13 告白
後半ヨイ視点
ヨイが紅茶をいれてくれる。
「のう、イリス。そなたなぜ笑わぬのじゃ?」
ふと気づいたようにライティアが私に問いかけた。
ヨイにも聞かれたね。
どうやら二人にはかなり気になっているようだ。まあ能面令嬢と言われるだけあってぴくりとも動かないからね。
「僕がさっき聞いていたのに、あなたが急に来るから聞けなかったのですよ。あなたのせいです。」
おぉい、そこ!なにか喋ったらすぐ喧嘩みたいにならないの!
これは原因を話すべきなのか?
……いや、でも今までの人生でこの二人に関わったことはないはず……。話したとしても信じてくれるだろうか。
……とりあえず、話してみるか。
「えーとね、…………」
長い話が始まった。
ずっと同じ人生を繰り返していること、運命の強制力がとても強いことも、自分が話せるぶんだけの全てを二人に話た。
二人とも、じっと私の話を聞いてくれている。
どれくらい時間がたっただろう。一通りは話せたつもりだが……。でも一人で抱えているよりも随分と楽になった。
もう空は暗くなってきている。ああ、もう帰らなきゃいけないな。
「今日はもう帰るね。話を聞いてくれてありがとう。お陰でとてもすっきりした。また会いに来るね」
明るくなった気持ちで二人にお礼を言い、私はファルの上にのって蒼の泉を離れていった。
◆◆◆◆◆
僕はじっとイリスの話に耳を傾けていた。
ライティアがイリスの表情について聞いたところ、イリスが過去のことについて話してくれた。
イリスは今までに同じ人生を4回繰り返していて、どう頑張っても最後はこの国の王太子、ヴィラクスとマリアナ子爵令嬢に断罪されるらしい。
イリスは淡々と事実をのべるように喋っている。彼女はどう思っているのだろうか。
僕はふっとライティアの方を見てみた。ライティアもじっとイリスの話を聞いている。たぶん僕と同じことを考えているのだろう。
……イリスの話が終わった。
結構思ってたよりも酷かった。正直、呆れと怒りしかわいてこない。
この国はどうなってるんだ……。それにイリスを取り巻く現状も。何もかも怒りしか湧いてこないものだった。いっそ彼女を僕らの中で匿おうかとも思ったが、現に彼女が人間である以上僕たちは彼女達に干渉することができない。もどかしいものだ。きっとライティアも同じ気持ちだろう。
すると、イリスがなにか気づいたように僕たちに言う。
「今日はもう帰るね。話を聞いてくれてありがとう。お陰でとてもすっきりした。また会いに来るね」
……ああ、もうそんな時間か。
僕たちはイリスに別れを告げて再び席へついた。
もう一度紅茶を入れ直す。
「……ぬしはイリスの話を聞いてどう思った?」
少しの沈黙を破り、ライティアが僕になんとも言えない表情で問う。
「そうだね……。正直、呆れと怒りしかわいてこないよ……。かなり酷い扱いを受けていたようだ。無実の罪で4度も殺されていたら、さすがに参ってしまうだろう」
「であろうな。しかし、妾はあのループについて少し思うところがあるのだが」
「やっぱりライティアもそう思った?イリスが僕たちのことを忘れていることからしても、たぶん……」
僕たちは考え込む。たぶんライティアも僕と同じ人物が頭に出てきているだろう。
「やはり、あやつしかおらぬな。しかし、呪いをかけよったか。xxxは優しいからのう、抵抗しなかったのであろう」
「そうだね……。いつ話すか……もう少し様子を見た方が良さそうだね」
「そうじゃな。あやつについてもどうするか考えねばならぬ。こうなってしまった以上放っておく理由にもいくまい。最近やけに大人しいと思っていたが、、やはりな」
「僕からの方でも少し探りを入れておくよ。でもまあ……僕たちよりも先に彼が動き出すかな」
こうして、僕達のお茶会は深まっていく。
コロナりました。
更新遅れるかもです……。