表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンドレス・ロード・ヒューマン  作者: アキノリ@Pokkey11.1
1/1

1、全てを願う少女

.....。

西暦2024年4月21日 午前24:00:00

東京の秋葉原、新宿、池袋周辺で人間に脅威を与えるか与えないのかの賛否両論のゲームが遂に大々的に発売された。

その問題のゲームの名前はエンドレス・ロード・ヒューマン。

人間に対して何故脅威なのか。


その全てのゲーム概要。

それは.....亡くなってしまった人にAIなどを駆使してVRMMORPGを駆使してまたそのまま会えるという途轍もないゲームだった。


だがそのゲームに関して脳科学者は提唱する。

このゲームは脳に大きなショックを与えてしまうだろうと。

心理学者は提唱する。

このゲームは人の悲しみを乗り越えられない。心にダメージを与えてしまう。

と、である。

専門家の間では意見がかなり分かれる結果となった。


1年以上の議論、賛否両論などの末。

ゲームは発売された。


そのゲームは果たして悪か。

それとも正義か。


ゲーム自体はアメリカと日本のゲーム企業が共同で制作してスーパーコンピューターなどを駆使して造られたゲームだった。


だがそんなこのゲームに対して。

最大の望みを賭ける者達が日本にも世界中にも居た。

悲しみを乗り越えられない人達だ。


その者達は皆。

エンドレス・ロード・ヒューマンを最後に言えなかった言葉の別れに使いたいとβテスターの時に応募が殺到したりした。

その数は100人のテスターのうち。

応募者10万人以上と。

過去のゲーム市場ではあり得ない数値となった。


「エンドレス・ロード・ヒューマン.....」


既にゲーム発売から1週間が経過したある日。

ゲーム屋の壁に貼られたゲームの価格を見つつ戸惑いながらも少女は思う。

街中で見たエンドレス・ロード・ヒューマンへの反対広告。


だがそれでも。

学校があって間に合わず。

最後の別れを言えなかった母親の事を。


少女の名は長島泉ながしません

17歳の高校生だ。

黒髪の母親譲りの髪の毛が特徴的な女の子である。

ゲーム価格は税込で10万円だった。

10万円は少女にとってはかなり重い数字である。

だがそれでも少女は。


会いたかった。


母親に、である。

最後の別れを言いたかったのだ。

10万円はお小遣いとお年玉で買える可能性はあった。

だが今は父娘家庭。

どうしたものか、と少女は悩んでいた。


そして少女は決断する。

それでも思い出に変えられない、と。

それから少女はゲームを購入した。

そして家に帰る.....と。


「何をしていたんだお前は」


「.....お父さん.....」


「家に帰ったら勉強するんだ。.....そんな寄り道などしている場合か!」


泉の父親は厳しく咎める。

母親が亡くなり厳しくなってしまった父親を悲しげに見る泉。

そして泉はそれを取り出す。

エンドレス・ロード・ヒューマンを。

それから父親に指し示す。


「.....お父さん。変わってしまった人格を.....お母さんとの出会いで全てを取り戻して」


「.....何を言っているんだお前は!」


「私はお父さんの性格が変わってしまった事を.....後悔している」


「後悔?意味の分からない事を!」


「.....エンドレス・ロード・ヒューマンはその為にあるんだよ」


無駄遣いを.....、と言う父親は。

そのまま玄関を開けて、仕事に行く!、と去って行った。

それから残された泉は。

涙を拭いながらエンドレス・ロード・ヒューマンを開ける。

そこには......頭に乗せる為のヘッドギアがあった。

充電式である。


「これを.....えっと.....」


暫く泉は説明書を読み。

そしてヘッドギアを待ち切れず被り。

リンク!、と言いながら泉はそのまま脳波でリンクした。

真っ白な部屋が見える。

それから泉は周りを見渡すと。


『ようこそ。エンドレス・ロード・ヒューマンへ』


AIの目も鼻もない大きな顔が手を広げて案内する。

そして泉を大きな輪っかが通る。

それから泉は驚いた。

そこには.....制服から日常の服装になった泉が居たから。

差し出された鏡を見るとその様になっている。


『エンドレス・ロード・ヒューマンではこの世界の全てをAIが管理します。個人の意思を尊重します。その為にアバターなどは存在致しません。が。アバターをお望みであれば途中で変える事も可能であります。仰って下さい。全ては貴女の為に。祝福を』


そして泉は光に包まれ。

目の前を見ると.....中世ヨーロッパの様な建築物が沢山見えた。

そしてもっと目を細めると。

人混みの中に見知った顔があった。

それは.....亡くなった母親だ。


「.....嘘.....」


「泉。久々ね」


「お、お母さん.....」


泉は待ち切れずにそのまま思いっきり駆け出す。

小学校で徒競走で走ったぐらいに。

それから涙を流して母親に抱きついた。


癌で亡くなった母親に。

母親の匂い、母親の感触を確かめながら。

泉がはたと気が付くと人混みは居なくなっていた。

2人を幸せで包む様に。


「.....お母さん.....」


「何?泉」


「.....ゴメン。何も言えない.....嬉しすぎて」


「そう?.....私は貴女にまた出会えて良かったわ。貴女が.....お腹を痛めて産んだ子供だって事を.....また実感したのだからね」


「お母さん.....」


「このゲームは仮想空間よ。.....でも貴女との思い出は仮想ではないわ。ちゃんと現にこうして喋れているから」


涙を浮かべる泉。


果たしてエンドレス・ロード・ヒューマンは悪か。

それとも正義か。

その賛否を泉は考える。

だけど.....それでも。

再会したのは間違いないのだから、と泉は思った。

.....。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