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異世界転生358  作者: 湯樹 無葉
2/9

1話 転生

宜しくお願いしました。

 序列6位、きんぎょの糞こと鈴木海斗は、某国で発見された未知のウィルスに感染し呆気なくその一生を終えてしまうのだった。めでたしめでてし。

                                   おしまい。


 …。

 「か…。」

 「かい…よ。」

 せっかく酷い人生が終わり平穏が訪れるはずだったのに俺を呼ぶ声がする。

 「海斗よ。」

 「聞こえるか?海斗よ。」

 「…。」

 「聞こえません。聞きたくありません。あー。」

 耳を両手で押さえて拒否をする。

 「気持ちは分からんでもないが、其方が余りにも不憫でな。」

 「わしの独壇と偏見でな。お主を別の世界へ転生させることにした。」

 「結構です!」

 「まあ、まあ、そう言うな。」

 「プレゼントと言ってはなんだが、特別なスキルを付けておく。新たな人生を謳歌するが良い。」

 

 どうやら拒否する事は出来ないらしい。覚悟を決めるしかないのか?大体、こういった時は絶世の美女が表れて忖度してくれるのではないだろうか?目の前の人物は、頭が剥げていて今にも旅立ちそうなよぼよぼのご老人だ。笑うと歯が何本か無い。とても女神さまとは程遠い。


 こ奴、儂がお主の考えていることまで見透かせることも分からんで好き勝手言いおってからにけしからん!ええ~い。こうして。ああして。ちょちょいのちょいじゃ!


 「では、達者でな!さらばじゃ!」

 不快感を顔には出さず笑顔でそう言った神様?


 「ちょっ・・・まっ・・・。」

 引き留める間もなく神様?は消えていったのだ。

 徐々に世界が霧に覆われ意識が遠のいていく、そして完全に消失した。


 …。


 どうやら転生したらしい。


 天井に蜘蛛の巣が張っている。


 窓ガラスにヒビが…。


 隙間風が流れ込んでくる。寒い。


 とても貧乏な家らしい。


 突然、頭の中で声が響く。


 「スキル シイタゲラレルモノノコウカハツドウ。」


 「レベルアップシマス。」


 レベルゲージが凄い勢いで上昇していく。満タンになると次のレベルゲージへ移りとてつもないスピードで上昇していくのだった。


 「レベル1二ナリマシタ。」


 「レベル2二ナリマシタ。」


 「レベル3二…。」


 あっという間にレベル12まで上昇した。いったい何が起こっているのだろうか。理解が追い付かない。

 空中に四角い物が浮いていて何か書いてある。


  カイト・クロノア


    Lv:12

    Hp:230

    Mp:503

    筋力:3

    魔力:10

    防御力:5

    俊敏性:2

    スキル:虐げられるもの


 って!転生してもなお【虐げられるもの】って何ですか~!神様?あんなにも俺の事かわいそうだから異世界では幸せに見たいな雰囲気を醸し出してたじゃないですか!


 それなのに【虐げられるもの】って酷くないですか?しかも何時壊れても可笑しくない建物。完全に貧乏ですよね?環境も最悪じゃないですか。


 「神様?~!」


 心の中で叫ぶのであった。


 彼は、まだ知らない。彼の心の声によって引き起こされたと言う事を!自業自得という。


まだ俺は赤ちゃんだ。何もする事が出来ない。泣くこと位だ。


どんな事をされても甘んじて受けるしかない。


「だあ~ベシッ!バシッ!だぁ~。」


4つ上の姉、ロクサーヌ・クロノア。大人達は当然生まれたばかりの子供に目が向く。主役から降板させられた姉は嫉妬する。


「だあ~ベシッ!バシッ!だぁ~。」


「スキル シイタゲラレルモノノコウカハツドウ。」

「レベルアップシマス。」


頭の中で声が響く。どうやら理不尽な悪意?を受けることにより【虐げられるもの】が発動する事が分かった。


この分だと自分で動けるようになるまでにとんでもなくレベルが上がってしまいそうだ。自分が怖い…。


「だあ~ベシッ!バシッ!だぁ~。」


覚えておけよ。ロクサーヌ!後でた~ぷりと仕返ししてやるからな!


俺の家は、没落貴族らしい。しかし、今は見る影もなく平民の中でも貧しい暮らしをしている。父、デューク・クロノアは冒険者をしている。依頼内容が多岐に渡り家を留守にすることが多い。母、メイフォン・クロノアは貴族の屋敷でメイドをしている。


そして、前述した姉、ロクサーヌ・クロノアの4人家族である。両親とも仕事をしているため大半の時間を姉と過ごす。


姉は面倒見が良いところもあるが理不尽だ。


食事中、俺は赤ちゃんだ。当然のごとくこぼす。


「ベシッ!何こぼしてるのよ!」


「テーブルと床が汚れたじゃない。自分で拭きなさいよね!」


とか自分がやったことでも


「カイトがお漏らししたの。」

「カイトが落書きしたの。」

「カイトが皿を割ったのよ。」


人知れず俺に責任を擦り付け、逆らおうものなら


「分かってるわよね!余計な事言ったらごはんあげないから!」


などと脅しおかけてくる。


お陰でレベルがとんでもなく上がってしまう。既に化物である。家族にバレたら追放されかねない。


ひたすら力を隠し演技する。力は正義だ。歴史の中で証明されてきた事である。間違ったことでも勝者が都合のいい歴史に書き換える。


この世界での力とは何だろうか。冒険者は、上級にならなければ生活が安定しない。人に雇われる仕事(お店や工場など)も大した稼ぎにならない。やはり商人だろうか。比較的お金持ちが多い気がする。【ん~今の年齢(5歳)だとどれも厳しいな~。】


夕食の時間。


「母さん。相談があります。」

「僕、仕事がしたいんです。」

「そこで相談なのですが、今母さんが働いている屋敷で執事見習いとして働けないでしょうか?」


「あなた。そんなの無理に決まってるじゃない!」


ロクサーヌが怒鳴る。


「!そうね~。その年齢だと…難しいかしら。取り合えず旦那様に聞いてみるわ。」


「ありがとうございます。母さん。」


母さんは優しい。おっとりしていて少し天然なところがある。僕は、そんな母さんが大好きだ。なぜ、そんな母さんからあんな凶暴な姉が生まれてきたのか信じられない。


数日後。


「カイト。旦那様がいいっておっしゃってくれたわ。」

「明日、あいさつに行きましょう。」


「はい。ありがとうございます。」


やった~。何とか仕事に有りつけそうだ。ここから第二の人生スタートだ。


 


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ありがたや。

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