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凄い戦いが始まる予感がした‼︎

中間試験と学園祭という学校行事も終わり、ようやく僕達に平穏が戻ってきた。


「今度の日曜日なのだけれど。どこに行きたい、しおりちゃん?」


「どこでもいいよ、圭くんが行きたい所で」


待っていた。このやりとりができることを一日千秋の思いで待ち続けてきたのだ。


僕としおりちゃんは何も気兼ねすることなくデートの日取りを話し合う。


なぜなら今回、最大の追い風が僕に吹いていたからだ、それは……


「そういえば美月はもう出発したの?」


「うん、昨日の午後の便で」


そう。今回はあの最大のお邪魔虫、僕の天敵ともいえる美月がいないのである。


美月はドラマの撮影の為に地中海に旅立っていった、僕は心の中で叫んだものである。


ロケが長引いて当分帰ってこなくてもいいぞーー‼と。


「向こうに滞在するのって、十日間だっけ?」


「うん、美月のスケジュールの都合で……


監督さんとかは全て現地で撮影したかったらしいけど


室内のシーンとかは日本で撮るみたい、美月忙しいから」


いや、アイツのことだ。どうせ向こうにいる期間が長すぎるとごねて早く日本に帰りたがったのであろう


僕としおりちゃんの仲を邪魔する為に〈一刻も早く戻りたい‼〉とせがむ美月の姿が目に浮かぶ。


こうして僕としおりちゃんは誰にも邪魔されることなく週末のデートへと漕ぎつけた。


「おはよう圭くん、待った?」


「いや、僕も今来たところさ」


デートの待ち合わせの駅でこんな他愛もない会話を交わす僕としおりちゃん


朝4時に目覚め、家にいてもソワソワしてしまい待ちきれなかったため


待ち合わせ時間の1時間以上早くきてしまったことはしおりちゃんには言わないでおこう。


「ごめんね、圭くん、私ももっと早く来ようと思っていたのだけれど


思ったより準備に手間取ってしまって……」


「いや、そんな謝ることは無いよ、待っている時間もデートだしね


それより、その服すごく似合っているよ」


「ありがとう、圭くん」


「じゃあ、行こうか」


少し照れながらうつむく僕の天使はとてつもなく可愛い


いつもの制服姿も可愛いのだが、今日はまた格別である。


白いスカートにオレンジのカーディガン、グレーのキャスケット帽が何ともキュートで可愛い


皆様にお見せできないのが残念と言ったところか?


