぎて恥をかくめに合うんだけど……。今回はライラに全部まかせてたらたぶん大丈夫。
私は何故制服なのかって?
そんなの面倒くさいからに決まってるじゃん。毎日の服選びって結構面倒くさいのよ。まあ、私じゃなくてライラが選んでくれるんだけど。
それに私、そもそもドレスとか最低限度しか持ってないし。別に制服の女子がいないわけじゃないからいいと思ってる。
圧倒的に制服人口少ないけど。
とりあえず着てみる。見るのは初めてじゃないけど着るのは初めてだった。
この制服は白を基調としていて、襟の部分にある金と赤の刺繍が制服を彩っている。
胸元にはウィステリア学園の校章と学年の色のバッジ。(ちなみに私達は青である。)
制服のデザインはさすがとしか言いようがないんだけど……あいにく私が着ると全体的になんか白い人みたい。仕方ないか。こんな髪の色の人が着るとかデザインした人、考えたこともなかっただろうなー。
「イリス様、少々化粧を施してもよろしいでしょうか?」
「えっ、化粧とかしても何も変わんないよ?」
「大丈夫です。私に任せてください」
突如時間までゆっくりしようとしていた私の前にメイク道具を構えたライラが立ちふさがる。化粧とかしても意味ないと思うけど……ライラがやりたそうだからまあいいか。減るものじゃないし。
私の顔にキラキラとした目でメイクをのせる。その楽しそうな姿を見てよかったと思った。
「…………だ、誰これ!?すごい!」
前言撤回です。ライラの腕はすごかった。
「私は少し紅をさしただけなのですが……」
ライラがなにを言っていたのかは聞き取れなかったが、呆れた様子でこちらを見ている。
?まあいっか。
「ありがとう、ちょっと自信持てた。行ってきます!」
「それは良うございました。気をつけて行ってらっしゃいませ」
残念ながら寮以外での使用人、侍女の付き添いは許されていない。ライラがいてくれれば心強かったんだけど……校則はちゃんと守らなきゃね。
私はライラに元気よく挨拶をして、入学式の会場へと歩きだした。




