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プロローグ

 人は誰しも嘘をついている。それは他人に対してかもしれないし、あるいは自分に対しての嘘かもしれない。いずれにしろ、誰しもが本音を隠して生きている。


 本音――口に出しては言わない本心のこと。


 本音と向き合うなんて、まるでむき出しの剣山に触れるようなものだ。

 誰だって痛いのは嫌だし、それ故に、本当のことは表に出さない。虚飾で塗り固められた防衛線を何重にも張り巡らせ、本音を悟られまいとしている。

 それが上手いやり方っていうやつで、世渡り上手って言われる生き方なのかもしれない。


 だけど――時として、人は本音と向き合わなくちゃならない時が来る。

『その時』は誰にでも訪れる。それが今日なのか、明日なのか、ずっと先のことなのかはわからないけれど、必ず『その時』はやってくる。


 いつまでも夢や妄想の世界に生きていられるならどんなにか楽だったろうか。

 現実は残酷だ。剣山に己の手を突き刺してでも、向き合わないといけない時がいずれ誰のもとにも必ずやってくる。もしも、そんな時にほんの少しでも背中を押してくれる人がいたら、どんなにか心強いことだろう。誰かの本音に歩み寄る小さな一歩の勇気。人はそれをおせっかいと呼ぶのかもしれない。だけど、それは決して容易なことでない。


 今――この瞬間にも、誰かのおせっかいを期待している誰かがいる。


 期待なんてするもんじゃない、なんて頭ではわかっているのに期待せずにはいられないのだ。そうして気づかぬうちに、また一つ、心に防衛線を張っているのだ。どこかの誰かが防衛線を強硬に破壊してくれることを夢見て、心のバリケードはより厚さを増していく。




 少女は真っ白な部屋の中にいた。部屋の中にはピッ、ピッ、ピッ……と規則的な電子音が響いている。

 白いシーツの上に座る少女は折り紙を折っていた。紙ひこうきだ。少女は紙ひこうきを折り終えると、開いた窓へと向けて放る。ひこうきは風に乗って飛んでゆく。今、一機のひこうきが知らない世界へと飛び出していった。


 鳥籠の中にいる少女の思いを乗せて。


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