いやこのしおりちゃんを独占している事こそが至高であり僕最強という証明といったところであろう。


〈she is my lover〉 何となく英訳してみた


合っているのかな、これ?どうせ誰かに言うこともないだろうし、そんなことはどうでもいいか……


そんな愚かにも至福の妄想を脳内で繰り広げていた時、しおりちゃんが急に〈あっ〉と声を上げた。


「どうしたの、しおりちゃん?」


「いや、別に何でもないよ。これが目について、つい……」


しおりちゃんが指さしたのは一枚のポスター。そのポスターには


【第3回お台場坂49 総選挙 バトルアットザトップ】と書かれていたのだ。


【お台場坂49】ファンでもある僕にとっても最大のイベントがこの総選挙である。


「何か、今年は凄いね」


しおりちゃんがボソリとつぶやいた。そうなのである、今回の総選挙は前回までと少し違う部分があるのだ


それは【視聴者参加型総選挙】と銘打たれ、クジテレビの全面協力の元


生放送で見ている視聴者にも総選挙に参加してもらおうと画策したのである


つまりテレビのリモコンチャンネルのⅾボタンを使って視聴者には


その場で気軽に投票してもらおうという方式を採用したのである


だが皆さんもご存じの通り、dボタンの選択肢は赤、青、緑、黄の4種類


つまり最大でも4人までしか個別で投票することが出来ず


今回の総選挙では上位3人とそれ以外という方法を取ったのだ。


これには一部のファンを除く【お台場坂49】ファンから猛反発を受けたが


【ファンの要望】と【大人の事情】がぶつかった場合、どちらに軍配が上がるかは火を見るより明らかである


そしてその〈一部のファンを除く〉というのが今回のキモなのである


その一部のファンとは、僕や松永さんを含むさやかちゃんファンのことなのだ。


〈聞いたか田村くん、ついに我々に神風が吹いたぞ‼︎〉


【お台場坂49】の運営側からこの発表があった時、間髪入れず松永さんから電話がかかってきた。


〈ついに大本営が動いた‼︎これは神の啓示である【さやかちゃんをナンバーワンに】という天からのお告げだ


勝つぞ、田村くん、我らのさやかちゃんがついに最上位天使へと昇華する時だ‼︎〉


興奮冷めやらぬ口調で一方的にまくし立てる松永さん。後から聞いた話では僕をはじめ


知っている全てのさやかちゃんファンにこの電話を入れたらしい


その情熱には頭が下がる思いだが


〈良い子は絶対に真似はしないでください〉


という注意書きが頭に浮かんだことは松永さんには内緒である。


なぜこれほど松永さんが興奮しているかというと、その理由は今回の投票形式の変更にある


元々この総選挙は【お台場坂49】ファンが中心で投票を行ってきたのだが


今回は大勢の視聴者も参加することになる


大部分の視聴者は特に誰を応援しているということもない、いわいる〈不動票〉と呼ばれるモノであり


それが今回の総選挙の勝敗を分かつだろうと言われている。


正直今の【お台場坂49】は美月とさやかちゃんの完全な二強体制、他の追随を許さないほど抜けた存在になっていて


その中でも美月が絶対的な強さを見せつけている為に総選挙自体がイマイチ盛り上がりに欠ける感は否めなかった


そこにクジテレビと【お台場坂49】の運営側が目をつけたのである。


いっそこの二強対決を全面的に盛り上げ、二人の差が縮まるよう


さやかちゃんに有利になるような投票方式を導入したのだ。


今回のこの変更はバラエティーやトーク番組を中心に人気を高めてきたさやかちゃんが有利だと言われていて


だからこそ松永さんは興奮し、さやかちゃんファン以外は猛反発をしたのである。


【三連覇か政権交代か⁉︎】テレビでも取り上げられるほどの話題をさらい


ネット上ではお互いのファン同士が激しく言い争いを繰り広げるほどの盛り上がりをみせていた。


色々な妄想と共にそのポスターを眺めながらそんな事を考えていると


横のしおりちゃんがやや暗い表情を見せたので気になって聞いてみた。


「どうしたの、しおりちゃん?何か気になる事でもあるの?」


「うん、気になるというほどの事でも無いのだけれど……


私はいつもの様に美月を応援するつもり。


でもこの前、さやかさんとも知り合いになってしまったから……美月だけを応援するのに少し抵抗があって」


その気持ちは凄くわかった。僕自身もさやかちゃんを応援するという指針は変わらないし


さやかちゃんのファンや周りに対する思いを知ってしまった今


以前よりもっと応援したいという気持ちは高まった。


だがここ数か月で美月とも深くかかわってしまったが故に


〈本当にさやかちゃんだけ応援してもいいのか?〉という葛藤が心の中に渦巻く。


思い返せば美月とのやり取りなどいい事を思い出す方が困難で、悲惨なものが多いのは事実だ


でもそれら全てを忘れ去ってしまいたいか?と問われたら、その答えは断じてノーである。


そして今回の総選挙に対してもう一つ釈然としない理由があった。


それはもう一枚のポスターが物語っていた。そのポスターには背後に大きな炎が描かれ


その前に美月とさやかちゃんが向き合うような形で対峙していた


その構図はまるでボクシングの世界タイトルマッチの様である


つまり二人の対決を全面的に押し出し盛り上げようという運営側とテレビ局の思惑が見てとれた


確かにこの二人のトップ争いが最大の見せ場であるのは事実なのだろうが


総選挙というのはトップを決めるだけのものではない。


選抜争い、チーム分け、クラス分けなど様々な要素があるのだ


【お台場坂49】のメンバー一人一人にも色々な事情や思いがあるだろう


ここ数日の間で美月やさやかちゃん、そして菅原など色々な人物とかかわった事で余計にその事を思い知った。


〈総選挙は二人だけのモノじゃ無い‼〉そういう強い思いがある為に


【お台場坂49】ファンの大勢が今回の変更に抵抗し


二人の対決を大々的にクローズアップする事に難色をしめしたのも無理からぬことだろう


しかし現実は厳しく無情である。様々な理由により一度決定されたことが覆るはずも無く


数日後の総選挙をそのまま迎える事になる。


そしてそれはのちに語り継がれるほどの伝説の戦いとなるのである。


頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

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