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お嬢様は、今日も戦ってます~武闘派ですから狙った獲物は逃がしません~  作者: 高瀬 八鳳
第二章 

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2-11 突然の再会

 「え、ライガ? なんで……」


 あまりにも想定外の事で、私もぽかんとしてしまう。

 脇の二人も、口をあんぐりと開け、ただ神鳥を見上げている。


「そこへ降りるので、そのまま動かずジッとしていてくれ!!」


 ライガの声の後、神鳥はゆっくりと城上を周回し、器用に物見台近くへと着地した。

 久々に間近で見る神鳥は、やはり大きい。


 と、鳥の頭辺りから、スルスルと人がふたり降りてきた。


「ええ? モハード先生?」

「お久しぶりですな、お嬢様。いや、今は御婦人とお呼びすべきでしょうか?」


 私は一瞬ライガを見つめ、それからモハード先生にかけより手をとった。


「お久しぶりです。まさか来ていただけるなんて! ありがとうございます!」

「いやいや、私もあなたに話したい事があるのですよ。しかし、その前に後ろの方々にご挨拶が必要ですかな?」


 私は兄とヌンジュラ様を振返ろうとしたところを、ライガにガシッと抱きとめられた。


「ち、ちょっとライガ……!」


 さすがに人前でのスキンシップは、貴族として赤面ものの行動だ。あわてて彼をふりはらおうともがくが、ライガは微動だにしない。


「よかった……無事で……」


 ライガの、私を心から心配している呟きに、私は抵抗を諦めた。本当は、彼に抱きしめられてちょっと嬉しい。


 モハード先生の生温かい笑顔、お兄様の驚愕の表情、そしてゴージャス氏の珍獣を見るような視線を受け止めながら、私はライガの背中をポンポンと叩いた。


「ありがとね、ライガ。私は大丈夫だから」


 ガタイのいい大男にギュウギュウと絞められ、さすがに息が苦しくなる。


「痛い痛い……! ライガ、私を絞め殺す気?」

「あ……っ、すまない……!」


 ライガがあわてて体を離す。私はライガをにらみながら、体を後ろに向けた。


「……失礼しました。あらためてご紹介しますわ。こちらが私の夫のライガです。そして恩師のモハード先生。お兄様はご存知よね? モハード先生、ライガ、こちらはご滞在中のシャムスヌール帝国帝王の甥御様でいらっしゃるヌンジュラ様です。」

「はじめして。以前ナルニエント公国で教育係りとして勤めましたモハード・ソウジ・ゲンナイヒラガと申します」


 モハード先生がヌンジュラに向かって丁寧にお辞儀をする。ライガもそれに倣って、無言で頭を下げた。

 私はモハード先生のフルネームに、ものすっごい引っかかりを感じた。


(え、あれ? モハード先生ってそんな名前だったっけ? ソウジ・ゲンナイヒラガ、ソウジ・ゲンナイヒラガ……? えええ~~? ヒラガゲンナイ…...?)


「モハード・ソウジ・ゲンナイヒラガ先生……もしかして、以前にシャムスヌール帝国にお越しいただいたこともある、歴史学者兼薬草学者の、御高名なモハード先生ですか?」

「ホホホ、いえいえ、大した学者ではございませんが、20年ほど前に御国にもしばらく滞在させていただきましたね。その節は大変お世話になりありがとう存じます」

「私は先生の書かれた『神鳥の謎』を読み、神鳥の虜になりました。今日、神鳥に乗ってこられたモハード先生にお会いできるとは……。光栄です。以前から、一度お会いして、色々とお話を伺いたいと考えていました」


 あらら、ゴージャス氏がめっちゃ目を輝かせてモハード先生と握手してるわ。え、先生って、ほんとはすごい人だったの? いや、その前に、ヒラガゲンナイって……どいういう事?


 私は突然の再会と、予想外にもたらされた情報量の多さと謎に圧倒されて、言葉がでてこない。

 兄は相変わらず口を開けたままだし、でもライガは。

 ライガは、ジッと静かに、ヌンジュラ様とモハード先生のやりとりを見ている。


(先生は、さっき私と話たい事があるって言ったわよね。どういう内容なのかしら。だいたい、なぜこんな目立つ方法でやってきたの? 国城に神鳥で飛んでくるとか、攻撃と間違われてもおかしくない。あ、まず国王と王子達に安全だと連絡しといた方がいいかな? でも、ヌンジュラ様とモハード先生をこのまま一緒にしとくのも、なんかマズい気もする。何を優先すべき?) 


 私は助けを求めるように、ライガの手をギュッと握った。

 少なくとも、私よりはライガの方が、この現状の全体像を理解しているだろうから。


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