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僕はまた熱苦しく訴えた‼︎

「えっ、ちょっと、何よ⁉」


いきなり腕を掴まれ驚きを隠せない様子の美月。だが僕はそんな美月を無視する様に


美月の細い両肩を両手でガッチリと掴むと真剣な表情で顔を近づけ強い口調で問いかけた。


「お前は誰だ?」


「ちょ、ちょっと圭一、いきなり何よ?」


「いいから答えろ、お前は誰だと聞いている」


「わ、私は美月よ、月島美月……それが一体どうしたと……」


「そうだ、お前は月島美月だ、【お台場坂49】の絶対的エースにして三連覇を目前にしている女王様だ


それが何だ、そのしけたツラは?もっと堂々としろよ‼」


「な、何を言って……」


事態が飲み込めず困惑気味の美月だったが、僕はかまわず話を続けた。


「いいか、この僕を含め〈帝都ドーム〉に詰めかけたファン全員に見せつけてやるのだよ


誰が【お台場坂49】のエースなのかって‼」


「そして〈今回は美月不利〉とか馬鹿げた事をぬかしている雑誌やネットの奴らに思い知らせてやれ


誰が女王にふさわしいのか‼」


「そしてテレビの前で見ている視聴者に教えてやるんだよ、誰が〈お台場坂49〉のセンターにふさわしいかのかを‼」


勢いのついた僕はもう止まらなかった、美月の両肩を揺さぶる様に掴み最後に激しく言い放った。


「そして世界中の人間に教えてやれ、誰が一番か‼」


最初は目を丸くして驚いていた美月だったが、僕の暑苦しい訴えを聞き終わると目を閉じそのままうつむいた


そして右の拳を思い切り僕の胸にぶつけてきた。


「圭一の癖に……生意気よ、私を誰だと思っているのよ‼」


僕を見上げる様に顔を上げた美月の目にはもう迷いはなかった


瞳の奥に力強さを宿し全身から自信に満ち溢れたオーラを放っていた。


「ああ、最初から心配なんかしてないよ」


美月は含み笑いの様に口元を緩ませ僕の前を通り過ぎていった


そして部屋のドアを開け出て行こうとした時、ふと足を止め肩越しに口を開く。


「ねえ圭一、もしさやかが貴方に似たようなお願いをしたら


さやかにも同じような事を言ったのでしょう?」


これも意外な質問だったが、僕は迷わずキッパリと答えた。


「あたりまえだろ、僕を誰だと思っているのだ?」


僕の言葉を聞いた美月はフッと笑い、そのまま部屋を出て行く。


その威風堂々とした背中にはもう迷いも不安も感じられない


そこには【お台場坂49】という巨大な看板を背負ってきたエースの威厳、風格すら感じさせた。


そんな美月の後ろ姿に向かって僕はもう一度大声で叫ぶ。


「頑張れ美月、お前がナンバーワンだ‼」


美月は振り向くことなく僕の言葉に応える様に右手をすっと上げる


そして右手の人差し指を高々と天に突き上げた。


美月が去った後も僕はジッとその方向を見ていた、だが僕は気が付かなかったのだ


僕と美月のやり取りを物陰から静かに聞いていたしおりちゃんが居た事を……



美月が出て行ってしばらくするとしおりちゃんが戻って来た。


「あっ、しおりちゃん。美月ならさっき帰ってきてもう出て行ったよ」


「そう、もう行っちゃったの……じゃあ私達も観客席に行こうか圭くん」


「うん、もう始まってしまうからね、急ごう」


僕としおりちゃんは急いで観客席へと向かう、そしていよいよ


【第三回お台場坂49総選挙〈バトル・アット・ザ・トップ〉】がついに始まった。


オープニングセレモニーに始まりミニライブ形式で数々のヒット曲がメドレー方式で披露された


視聴者投票の為の最後のお披露目と言ったところだ。メンバーは皆、全力でパフォーマンスを見せる


この総選挙の結果次第で天国を味わう者もいれば地獄を味わう者もいる


