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21 イリス様と私〈ライラ視点〉

私はライラ・リリアス

リリアス子爵家の二番目の娘でラナンスキュラ家に勤めている使用人の一人です。


なぜ子爵家であるけれど一応は貴族の端くれである私が、このラナンキュラス家につかえているのかといいますと簡単な話、ラナンキュラス家が公爵家だからでございます。

平民はもちろんですが、低級貴族はここぞと競い合って自分の子供を売り込みます。

学園で習う内容はもちろん、公爵家の使用人として恥ずかしくない程度のマナーは教わることができるので、後々高位貴族に嫁入りしても恥ずかしくありません。まあ私はそのつもりは一切ございませんが。


私はアルベルト様の専属執事であるカイルとは幼馴染で、よく話をしていました。少し彼に淡い恋心を抱いているのはここだけの秘密です。


まあ、そんな話は正直どうでもいいのです。


ラナンキュラス家では、恐れられ、嫌われている一人の少女がおります。

イリス・ラナンキュラス様。

アルベルト様の妹様であります。


たった3歳で両親から見捨てられ、一人での生活を強いられています。



私がイリス様と直接関わりを持つようになったのは、イリス様が6歳のときでした。

ヴィラクス殿下の婚約者に選ばれてお世話をさせていただくことになったのです。





イリス様を初めて拝見したときは、なんと美しい少女なのだろうと思ったことを今でもよく覚えています。

そしてイリス様は聡明な方でいらっしゃいました。


6歳にして自分の置かれている状況を理解しておられ、あの部屋にあった膨大な量の本をほぼ全て読み尽くされておりました。

当時私は14歳でしたが、あのときは仕事を覚えるだけでも必死でした。


本当に素晴らしい方でございます。もしかしたら「離れ」へ送られていたときから自分の立場に気づいていたのかもしれません。

ラナンキュラス家は異常といっていいほどにイリス様を毛嫌いしており、気にかけているのは私とカイル、そしてアルベルト様だけでした。まだアルベルト様が気になされているのが救いかもしれませんね。



ヴィラクス殿下との婚約の話が続いても、イリス様が「離れ」から移されることはありませんでした。一体何をラナンキュラス公爵様は企んでいるのでしょう?




そういえば、イリス様はいつもイヤリングとブレスレットを持っていらっしゃいました。

とても美しいものでアルベルト様からもらったものかなと思っていましたが、大きな間違いでした。

あれらはおそらく三柱のものでしょう。

イリス様が持っておられると、大きな混乱を招いていしまう可能性があり、下手をするとイリス様が窃盗の罪で捕まってしまうこともありえます。


間違いでなければイヤリングの色は白でした。もしかするとイリス様は…………いや、今はやめておきましょう。

イリス様はイリス様です。他の誰でもありません。



あの時から約6年の月日が流れました。

そして、嬉しいことに今でもイリス様のお世話をさせて頂いております。

イリス様も昔以上に表情が柔らかくなり、お美しく成長されました。


イリス様は今年12歳、ウィステリア学園入学の歳でもあります。


ウィステリア学園には使用人を一人だけ連れて行くことができます。嬉しいことにイリス様は私をお選びになられて天にも昇る心地でございました。

この日のために、イリス様を守るために私は日々鍛錬をしてまいりました。そのおかげもあって、今はこの国の騎士とほぼ互角に戦うことができます。


それで今日は出発の日なので、イリス様のお部屋に伺ったのですが……お姿が見当たりません……。庭にもいらっしゃらないご様子。どこへ行かれたのでしょうか……。



「…………!?」


少し考え込み、イリス様の行動を考えておりますと、突然部屋に竜巻のようなものが現れました。

これは一体何なのでしょう。イリス様は無事なのでしょうか!?



…………そんな考えは杞憂に終わりました。


その竜巻の中心には見間違うはずのないイリス様がおられました。

そしてイリス様のお側には……私の目がおかしくないのでしたら、光を放っているお二人と、小さな子が3人います。

冷や汗が止まりません。私の考えが正しければおそらくは……、



「ごめん、ライラ!みんなとお茶会してたら遅くなってしまって……」


「イリス様、……この方々は……?」


「え、……あっ、紹介するね。ライラから見て右にいるのがライティア、左にいるのがヨイで、小さな子たちが精霊のリー、ライ、カイナ。3人は学園に一緒についてきてくれるの」


……やはり、この方々は三柱で間違いありません。倒れなかった私を褒めていただきたいくらいには頑張りました。

そんな方々をイリス様は敬称なしで……、イリス様だからこそできるのでしょう。見た様子ですと、お二方は気になさっておられない様子、むしろ嬉しそうにも見えます。

これはイリス様がお二方と対等、もしくはそれ以上を表しているということなのですが、イリス様はご存知なのでしょうか……?


……やはり私の主は不思議な方です。

イリス様の容姿を見て馬鹿にするものや恐れを表情に出してくるものもいるでしょう。

でもその方々こそ間抜けなのです。


髪の色=魔力量、これらは関係がないということはライティア様やヨイ様を見れば一目瞭然でしょう。

この方々が人間の常識に当てはまる方がおかしいのです。


きっとイリス様が嫌な思いをされると、一番に動き出すのは間違いなくこのお二方です。まあ、私もこのことに関しては負けるわけないのですが、、


裏でイリス様を馬鹿にしているあの馬鹿王子もいつかは報いを受ける。私がすきを見てやってやろうとも思っていましたが…………ふふ、これは学園生活が面白くなりそうですね。

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