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なぜか修羅場になった‼︎

学園祭において僕達のクラスでやる事になった【お台場坂49】のコピーライブ


その総責任者となった僕はその指導力〈オタクぶり〉を遺憾なく発揮しクラスメイトの信頼〈嘲笑〉を勝ち得る事に成功した。


最初はかなりの困難が予想されたがクラスメイト達の協力もあり


思いのほか、順調で学園祭の準備は着々と進んだ


結局菅原と共に歌と踊りをやりたいと名乗り出てくれた女子は菅原を含めて七人


【お台場坂49】のライブを実現するにはやや少ないがよく名乗り出てくれた方だと感心した


〈実は私も【お台場坂49】の事が大好きで〉……という女子もいて、すごく幸せな気分になる


それともう一つ、僕の権限で衣装担当はしおりちゃんに任命した。


しおりちゃんは裁縫などが得意で安心して任せられるし、何より美月ルートで


本物を見る事ができるので布地や縫製も参考にできるからである。


各担当者に仕事を振り分けた後、僕の総責任者としての本格的な活動が始まった。


クラスのメンバー達の歌とダンスを見せてもらったが正直菅原以外はイマイチと言わざるを得ない


ならばライブを成功に導くための答えは一つである。


美月のソロパートの多い曲を選択し菅原をメインでライブを進めるという方法である


せっかく名乗り出てくれた他の子達には悪いが何せ準備期間が短いのでダンスや歌が上達する時間を待っていられないのだ


こうして僕が手がける【お台場坂49】コピーライブは学園祭に向け着々と進んだ。


日を追うごとに上達するメンバー達であったが、それでもやはりレベルの差というものを実感してしまう


本物の【お台場坂49】の選抜メンバーというものがいかに凄いか、今更ながら実感させられる


学園祭までの時間の関係もあって僕は鬼になった。


もちろんスパルタとか横暴な指導をしてはいないが恥も外聞もかなぐり捨てて皆を指導したのである


クラスの皆も普段目立たない僕の変貌ぶりに感心半分、呆れ半分で生暖かく見守ってくれた


この感心半分、呆れ半分の比率は僕の希望的観測が多大に加味されているので


あくまで〈当社調べ〉ということでご納得いただきたい。


こうして祭りのような戦場のような、てんやわんやの時間はあっという間に過ぎ、いよいよ本番〈学園祭〉当日となる。



〈学園祭〉当日、僕は総責任者として軽く緊張感を覚えていた。


ここまで来たら成功して欲しい、皆が喜んでくれるモノになっているといいな。と思うばかりであった。


「いよいよ本番ね。頼むわよ、総責任者」


「ああ、抜かりなく進行させてみせるよ、センターの菅原さん」


僕達はお互いを確かめ合うように言葉をかけクスリと笑った。


実は菅原はこのライブにかけている理由があって、それをそっと僕にだけ教えてくれたのである


そんな菅原の思いと夢を背負ったライブ、絶対に成功させたいという思いがより強く心にのしかかる


僕はライブ会場となる体育館をもう一度チェックし本番の衣装を持ってくるしおりちゃんを校門で待っていた


僕達のクラスの出番は午後なのでギリギリまで頑張ってくれているしおりちゃんは


まだ学校に来ていないのである。最近は僕もしおりちゃんも学園祭のライブにかかりっきりでで


二人ではあまり会えていない。しかし本番当日になれば僕としおりちゃんにできることはそれほどない為。


せめてライブは二人きりで見たいな……と思っていた。


わが校の学園祭は学校関係者以外にもにも開放している為、一般客も含めた人の波がゾロゾロと校門から入ってくる。


そんな人の波の中でしおりちゃんの姿を探しながら


今か今かと待っていると、僕の前に思わぬ訪問者が現れたのだ……


「圭一くん」


僕は突然声を掛けられ驚いて振り向いた。


声や背格好で同い年ぐらいの女性だとはわかったが全く見覚えのない人物である。


「えっ、あ、はい僕が圭一ですが、どなた様でしょうか?」


「わ・た・し わかんないかな?」


意味深な言葉を発し微笑む女性、そしてどことなく嬉しそうだ。一体誰だろう?


僕はもう一度マジマジとその子を見つめる。


その子は緑のベレー帽を被り、色付きのサングラスをかけていた


軽くウエーブのかかった茶髪の髪、大きな瞳、そしてとても可愛らしい顔立ち、そして何よりこの声は………


えっ、そんな、いや、まさか、でも⁉︎


「さやかちゃん⁉︎」


「ピンポ〜ン、正解で〜す‼︎」


最初は変装しているのでわからなかったが、この目の前にいる女性は間違いない


【お台場坂49】ナンバー2、僕の〈推しメン〉大橋さやかちゃん本人である。


「な、なんで?何でさやかちゃんがここにいるの⁉︎」


「ヘヘっ、来ちゃった」


いやいやいや、理由になっていない、そもそも意味がわからない。


しかしここでパニックになるとまた訳の分からないトラブルに巻き込まれてしまう


そもそもこんな所でさやかちゃんが身バレしてしまうとマズイ、まずは落ち着こう。


どうしようか困惑している僕の姿を見てクスリと笑ったさやかちゃん、そして嬉しそうに説明を始めた。


「この変装すごいでしょ?メイクさんに教えてもらったの、一度試してみたくってさ」


衣装を見せつける様にドヤ顔を決め込むさやかちゃん。


元々こういった悪戯が好きでメンバー内でもちょくちょくしていると聞いてはいたが、まさか自分が味わう事になるとは……


それにしてもこの前の擬似デートの時の美月といい、変装が上手すぎじゃね?


【お台場坂49】のメイクさんには怪〇キッドとかル○ン三世とかいるのですか?


