聖獣〈閑話〉
本日2度目。
ある晴れた日のことだった。
私は何の疑いもなく精霊の森を散歩していた。ファルを連れて。そして私は何故か今、ファルを合わせた三匹の聖獣に埋もれている
事の発端は数時間前に遡る。
◇◇◇
「……えっ!?」
いつもの散歩道というべきか、精霊の森にいるライティアに会いにいくため、綺麗に作られた道をファルと歩いていた。
いつもと同じように浮世離れした風景。もうここも見慣れてしまっている自分がここにいる……。
まあ仕方ないよね!……誰だって何回も通ってたらなれるよね!?
で、その見慣れた風景の中に見慣れないものが1つ。あ、よく見ると2つだ。
たぶん聖獣かそれと同じ類のものだろう。
これ、ほっといても大丈夫……じゃないよね。あきらかに苦しそうだもん。
私はそのものたちに近づいてみる。1匹はファルよりも若干小さいくらいだろうか。大きいことには変わらない。もう1匹は私よりも少し大きいくらいで比較的小さめだと思う。あくまで比較的だけど。
大きさなんて今はどうでもいいんだよ、問題はこの子達がボロボロだっていうこと。
誰かと喧嘩したのか攻撃したのか知らないけどあちこち体に傷ができていている。
とりあえず治療しておくか……。
私は一匹ずつそっと手をかざしていく。暖かい光がそのものを包み、同時に傷が治っていく。やっぱりいつ見てもこの光景って信じられないんだよね……。
もう1匹も同じように手をかざした。
改めて見てみると2匹ともとても美しい姿をしている。1匹ずつ順番に説明していこう。
まず1匹目。彼はたぶん獅子の聖獣なのだろう。ファルのとは真逆の金の毛並みを持ち、月のような光をまとう瞳を持っている。大きさはファルよりも一回り小さいくらいだろう。それでも十分すぎるほど大きいんだけどね。
で、おなじみの金色の翼。
2匹目。こちらはあまり大きくない。と言っても成人男性くらいは余裕であるんだけど……。狐のような見た目をしているが、なんせ黒い。つやつやの漆黒の毛並みの狐なんて私見たことないよ。
こう見てみると聖獣っていろんな種類がいるんだなー。
みんな白っぽい色をしているからファルとかこの子達はちょっと珍しいのかも。
次はこんな大きな怪我する前に逃げるんだよー、と送り返した……はずだったんだけど……。
……ついてきてるし……!!
ファルとはもともと仲が良かったのかな。喧嘩する様子もないしそのままでいっか。
とりあえず名前をつけてあげよう。
「あなたはフィン、であなたはレイクね!」
私は獅子の聖獣の方にフィン、狐の聖獣の方にレイクと名付けた。
言葉の意味がわかったのか、二匹は嬉しそうに私にすり寄ってきた。




