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異世界転生358  作者: 湯樹 無葉
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4話 秘密の依頼

何とか神様の依頼に答えられそう。

今日も執事の仕事頑張ります。

トイレ掃除ですけど…。

何だかクリーン・ジャンキーになりそうです。

「カイト、よくやったの。」

「あの狐、あれ以来、モンクレー家に来ておらんぞ。」

「上手くいって良かったです。」

「礼と言っては何だが、この世の理について教えてやろう。」

「この世には魂銀行が存在する。魂銀行には悪魂銀行と善魂銀行があり、悪い事をすると悪魂銀行に溜まり良い事をすれば善魂銀行に溜まる。それらは違う形で本人に帰って来るのじゃ。よく肝に命じておくのじゃ。」

「神は人を試す。その結果が魂銀行に溜まるのじゃ。」

「人は誰しも過ちを犯す。許す事が出来れば道は開けるじゃろう。では、さらばじゃ。」


**********************************


今日もカイトは、トイレ掃除に勤しむ。掃除とは素晴らしい。無我の境地に至った気分だ。

気分よく歩いていると引き止められた。

「そこの使用人、待つんだ!」

「こっちへ来い。」

振り向くと子狸がいた。いや狸に似た子供だ。完全にモンクレーの遺伝子を受け継いでいる。素晴らしい。芸術だ。

「はい。如何いかがなさいましたか?」

「おまえ。見かけない使用人だな。」

「執事見習いのカイトです。以後お見知りおきを。」

「そうか。いいだろう。頼みがある。」

「屋敷の北側に大きな山があるのを知っているな?その山にメコノプシス・グランディスと言う花が自生している。その花を100本程採取して来て欲しい。期限は3日だ。」

「この事は、くれぐれも内密に処理をしてくれ。頼んだぞ。」


頭の中で声がする。

しいたげられるものの効果発動。】

【レベルが2上がりました。】

レベルが上がるなんて、とんでもない依頼らしい。

「はい。畏まりました。」

ん~聞いたことのない花の名前だ。帝国図書館で調べるしかないか。


********************************


帝国図書館へ向かった。帝国図書館は、石造りの建物で石に彫刻が緻密に彫られている。ノートルダム寺院のようだ。素晴らしい。

受付の人に尋ねる。

「植物の図鑑を探しているのですが、どこら辺にありますか?」

「右手の一番奥を探して見てください。」

「ありがとうございます。」

直ぐに見つかった。なになに。メコノプシス・グランディス。幻の花。標高4,000m以上に生息。純粋な青を持つ品種は少なく幻の花と言われる。貴重な薬にも使われる。

この辺りだとドゴール山脈中腹に生息。因みにドゴール山脈は、標高8,000m級の山だ。標高4,000mって富士山より高い。

魔物が多い。Aランクの魔物も出現するためA級以上の冒険者パーティーおよび山登りの知識があるもの必要。

って、ほぼほぼ不可能な依頼じゃないですか~。…。


【執事に不可能はありません。】


***********************************


ドゴール山脈へ行く準備をする。100mで0.6度下がっていく。1,000mで6度下がる。今、平地は28℃だからドゴール山脈中腹は4℃となる。飽くまで目安だ。多分、夜や悪天候の時は氷点下を超えるだろう。防寒対策は、必要だ。

家に帰ると久しぶりに父さんがいた。

「お帰り父さん。」

「ただいま。変わりなかったか?」

「はい。母さんの所で仕事を始めた位です。」

「そうか。そいつは凄いな。」

「仕事は順調か?」

「はい。執事見習いとして頑張ってます。」

「父さん、話は変わりますが山岳地帯の依頼を受けたことありますか?」

「ん。あるぞ。どうした?」

「山岳地帯の準備って何をすればいいですか?」

「防寒着は、必ず必要だな。後、靴はしっかりとしたのもがいい。雨に降られると危険だ。雨、雪対策はしっかりした方がいい。」

「地図は、必須だ。セットで方位磁石。」

「水分補給が重要になってくる。水の確保だな。」

「標高を急に上げると高山病になる。徐々に身体を慣らす必要がある。」

「直ぐ帰れない場合、テントが必要だ。」

「ただ、魔法使いや特殊なスキル持ちが居れば必要ないがな。」

「父さん。魔法はどうすれば使えるようになるのでしょうか?」

「簡単なのは、魔法の書だが高額で手に入らない。後は、一から学んでいく方法だ。簡単にはいかんな。」

「そうなんですか。残念です。」

「そうだ。基本的な事は教えてやろう。」

「本当ですか。ありがとうございます。」

「まず、大事なのが魔力を感じ取る事。これが出来ない事にははじまらない。次に発動するための術式が必要になる。これは、人によって若干違うが基本は一緒だ。大切なのは、イメージだ。」

「じゃあ、後ろを向いてみろ。」

「はい。」

父さんは、俺の背中に手を当てた。

「行くぞ。」

父さんの魔力が流れ込んでくる。体の中を何かが蠢いてる様な不思議な感覚だ。

「これが魔力だ。感じるか?」

「はい。感じます。」

「それを一点に集中する。そして術式をイメージして発射する。そんな感じかな。」

「俺は、魔法使いじゃ無いからこれ位しか知らんがな。」

「ありがとうございます。」

「それにしても、カイト、お前の魔力量凄くないか?」

「そ、そうなんですか?そんな事は、無いと思いますよ。」

 分からないフリして誤魔化してみる。


***********************************


魔法を試して見る。

水はイメージしやすい。H2Oだから水素と酸素からなる。そして温度により気体、液体、固体と変化する。

風は空気だから窒素と酸素、二酸化炭素、アルゴンなどのガスからなる。それらを移動させるイメージかな。

火は水素や炭素が酸化した時に出る熱エネルギーだから酸化現象を引き起こさねばいけない。気体より原子、分子の動きを早くしプラズマ状態を作り出すのだ。


そう考えると、どの魔法も物質を移動させる事により事象を発生させている。自分の中にある魔力エネルギーを使って物質の移動を促せば出来るのではないだろうか。


試しに水魔法を水素と酸素を結合し、水を生成する。空中に水の玉が現れる。回転を加え発射してみる。

「ズゴーン!!」

不味い威力が強すぎる。裏山が無くなった。今あった事は、無かった事にしよう。うん。そうしよう。人が集まって来てしまった。こっそり帰ろう。

しかし、魔力を使い物質【原子、分子】のコントロールができれば気象現象も怖くないのでは?


お給金で防寒着を購入、取り敢えず時間が無いので明日行ってこよう。


とんでもない依頼が来ました。

子狸、いやモンクレー家の息子から…。

大丈夫か?カイト!

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