委員長にバッタリ出会った‼︎
僕達は紆余曲折ありながらもどうにか仲直りをすることができた。
これで僕は晴れてしおりちゃんとイチャコラ三昧……といかないのが悲しくも厳しい現実である。
何せ僕達は学生なのである、学生の本分は勉強である、もちろんこれは建前だ
高校生活の中で彼女と過ごす時間以上の価値など世界中探しても無いとここに断言しよう
もし男で〈勉強の方が大事〉と言える奴がいたら僕はそいつを尊敬する、絶対に真似はできないが……
その後のしおりちゃんとのイチャコラ生活の為にテストに向け全力投球を誓い机に向かう
愛の力で成績アップできれば一石二鳥である、全てはしおりちゃんとの明るい未来の為だ
その目的の為ならば試験勉強を頑張ることなど造作も無いだろう。
見てろよ教育委員会、愛の力がどれ程偉大かこの僕がこの身を持ってしめしてやんぜ‼
そんな鋼の精神と鉄の意志を持って勉強を始めた僕だったが
10分おきにしおりちゃんのことを考えてしまって集中力が持続しない、これは完全に想定外の事態だった
愛の力はむしろ逆方向に働く事もあると身をもって知った。
これは僕が若いからか?男だからか?女の子もそうなのか?それとも僕の意思が薄弱だからか?……
いかん、いかん、今は数学の勉強をしているのに脳内でポエムを唱えてしまった
いやこれは哲学か?ええい、そんな定義づけなどどうでもいい‼︎
それからどれだけ頑張って集中しようと思っても頭の中にしおりちゃんが出て来て邪魔をする
しかもそれが悪くないと思えてしまうのだ、何と恐ろしい、愛の力……
脳内でそんな自問自答と葛藤を繰り広げながらもなんとか試験期間を終えた
おそらくだが成績は落ちるだろう。しかしうちの両親は成績についてあまりあれこれ言わないので
そこまで気にすることでもないのかも。〈成績が落ちても上がってソコソコ〉
という特殊スキルが僕はある。う〜ん、胸を張って誇れるモノではないな……
「ねえ圭くん、試験どうだった?」
「う〜ん、微妙だな、あまり手応えはないよ。しおりちゃんは?」
「私は元々あんまり成績良くないし、いつも通りかな?」
「でもようやく試験期間も終わったね。僕は明日からバイトがあるし
今日は帰りにどこかへ行かない?」
「うん、いいよ。私も圭くんと出かけたかったし」
コレですよ、コレ、この何気ない会話が二人の愛を育むのです。
神様ありがとう、世界は僕たちの為にある
〈最後に愛は勝つ‼︎〉と言っていたのはニーチェだったかな?アリストテレスだったかな?
まあ、どっちでもいいや、とにかく愛って素晴らしい。
僕が脳内で幸せの哲学を唱えていた時、しおりちゃんのスマホが鳴った。う〜ん、嫌な予感しかしない……
「どうしたの?えっ、今から?まあ用事というほどではないけど……うん、わかった、すぐ行く」
しおりちゃんは電話での会話を終えた後、両手を合わせて頭を下げた。
「ごめん圭くん、美月がどうしても来てくれって……」
でしょうね、ええわかっていました。コレですよ、コレ、この世に神何て居ないのさ
世界は残酷で思い通りにならないものなのだ、ちくしょう……
「わかったよ、じゃあ、またね」
僕は後ろ髪惹かれる思いでしおりちゃんと別れの挨拶をして家路へとついた。
「ただいま」
「あら、圭ちゃん、早かったのね?」
「今日まで試験期間だったから……って、母さん知っているだろう?」
「いや、それは知っていたけどさ。試験今日までだったのだろう?
だったら帰りにデートでもしてくるのかな?って、思ってさ」
嫌なことを言い出す母親である。いつの時代も母親というのは
デリカシーという言葉を青春と共に置き忘れてくる生き物のようだ。
「別に、どうでもいいだろ‼︎」
「なるほど、断られたというわけか……ドンマイ圭ちゃん‼︎」
「なんでそうなるのだよ、勝手に決めるなよ‼︎」
「だって顔のそう書いてあるよ」
僕の顔にそんな具体的なことを書き記しているのか?
