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二人で話した‼

僕がしおりちゃんを追いかけて立ち去った後、残された美月とさやかちゃんは


周りを気にする様に見渡し、小声で話していていた。


「で、アンタは何しに来たのよ、さやか?」


「この前の圭一くん、私の前でアレだけ熱く語っておきながら突然彼女の元へと急いで走り去ったじゃない


敵とか言っていた美月に土下座までして。


そんな圭一くんが想いを寄せるしおりちゃんがどんな子なのか、少し興味があってね


圭一くんの制服を調べてみたらこの高校がわかって


しかも今日から〈学園祭〉をやっているとホームページに記載

されていたからさ


ちょっと覗いてみようかな?って、気分になった……それだけよ


今日は19時まではオフだし、ここからなら赤坂スタジオも近いしね」


「詩織におかしなことしないでよ、私の大切な親友なのだから」


「はいはい。で、美月はなぜここに?」


「詩織の学校の〈学園祭〉を見に来たというだけよ、私も今日は19時まではオフだし……


ていうか、アンタと一緒にいると仕事している気分になるのよ、詩織を見たのならもう帰ったら?」


「随分な言い方ね、まあその気持ちはわかるけどさ。私もオフの時まで美月の顔を見たくはないわ……」


そう言った後、さやかちゃんはふと周りを見渡す


そこには様々な人たちが楽し気に談笑を交わしながら


2人の前を通り過ぎていくのが目に入ってくる


「ねえ美月。私たちがいくら変装しているからといっても、こうまで皆に気づかれないと少し不満ね


自分で言うのも何だけどさ、私たち【お台場坂49】は一応国民的アイドルって呼ばれているわけじゃない


そのツートップがここにいるのに誰も気づかないとか……


普段〈ワーキャー〉されて囲まれたりすると、少し煩わしく感じたりもするけどさ


こうも見事にスルーされたら、何だか物足りないわね」


やや寂しげに話すさやかちゃんの言葉に対し、美月は同調するように目を閉じ語り始めた。


「アイドルのジレンマね。性と言ってもいいかな?普段は騒がれすぎてそっとしておいて欲しいと思うけれど


いざ無視されると寂しく感じて物足りない、わがままな生き物なのよ、アイドルって


でもしょうがないわね、そういう道を選んでしまったのだから、私もアンタもね」


そんな美月の言葉に何かを感じたのか、さやかちゃんも目を閉じてなにやら感慨深げに考えていたが


突然ふうっと大きく息を吐き、背伸びをしながら口を開いた


「こんな所で美月とアイドル論を語っても虚しいだけね。圭一くんも戻ってこないみたいだし


もう帰ろうかな……で、美月はどうするの?」


「私は残るわ。今日は詩織も圭一もクラスの出し物で忙しいみたいだけど


ちょっと見ていきたいと思っていてさ」


「ふ〜ん、クラスの出し物ね。〈喫茶店〉とか〈お化け屋敷〉とかやるの?」


「違うわよ、どうやらクラスで【お台場坂49】のコピーライブをやるらしいわ」


「あらまあ、それは面白そうね。じゃあ私も見ていこうかしら」


「何で⁉アンタはさっさと帰りなさいよ」


「いいじゃない別に、【お台場坂49】のコピーライブを見る本物の私たちって


なんか想像しただけで面白そうじゃない」


「しょうがないわね、ライブは午後みたいだから、それまでは時間を潰すしかないわ


不本意だけれど一緒に喫茶店でも行く?」


「仕方がないわね、振られたもの同士と言うことで美月に付き合って あ・げ・る」


こうして二人は僕たちのライブを見る為に残ることにした。


それが後々とんでもないことになるのだが……


一方その頃、ようやくしおりちゃんに追いついた僕は再び怪しくなってしまった両国間の関係を修復すべく


和平交渉に全力を尽くすこととなった。


「だから聞いてよ、しおりちゃん。さっきの話は、単なる誤解なのだって‼︎」


「でも、あの女の人が言っていた、圭くんに〈君が一番だ〉と言われたって……」


「いや、それは、その……ある意味間違いじゃないけど……だから間違いなのだよ」


「本当だったの?やっぱり圭くんは私なんか……」


「いいから話を聞いてくれ、話せばわかるから‼︎」


僕は再び事の経緯を説明した。アレからたいして日にちも経っていないのに何故?


