22 ウィステリア学園
雲ひとつない空、そびえ立つお城みたいな学園、そして突き刺さる視線……。うん、絶好の門出日和ね!!
どうも皆さんこんにちは。私、イリス・ラナンキュラスは今日から学園生活を始めていきたいと思います。
本当は入学式は明日なのだけれど、みんな前日から来て準備をし、寮に入る。
しかし、そんなことよりも……さっきから側を通る人全員に見られている。……たぶん気のせいではないだろう。
ああ、嫌だ。毎度のことながらではあるがいつもここで注目を浴びてしまう。そりゃ全く外に出なかった(ヴィラクス殿下のお茶会は除く)公爵令嬢がこうして現れたんだから。しかも白いし。それか私の周りにふよふよと飛んでいるこの子たちか?今は私とライラ以外、光の玉に見えているのだろうけど。まあそれでも気になるよね……。
前の人生よりも皆の目が白に対する拒絶反応だけではなく、驚きも混じっているのが大きな違いだろう。
「ねえ、ライラ。私どこもおかしなところはないかしら?さっきからずっと見られている気がして……」
一応聞いてみる。容姿と光の玉以外でおかしなところがあったら恥ずかしいからね。
「イリス様は世界で一番お美しいです。皆見とれているのでございますよ。いかがなさいます?イリス様が不快な思いをされているのでしたら消しておきますが」
うわ、予想以上に物騒な答えが返ってきた……。
ライラは冗談がすぎるよー。
……前言撤回、目がマジでした。
「だ、大丈夫だよ。ありがとう」
「左様でございますか……残念です。しかしイリス様。イリス様が美しいのは本当でございます。得に異性には十分お気をつけください」
あのね、ライラ。そこは心配ないよ。私の外見を見てみなさい!こんなのによってくるものなんていると思う?
強いて言うならアル兄様とカイル、そして貴方だけよ!
なんかそのみんなには私が綺麗に見えるフィルターか何かがかかっているのか知らないけど、過剰評価し過ぎなのだよ!
一般常識から見てもこの外見は美しくはない。仮に美しかったとしても両親が生まれたすぐに捨てるはずがなかろう。
そんな私を見てライラは諦めたようにため息を小さくついた。
最近ライラは物騒なことばっかり言う。
……私のせい?……私のせいなのか、これは……!?
◇◇◇
「うわぁー!広い!!」
「離れ」にある私の部屋に何倍あるだろう………。
白を基調とした部屋で、余裕で3人は座れるであろうソファーが2つと、1人用が2つ綺麗に並んで置いてある。あとたぶん、向こうの方にあるのはキッチンだろう。ここでは昼食以外は自炊が求められている。まあほとんどの令嬢は侍女に任せるんだけど。敷かれているカーペットは全部ふかふかで思わず寝転びたくなるくらいだ。
もちろんろいうか流石というか、、バスルームや寝室は別にあり、なんにも置かれてない部屋が2つある。
どうやったら一部屋にこんなにお金がかけられるのだろう……?
ちなみに私は公爵家。
だからこんな広い部屋が準備されているのだ。家ではこんな扱い受けたことないんだけどねぇ。
前に住んだことがあるといえど……なかなか慣れるでは落ち着かないだろう。
『ねえねえイリスー。ここが新しいお部屋?ライティア様たち呼んでもいいー?』
あっ!すっかり忘れてた!
そういえば道をつなぐとかなんとか言ってたっけ。
……リーたちももっと気になるかなーって思ってたけど、案外いけるものだ。
(ここだけの話、さっきまですっかり忘れていた。)
「うん、お願いできる?」
私の言葉と同時にリーたちが消え……数秒でライティアたちを連れて戻ってきた。
……早すぎるでしょ!! いや、もう常識で考えてはいけない、私は随分前に悟ったはずだ。
二人がきょろきょろと私の部屋を見渡す。
「ここが新しい部屋かえ?」
「前の家よりも広いねー」
二人は「離れ」にある私の部屋知ってるもんね。
「妾から先につなげるぞ。どこか使ってない部屋はあるかえ?」
「あるけど……どうやってつなげるの?」
「まあ見ておれ」
そう言うと同時にライティアとヨイは使用していない部屋のドアの前に立った。




