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書籍2巻発売記念ショート

貴方達には後悔さえもさせません! 書籍2巻、発売します!

発売日は、2025年4月25日(金)。

よろしくお願いします!


なので記念ショート公開!

 私とパトリック様は新婚だ。ディミルトン家の義両親はまだまだ現役であり、パトリック様が辺境伯家を継がれるのは先のことになるだろう。

 私たちの婚姻は様々な事情があり、かなり急に決まったものだ。

 もちろん、パトリック様と結婚したことに後悔などないけれど。

 何が言いたいかといえば、そう。

 私とパトリック様は新婚というより、まだ恋人と呼べるような関係ということ。

 こう、夫婦になった実感があったり、なかったりするのだ。


「シャリィ」

「リック様」


 そんな私たちはディミルトン家の中庭にある四阿で細やかな交流を毎日している。


「リック様は以前まで騎士として領内を巡っていましたよね」

「うん、そうだね」

「ああいったことは、これからも続けるのですか?」

「うーん、そうだな。ただ、これからは領民にも顔を見せる機会が増えるだろうし。同じ形では続けていられないかもしれないね」

「そうですよね。騎士団内では周知の事実だったのでしょうか」

「いや、全員に告知したワケではないよ」

「そうですか、でも国境の戦いを経た今、騎士たちにはリック様のことが知られてしまいましたよね」

「はは、そうだね。それで騎士としての見回りがどうかしたのかい

、シャリィ」

「はい、リック様。その、私も同じようにして領地を見て回りたいと思ったのです。知識だけは学んできましたが、実際にはまだまだ見ていない場所が多いので」

「なるほど……。確かにそうかもしれないね」

「はい」


 かつて記憶喪失になった私は、この地で目覚めた。

 それからはエバンス子爵家とディミルトン辺境伯家でお世話になるばかりで、きちんとディミルトン領の隅々までを知っているとは言い難い。

 いずれ、領主の妻になる者としてこれでは良くないだろう。


「じゃあ、シャリィ。一緒に領地を見て回ろうか」

「はい、リック様」


 そうして私たちの領地巡りが始まった。

 それは、やっぱり夫婦というよりも、まだ恋人のようで。

 もちろん、次期辺境伯夫妻ということで視察は公務の一環だ。

 だから、真面目に見て回る。


「歴史が長いだけあって水害対策はしているつもりだけれど。技術というものは更新するものだからね。俺たちは、これからもずっと学んでいこう」

「はい、リック様」


 ディミルトン辺境伯領は、きっと素晴らしい領地だ。

 それを取り仕切るお義父様たちも素晴らしい領主。

 だからこそ、この地は豊かで、レノク王国の西の都なんて呼ばれることもあるらしい。

 その地をいつか任される私たちの責任はとても重い。


 けれど私は、パトリック様と一緒ならどんなに困難な道であっても。

 そんな風に思うのだ。

 出会いから結ばれるまで駆け足で、何もかも順番がおかしい私たち。

 それでも私が言えることは。


「リック様」

「どうしたんだい、シャリィ」

「……私、貴方と出会えて本当に良かった。この地で目覚めて、貴方に会えて。本当に嬉しいと、そう心から思います」

「シャリィ……。ふふ、ありがとう。俺もキミに会えて本当に……奇跡に感謝している」

「私もです。ふふ、お互いに、ですね」

「ああ、そうだね」


 パトリック様と共に歩んでいく人生。

 それは、まだまだこれから。始まったばかりだ。


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