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底辺からリスタート




「――あぁ〜困った。本当に困った」


 コルデー達から少しでも早く離れたかった俺は急いでその場を離れた。今はホテルから少し離れた路地に座り込み黄昏ている。

 当初はジョブを変える為に生きる為にただ魔物を狩り何とかお金を貯めて頑張ろうと思っていた。そんな時助けてくれたのが聖女のコルデー。トントン拍子で昔助けた少女のレイアとも出会い謝礼も貰い良い流れになっていた。

 なのに蓋を開けてみればもっと酷い窮地に立たされた。お金は没収され一文無しとなり。知らない場所でボールス(自分)が「更生者」なんていうわけのわからない存在になり、目をつけられてしまった。



「何処で道を間違えた…というかボールス(こいつ)になってから間違えばかりだ。一難去ってまた一難。何も去ってないのに難が来たんだけど、ドユコト?」


 と言っても誰かから言葉が返ってくるわけもなく。ため息だけがこぼれ落ちる。


「…あぁ、いいよ。やればいいんだろ。やれば。「善行」。要は良いことをすればいいんだろ…ただボールス(こいつ)だとそれも厳しいのかぁ」


 自分の右手首に付けた『善悪計君一号』とやらを一瞥して肩を落としながらも立ち上がりある場所へと足を運ぶ。


「こんなクソみたいな世界と境遇だが結局生きる為には働かなくちゃ――“冒険”しなくちゃいけないんだろ」


 「どの世界も変わらないな」と、苦笑をして走る。


 ラグの森に相棒の棍棒片手に再度挑む。



 ◇



 ラグの森に向かっている際に少し違和感を感じていた。


「――何だ。なんか体が軽い?」


 朝来た時と変わらない速度で草原を走りながらも自分の体の少しの違和感が気になっていた。別に何かが変わったわけではない。ただ体の内側から力のようなものが並々と湧き出ているような感覚がある。


「…あ。もしかして【強奪】のスキルの効果か?」


---------------------------------------------------------------


 【強奪】


  この世に存在する「ユニークスキル」の一つ。唯一のスキル。

 生物を自分の手で殺めた時その生物のスキル又ステータスの各項目をランダムで入手。

 レベルに応じて効果が変わる。 


---------------------------------------------------------------



 そして今日、一匹だがゴブリンを自分の手で討伐している。


「――「ステータス」」



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ボールス・エルバンス 29歳 男


L v.:21→24

種族:人種

ジョブ:性技

サブジョブ:戦士


魔力:20→73

筋力:50→90

防御力:30→45

魔防御力:0→14

素早さ:20→175

運:50


加護:なし


スキル: 剣術lv.2 体術lv.2 身体強化lv.1 氷魔法lv.0(開花してない)性技lv.7 絶倫lv.9 性欲lv.10(MAX)


ユニークスキル:強奪lv.2


属性:氷・無


状態異常:性○


持ち物:なし


所持金:


 

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「――は?」


 変わり果てた自分の「ステータス」を見て声を溢す。変わっていてもゴブリンを一匹倒した程度なので少し変化してるものだと思っていた。なのに色々と変わっていた。ただその理由は直ぐに検討がつかない。


「わからない。「ステータス」の変化もそうだけど【強奪】のスキルレベルが上がっている。しっかりとスキルが発動したから? でも実際俺は一匹しか魔物を倒していない。後はコルデーが倒していた…」


 そこで自分の言葉に何かが引っ掛かる。レイア達と合流する前に何回か魔物と交戦した。ただそれは全てコルデーの手により全ての魔物が残滅させられた。この目で見たから確かだ。


「俺は何もしていない。ただコルデーに手を掴まれていただけだし…ん? “手を掴まれた”??」


 そこで自分の中で何かが結び付く。気付いた俺は無意識に笑っていた。


「「ステータス」」


 そして「ステータス」をもう一度開き【強奪】の項目を読む。そこにはちゃんと“書いてあった”。


---------------------------------------------------------------


 【強奪】


 この世に存在する「ユニークスキル」の一つ。唯一のスキル。

 生物を《《自分の手》》で殺めた時その生物のスキル又ステータスの各項目をランダムで入手。

 レベルに応じて効果が変わる。



---------------------------------------------------------------



 そう“自分の手”で殺めた魔物のスキル又はステータスを手に入れる。「手」さえ使っていれば誰かが倒してもその「手」を伝って自分が倒したという結果になる。


「――言葉遊びみたいなもん。だがそれが本当なら辻褄が合う。何だコルデー達と会って無駄な時間を費やしたと思っていたがそうでもなかった。これは正しく棚ぼただな」


 自分の手を見て思う。そして害悪だと思っていたコルデー達に感謝の念を持つ。


「やり方はほぼ寄生だし今後は使えないし使わないと思うが…これで何とか魔物との戦いも上手く立ち回れるんじゃないか?」


 嬉しくなりそのままラグの森に直行しようとしたが、念の為今使えるスキルを確認しとく。



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・身体強化lv.1


 レベルに応じて身体の強化を行う。

 使用スキル:ブースト1段階(アインス)

 ※使用魔力:レベルに応じて変化

 ※強化時間:レベルに応じて変化


 ・ブースト1段階(アインス)

 

 身体能力を通常時より底上げする。

 ※使用魔力:50

 ※強化時間:20分



・強奪lv.2


 レベルに応じてスキル効果変化。

 各ステータス獲得量「1.2倍」

 各スキル獲得値「極小」



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「へー、ふーん。面白くなってきたじゃん。【強奪】のレベルがいつ上がったか知らないけど、こいつのおかげでステータス上昇値が高いのだろうな。【身体強化】もやっと魔力が上がったから使える」


 「ステータス」を閉じた俺は自分でも成長できることを知り今後が楽しくなってきた。


「いきなり魔法とかスキルを使うと体がついていけない可能性がある。まずは自の力で魔物を討伐しますか」


 まずは肩慣らしというようにラグの森に入っていく。その顔はどこか晴れやかだ。



 底辺は底辺で変わらない。それでも自分の成長が実感できた。その成長を糧に成り上がろう。




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      ボールスの現状


【ネガ要素】


・異世界ラクシアに転生

・「ボールス・エルバンス」というクズ男&性○患者の体に何故か憑依

・ルクセリアの街の住人からの信頼度「皆無」

・多額の借金「3500万ベル」

・冒険者として人間として底辺

・一文無し、宿無し、信頼・信用無し

・仲間無し

・「聖女」という危ない輩に目をつけられた

・『善悪計君一号』などという『魔道具』で「善行」を「100」にする

・期間は設けられていないが現在「−1200」

コルデー(聖女)嫌い

・何よりも「性○」


【ポジ要素】


・異世界に来れた

・スキル・レベル上がった、増えた

・棚ぼたで戦える程度には成長した(多分)

・レイア優しい

・綺麗な服を手に入れた

・数日ぶりにお風呂に入った

・「汚じさん」じゃなかった


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