「変装を試したかった、それだけの理由で?」


「まさか。君に会いに来たのは本当だよ、圭一くん」


何だ、この意味深な言い回しは?いやいや惑わされるな。


「僕に会いに来た理由は何ですか?」


僕が冷静を装い質問すると、さやかちゃんは少しガッカリしたような顔で答えた。


「圭一くん、この前私に向かってあれだけ熱く語ってくれたのに


私を放って彼女の元へと走って行ったじゃない。アレは結構傷ついたな……


私のファンと言っておきながら結局は口だけで、本当は彼女の方が何倍も大切なのか……って


そう思ったら、ちょっとそのしおりちゃん本人を見てみたくなってね」


「いや、そんなことないよ、僕はさやかちゃんもしおりちゃんもすごく大事だと思っているよ……って


なんか二股男の言い訳みたいになっているけど、コレは本心だよ。


この二つは比べるようなモノでもないと思っている、コレは嘘じゃないよ‼︎」


何だ、これ?僕が必死に言い訳すればするほどさやかちゃんは楽しそうだ


どうみても僕をおちょくりに来たようにしか見えないな。実際そうなのだろうが……


僕をからかうのが半分、しおりちゃんをみたいというのも本心かもしれない


だったら僕が取る行動は一つ。さやかちゃんとしおりちゃんを会わせてはいけない。


後ろめたい事など微塵もないのに修羅場に発展する危険性が大である。ここは迅速な退散を……


そんな事を考えていた時。僕の視界には前方から接近してくるしおりちゃんの姿が目に入ってきた。


大きな紙袋を二つ下げていて、おそらくその中に衣装が入っているのだろう


ニコニコと談笑しながら近づいて来たのだ。しかもその談笑相手、間違いない美月だ。


あの見覚えのある変装は僕との擬似デートで使ったモノだ……


何ですか、今【お台場坂49】内では変装が密かなブームだったりするのですか?


いかん、そんなことを考えている場合ではない、ここから早く撤退しないと……


絶対にしおりちゃんとさやかちゃんを合わせてはいけない‼


「さやかちゃん、ちょっといいかな?ここじゃ何だから別の場所へ行こう」


「ちょっと、突然何?一体どこへ……」


慌ててこの場を離れようとした瞬間、背中から聞き覚えのある天使の声が聞こえてきた。


「圭くん?」


僕の心は激しく動揺し全身に滝のような汗が流れた。激しく高鳴る心臓の音を抑え


動揺を悟られないように平静を装いなるべく自然に答えた。


「ヤ、ヤア、シオリチャン……本日モ、イイオテンキダネ……」


「圭くん、その女の人は誰なの?」


そうですよね、気になりますよね。さて、どう答えたものか……


僕の返答次第では裁判が開かれる事なく迅速に極刑が確定し即打ち首である。


心境的には逃亡犯が警察に職務質問されている気分だ。


何とお答えすればいいのやら……


僕がどう返答していいか困り果てていたそんな時である。ふと横のさやかちゃんに視線を移すと


こちらの天使はサディスティックな笑みを浮かべ悪魔のようにニヤ〜っと、口元を緩めたのである。


ヤバイ、ヤバすぎる、嫌な予感しかしない、しかもこの予感はかなりの確率で的中するだろう


今この瞬間、僕はノストラダムスを超えた。


そして大方の予想通り、その予感は的中した。


突然僕の腕に抱きついてきたさやかちゃんは満面の笑みを浮かべ甘えた声で言い放った。


「私ぃ〜圭一くんにぃ〜〈君が一番〉って言われてぇ〜ここに来たの〜、あなたこそ〜だあれ〜?」


終わった……コツコツと平和交渉を重ね、ようやくしおりちゃんと仲直りできたと思った矢先だったのに……


僕の心の楽園に突如爆弾が投下され何もかも消し飛ばしてしまいました


僕の心に大きな爪痕を残し、さやかちゃんが投下した巨大爆弾は全てを焼け野原にした。


さやかちゃんの言葉を聞いたしおりちゃんは絶望的な表情を浮かべ


両手に持っていた袋をその場に落とし、そのまま背中を向けて逃げる様に走り去った


違うのだよ、話を聞いてくれ、しおり〜ん、カンバッ〜ク‼︎


「あらら、逃げちゃった」


特に動揺するでもなく、あっけらかんとした口調でしおりちゃんの背中を見ているさやかちゃん


なぜ善良で一途な僕がこんな目に?……僕は前世で大量殺人でもしたのでしょうか?


脳が活動停止して呆然と立ちすくんでいる僕の姿を見て、物凄い形相で美月が近づいてきた。


「その声と喋り方、アンタさやかじゃない。何をしに来たのよ⁉︎」


「あら〜その声は美月?あなたこそこんな所にいていいの?


今日19時から赤坂スタジオで生放送があるのに」


「それはアンタだって同じでしょうが‼」


美月はさやかちゃんに鋭いツッコミを入れた後、即座に僕の方に振り向くと苛立ちまじりの口調で言い放った。


「何しているの、圭一。早く詩織を追いかけなさい‼︎」


「あっ、はい‼︎」


僕は珍しく美月の言うことに素直に従った。この前やっと誤解が解けたというのにまたしおりちゃんを追いかけるハメになるとは……


まだ彼女とキスもしていないというのに、なぜこんな修羅場が来てしまうのでしょうか?


こういうイベントは何股もかけている女たらしに下される天罰だと聞き及んでいましたが


僕のどこが悪かったというのでしょうか?教えてください神様、仏様、しおり様。


僕は自分の運命を呪いながらしおりちゃんを追いかけた。


だがこの先で僕を待ち受ける波乱はこんなものでは無かったのである



頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

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