表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/80

6 選抜会はお見合いみたいなもんです

 あなたにとって、この世界と元いた世界との大きな違いは何かと聞かれたら、私は一番に『心威(しんい)』をあげる。

 

 こちらには心威という力が存在する。それはいうなれば、()というか、念能力というか、マナ、ESP、超能力、火事場のバカ力、思いこみ、執着力のようなものだ。つまり願う度合いが強いと、その思いがパワーに変換されるのだ。まあ、コブラのサイコガンのような仕組みというとわかりやすいだろうか。


 図書室での「職業図鑑」によると、平民でも心威力(しんいりょく)を保持する兵士(ソルジャー)は、貴族しか得られない騎士の称号を、特別枠で授与されたりしたらしい。つまり心威力を持つ人間は、それほど希少価値の、手放したくない人材だという事なのだろう。

 過去4人いたという特例枠の平民騎士は、1km先までジャンプできたり、像とサイの中間みたいなテルゾという3トン程の動物を持ち上げたり、忍者みたいに気配を消せたり、人の考えを読めたりしたそうだ。


 これ、ええやん!よし、心威力をあげるか!!


 と思ったが、肝心の心威の鍛え方が載っている本が見当たらない。


(貴族である騎士に専任になってもらえれば、色々な知識も教えてもらえるかと思ったけど。ジェシカが兵士に嫌われてる現状では、難しそうね)


 私は、黙ってマリーの入れてくれたお茶を飲みながら、頭のなかで一人会議を行う。自分の脳内で、一人で質問したり、提案したり、自分でだした提案に反対したり、アドバイスしたりするのだ。


 ジェシカを強い武人に育てるには、やはり良い師匠、先輩が必要だ。

 騎士が無理なら、できるだけ強い上級兵士か、それとも、そこまで強くなくても、知識が豊かな人を選ぶべきか。


(いつものように、職場での採用だと考えてみたらどう? 知名度はなく、ちょっとブラック臭いけど、お給料はそこそこもらえるローカル会社の新しいポストの募集。キャリア組、有名どころ希望の人はこない。けど、資格や学歴は高くないけど稼ぎたい人、中小企業でがんばって上にいきたい野心を持った人、地元で安定した仕事につきたい人はきてくれる。そうよね、そうなると、面接で今回チェックする必要がある事って何だろう?)


 普段私が面接でみてるのは、一緒に働くのに大丈夫な人かどうかだ。経験やスキルも勿論大切だけれど、いくら学歴やスキルが高くても、プライド高過ぎる人や、こちらを下に見てるような偉そうは人とはあんまり一緒に働きたくない。正直、疲れるし。

 それよりは、今はまだ足りない点があったとしても、やる気と伸びしろがあり、素直で感じの良い人の方が、こちらも楽だし働きやすい。


 面接だけで、その人の事がわかる訳ではないが、色々な質問をして、その答えや、答え方、立ち居振る舞いでおおよその見当はつく。私は特に、なんとなく好き、とか、何となく嫌な感じがする、といった感覚を重要視した。第一印象って、けっこう当たると思う。


 勿論、何を採用の第一重要事項とするのかは、会社や職場や人により様々だ。

 面接する側もされる側も何回も行ってきたが、私も未だに面接の仕方や答え方は、何が正解なのかわからない。


(まあ、面接は私からすると、お見合いと一緒だし。会社が一方的に選ぶんじゃなく、お互いの相性がいいかどうかを確認する場所。無理して入ったけど、やっぱりその会社の雰囲気に馴染めなくてすぐ辞める、なんてミスマッチがないよう、向こうにもこちらが働き手に何を望むのかをしっかり理解してもらわないとね)


 ざっくりと考えをまとめ、私はマリーに声をかけた。


「マリー、お茶ごちそう様。美味しかったわ。ところで、午後の選抜会にサリューにつきそいをお願いしたいのだけど、大丈夫かしら?」


「サリューでございますか?勿論、お嬢様がご希望でしたらサリューをいかせますが、エバンズ様にご同行願った方が安全ではございませんか?」


 マリーは私の提案に不安そうに答えた。


「では、エバンズには後ろから見守ってもらおうかしら。とりあえず、サリューには私の代理人として選抜会の参加者に話をしてほしいの」


「サリューはまだ若く、兵士を相手にうまく話せるかどうか……」


「いいの、それが狙いなの。私は、サリューに対する彼らの反応がみたいのよ」


 マリーが無言で何か言いたそうに首を傾げた。


「大丈夫、危ないことにはならない筈だから。エバンズとサリューを呼んでくれる?」


「お嬢様、本当に大丈夫でございますか?」


「本当に本当に大丈夫よ、マリー。それより、私がどんな素敵な専任剣士を連れてくるのか、楽しみに待っていて!」


 心配そうなマリーを安心させる為に、私はとびっきりの笑顔を彼女に向けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