という疑問が頭をよぎるが今はそんなことを言っている場合ではない


確実に破局フラグが立ちまくっているからだ。命を懸けると書いて懸命と読む


僕はその言葉通り懸命に説得をくりかえした。


「えっ⁉︎じゃあさっきの女の人、大橋さやかさんなの?」


さすがにあの完璧な変装の前ではしおりちゃんも見抜けなかったようだ。


「うん、この前少し知り合いになってね、先日しおりちゃんと観覧車に乗った日


僕と美月の他に実はさやかちゃんもいた。本当の話だから美月に聞いてみてくれよ」


しおりちゃんは少し考え込む素振りを見せたが、すぐにうなずき微笑んでくれた。


「うん、わかった、圭くんを信じるよ」


こうして僕としおりちゃんは交渉の末に国交正常化に成功した。ホッとした半面、ものすごく疲れた……


「でも何でさやかさんがウチの学校に来ているの?」


「どうやら僕の彼女のしおりちゃんを見たかったみたい。


さやかちゃんは好奇心旺盛だし、なによりバラエティーの常連だから悪戯が大好きでね


さっきみたいなドッキリを平気でやってしまう性格でさ、テレビで見ている分には楽しいのだけれど


実際自分にやられたらシャレにならないよ、さっきはマジで血の気が引いて壽命が縮んだ」


「フフフ、圭くんは随分とさやかさんを庇うのね?」


含み笑いを浮かべ覗き込む様に告げる僕の天使。もう勘弁してよ、そういうのは……


ウンザリした僕の顔を見てクスクスと笑うしおりちゃん。


「じゃあ圭くん、菅原さんたちが待っているだろうから早く衣装を持っていこうか」


「そうだね、急ごう」


一難去ってまた一難と、次々襲い来る試練に見事打ち勝ち前へと進んで行った僕だったが、もう大丈夫。


ここからが僕たちの再スタートと思えばいいさ……しかしながら何度目の再スタートだろうか……



僕らがこんなやり取りをしていた頃、菅原はある人物に呼び出されていた。


「何の用でしょうか、島崎先輩?」


菅原を呼び出していたのは三年生の島崎純也という先輩であった


僕がしおりちゃんに告白した思い出の校舎裏で一学年下の菅原を呼びだし待っていたのだ。


「何の用って、わかるだろ?この前の〈俺と付き合わないか?〉という話だよ」


「その話でしたら先日ハッキリとお断りしたはずですが」


「もう一度よく考えてみろよ、自分で言うのもなんだが俺はサッカー部のレギュラーだし


顔だって結構イケメンだろ?多分菅原が思っているより俺はずっとともてるのだぜ


俺と付き合えば同学年の女子達に自慢になる、一種のステータスというやつだ


そんな俺が菅原と付き合ってやると言っているのだ、少しは……」


長々と自慢げに話す島崎先輩だったが、菅原は呆れたような表情を見せ、その話を遮る様に口を挟んだ。


「ご高説は伺いましたが、生憎私には全く興味のない話です。どうかその価値観を共有できるお相手をお探しください


そして二度とこの手の話を私にしないでください」


饒舌に喋っていた島崎先輩は菅原に一蹴され


怒りと困惑の混じった表情を浮かべながら逆切れの様に声を荒げて言い放った。


「何だ、その言い方は⁉お前は人を馬鹿にしているのか?それとももう付き合っている男でもいるのか⁉」


ヒートアップする島崎先輩に対し菅原はヤレヤレとばかりにため息をついた。


「別に馬鹿にしていませんよ、興味が無いと言っているのです。


私は今のところ男性とお付き合いするつもりは一切ありません


島崎先輩だからどうこうという訳ではありませんので勘違いなさらないでください


では私忙しいものですからこれで失礼します」


取り付く島も無くキッパリと言い放ち颯爽と立ち去る菅原


遠のいていくその背中を恨めしそうに見つめながら唇を噛む島崎先輩。


「ふざけやがって、俺をコケにしたらどうなるか、思い知らせてやる……」


怒りに震え両こぶしを握り締めその感情のまま僕たちのクラスが披露する


【お台場坂49】コピーライブの会場となる体育館へと足を向けたのである。


「ちくしょう、人を馬鹿にしやがって……何がライブだ、滅茶苦茶にしてやるからな」


感情のおもむくまま、島崎先輩は会場となる体育館の舞台裏へとたどり着いた


そこには各クラスの出し物の小道具やら衣装やらがクラス別においてあり


その一つ一つを確かめる様に物色していた。


「あったぞ、これが二年一組の物だな……クックック、コイツを滅茶苦茶にしてやればライブどころじゃないだろう


この俺をコケにした罰だ、精々恥をかくがいいさ」


僕たちのクラスのライブで使う物を手に取り不気味な笑みを浮かべる島崎先輩、その時である。


「誰、そこにいるのは?何をしているの⁉」


これから使用する小道具や衣装を確認する為に訪れた女生徒二人が


不審な行動をしている島崎先輩を発見した。


突然後ろから声を掛けられ激しく動揺する島崎先輩、慌ててその場を立ち去ろうとした。


「待ちなさい‼」


二人の女生徒が島崎先輩を引き留めようとしたのだが


サッカー部のレギュラーである島崎先輩を引き止めるには小柄な女生徒二人では無理があった。


島崎先輩は必死で引き止めようとする二人を体当たりで吹き飛ばし、なりふり構わず逃走したのである。


「きゃあああ――」


女生徒の悲鳴が響き渡り、舞台裏は騒然となった。


頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

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