生々しくも残酷なヒエラルキーがこの選挙結果によって形成されるのである


数という名の絶対神が判決を下す言い訳のしようのないリアリズム


それに立ち向かう少女達。だからこそ眩しくそして激しく輝くのだ。


魂のぶつかり合う音が聞こえてきそうな彼女たちの演武が繰り広げられ見ている者達の心を揺さぶった。


そんな中で悲願の一位獲得を目指すさやかちゃんのパフォーマンスは正に鬼気迫る勢いであった


〈自分を支えてくれた人達とファンの為にどうしても一位を取りたい〉という思いは


その歌とダンスに込められ目の奥の炎は見ている者達を焼き尽くす程である。


それに対し美月のパフォーマンスはさやかちゃんとは対照的と言っても良かった


気負いも焦りも熱さすら感じない、これ以上ない自然体の立ち振る舞い。


その演奏は自信に満ち溢れゆるぎない意志を感じさせる、ある意味究極のパフォーマンスとも言えた。


燃え盛る炎とどこまでも広がる海原、そんな事を連想させる二人のパフォーマンスは


今回の〈バトル・アット・ザ・トップ〉頂上決戦と銘打たれたサブタイトルにふさわしいモノであった


【お台場坂49】メンバー達による一連のパフォーマンスが終わり三十分の休憩を挟んでいよいよ選挙結果の発表に移る


会場のざわつきが収まらない中で僕自身も結果を知る事が楽しみであり怖くもあった


そんな時、横にいるしおりちゃんが静かに席を立ち上がる。


「何処に行くの、しおりちゃん?」


「ちょっと、お手洗いに……って、そんな事言わせないで」


「あっ、ゴメン」


しおりちゃんはニコリと微笑みそのまま席を外した。


しかし美月やさやかちゃんのパフォーマンスに酔いしれていた僕は気づかなかったのだ


その微笑みが普段と違うモノだという事に……


しおりちゃんが向かったのはトイレではなかった。再び首からIDカードをぶら下げ 関係者ブースへと入って行く


そしてそのまま美月の控室のドアをノックしたのである。


「はい、空いていますよ」


中から美月の声が聞こえドアを開ける、しおりちゃんの顔を見た美月は満面の笑みを浮かべて親友の来訪を歓迎した。


「詩織、来てくれたの?どうだった私のパフォーマンス


今までで最高の出来だったと思うわ、自分で自分を褒めてあげたいくらいよ‼」


興奮気味にまくしたてる美月。だがしおりちゃんはその言葉に一切反応せず


黙って美月の目を覗き込む様に見つめた。


「どうしたのよ、詩織?」


普段と違うしおりちゃんの態度に気づいた美月は思わず問いかける


するとしおりちゃんは瞬きもせず真っ直ぐに美月の目を見つめながら一歩近づくと平坦な口調で語り掛けた。


「ねえ美月、私達は友達よね?」


「な、何を言い出すのよ、いきなり……そんな事、当たり前の……」


美月が話し終わる前もう一歩近づき、食い気味に質問を重ねた


「私達、親友よね?答えて美月」


その目と態度は美月が知っているいつも優しく穏やかなしおりちゃんではなかった


自分の親友が何を言っているのかようやく理解した美月は思わず目を逸らす。

 

「もちろんよ、私達は友達じゃない……」

 

「ちゃんと私の目を見て答えて、美月」


逃がさないぞ、と言わんばかりの圧力に言葉に詰まらせる美月。


両目を見開き、真剣な表情で親友からの回答を待つしおりちゃん


重苦しい空気が控室に漂い時間を長く感じさせた。そんな時、控室のドアをノックする音が聞こえてくる。


「月島さん、時間です、ステージの方に‼」


外から係の人が呼ぶ声がして美月はしおりちゃんに何も言わずにそのまま部屋を出た。


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