つくづくいらない特殊スキルを持ち合わせてしまったモノである。
仕方がないので心をお落ち着かせるためにそそくさと部屋へとこもり【お台場坂49】の音楽を聴くことにした
こんな時はさやかちゃんの歌声をきいて癒やされるのが一番だ。
しかし音楽プレイヤーの再生ボタンを押した瞬間、僕の耳に飛び込んできたのは美月の歌声であった。
「ゲゲっ、選曲間違えた。こんな時に美月のソロパートから始まる曲とか最悪だ
おのれ〜美月、どこまでも僕の平穏の邪魔をしやがって‼︎」
この選曲は完全な僕の自己責任なのだが、しおりちゃんの一件もあって美月への怒りは
〈さらにマシマシの全部乗せ〉という状態になっていた。
その後、乱れた心は音楽で癒されることはなく、悶々としたまま翌日の学校生活へと戻ることになってしまうのである。
試験も終わり次の大きなイベントは〈学園祭〉である。
とはいっても僕のような平凡が服を着て歩いている様な男にとって
〈学園祭〉というイベントは単に面倒な雑用業務が増えるというだけの位置づけで、さして重要とか特別なものではない
むしろしおりちゃんという彼女ができて、リア充戦士へとジョブチェンジした僕にとっては
わずらわしさを感じさせるだけで、その認識が変わることはなかった。
「明日のホームルームで〈学園祭〉のクラスの出し物を何にするか
決定するので、各自それぞれ案を考えてきてください」
ホームルームの時間に委員長がクラスの皆に伝えた。まあいつもの流れである。
僕には特に何かをやりたいという意欲もないし、ワザワザ自己主張するような意気もない
いつも通り与えられた作業を粛々とこなし無難にやり過ごすだけの行事
こんな僕に重要な仕事が回ってくるはずも無いだろう、いつも通りに……
この時はそう思っていたのである。
僕は授業を終えそのままバイト戦士へと変身する。
来月の【お台場坂49】総選挙に向け、さやかちゃん応援の為、微力ながら協力したいと思っているからだ。
決して美月への恨みからではない。
「疲れたな……もうこんな時間か?」
バイトの帰り道。スマホに表示されている時間を見るともう九時近くになっていた
バイトを終えたばかりの僕は疲れた体を労りつつ家路へと向かう。
「今日こそはさやかちゃんの歌声で癒されるぞ」
イヤホンを耳に装着し慎重に選曲した後、早速音楽鑑賞に勤しむ僕だったが
イヤホンから流れてくる音楽を聴いてどうにも複雑な気持ちになってしまった自分に驚いていた、その原因はもちろん美月である。
考えてみればそれも当然で【お台場坂49】の歌の中で美月の歌声が入っていない曲など一つもない
さやかちゃんの歌声で癒される効果と美月の歌声で心乱される悪影響で
相殺どころかむしろマイナスの方が大きいと感じてしまった
特に昨日しおりちゃんとのデートを邪魔された恨みが強いから余計である。
心中複雑な思いを抱えながらバイトからの帰り道の途中、とある雑居ビルの入口で意外な人物に出会った。
「あれ、田村じゃない、こんな時間に何をしているの?」
「菅原、お前こそこんな所で何しているのだ。もう結構遅いぞ?」
僕がバッタリと出会った人物は〈菅原ともよ〉。同じクラスの学級委員長である
品行方正、頭脳明晰、容姿端麗という生徒の見本のような女子である。
父親が都議会議員、母親は教育委員会の偉いさんというお固めの上級国民であり、やや真面目すぎるきらいはあるが
間違いなくクラスカーストの最上位にいる女生徒だ。それがこんな時間、しかもこんな場所で出会うとは……
なんとも不可解だったが、この時の委員長との出会いが後々とんでもない事に発展するのである。。
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