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異世界王国と放浪少女と百合  作者: 山木忠平
2章 商人と親子
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酒場の看板娘達 6

「みーんな、エルフ、エルフってさぁ……。ドワーフだって……ドワーフだってぇ……」



 二コラが同じようなことをうわ言みたいに呟いている。


 初めは変なフインキになっちゃったけど、その後は食事も楽しく進んで解散……みたいな流れを想定してたのにね。

 どうしてこうなったんだろう? いやまぁ、確実に酒が原因なんだけど。今も片手に持ったそれのことだけは忘れないで、ぐびぐびと飲んでるし。


 真赤に染まった頬や完全に据わってる目からして、かなり酔ってるんだろうね。

 どんどん空になる酒杯を眺めながら「やっぱり、ドワーフは酒に強いんだなー」って思ってたら、かなり出来上がってたよ。


 ま、いいや。このままテキトーに相手しておこう。そしたら、お持ち帰りまでイケちゃうかもしれないしね~。



「うんうん、そうだよねー。ドワーフも可愛いよねー?

 ドワーフのこの愛らしさが何でみんなには伝わらないんだろー? 不思議だなぁ」


「そんなこといって……。あんたもさぁ、おなじじゃん……」



 あれ? 気付いたら、ジトーっとした目が僕に向けられてるよ?

 あ、まずい。テキトーな相槌を返し過ぎて怒らせちゃったかな……。



「へ? 同じ? ……な、何が?」


「あんたもさぁ、わかってんでしょ……?

 まわりの男たちの視線! あんたのこと見てるヤツもいっぱいいるじゃん……っ。

 こんなの、あのエルフたちと同類だつってんのっ!」


「「「っ!!?」」」



 彼女の言葉が聞こえてたであろう、周囲のテーブルのうち何人かが目を逸らした。


 店の中で隠密スキルを使うわけにもいかないから、チラチラと見られるくらいは受け入れることにしたよ。

 見られるだけなら……まあ、何とか許容できるくらいには慣れてきたし。


 それにここなら、ナンパというか絡まれるまでいくと、ラドミラ達が助けてくれるって安心感があるからね。



「お待たせしました! 追加のエール――」


「むねか!? やっぱ胸なんかっ??

 ならっ、こいつとか変わんないじゃん! あるのかないのか、わからないくらいのサイズじゃんっ!」


「!!?」



 なんてしょうもない話をしてたら、酒を運んできたアンジェが巻き込まれちゃったね。

 可哀そうに、突然攻撃力マシマシな言葉を受けてプルプルしちゃってるよ。



「まあまあ、落ち着いて。店員さんに絡んじゃダメだよー? ね?

 それに、胸っていうのは大きさだけじゃないんだから。

 手に吸い付いてくるみたいなモチモチ感触だったり、薄いピンク色の可愛い先端とか、色んな楽しみを提供してくれるんだよ? アンジェの胸は」


「ちょっとっ!? アイリスさんはアイリスさんで、なにいってるのっ!?」



 前に、風呂で揉んだ時の感触が(よみがえ)るね。

 あー思い出したら、もう一度触りたくなってきたなぁ。ちょっと揉むくらいだったら許してくれるよね?



「そうよ、そうよ!

『なにもしないとスカスカで不格好』だからって、実はつめものまでしてるのよ!

 なにもないように見えるて、なにかはあるんだから!」


「……けんか売ってる、カルラちゃん?

 怒るからね? わたしだって怒るときもあるんだからねっ!」



 いつの間にかフロアに出てきていたカルラが、フォローなのか分からなこと言ってるし。

 それにしても、詰め物してるのか……じゃあ、今触ってもそれは偽物の感触なんだね……。



「う、うっさい、うっさい!! とにかく、あんたらエルフは恵まれすぎなんだよ!

 こうなったら――飲み比べで勝負だっ!!」



 え、何で? どういう流れ?

 意味の分からないことを言い出しちゃって、酔っ払いはどうしようもないなぁ。



「いいわ! その勝負受けて立つわよ――アイリスがねっ!!」


「しかも、受けてるし。……って、ボク?

 いやいや、ボクは全然受ける気ないから。

 やるんならカルラか、だいぶお怒りゲージが溜まってるアンジェにやってもらいなよ……」


「だって、あたしたちお酒を飲める年じゃないもの。

 お酒は二百歳になってから。大事なことなのだから、守らないとダメよ?」


「それなら、勝負なんて受けなければいいのに……」



 でも、そっかー。成人してるようには見えなかったけど、お酒もダメな年齢――って、二百?

 や、やっぱり、エルフは長命みたいだねぇ。



「ごちゃごちゃいってないで、誰でもいいからはやく始めるぞー。

 だれが相手だろうと、どうせあたしの勝ちなんだからな」


「はぁ、分かったよ。やればいいんでしょ? ……お酒は好きじゃないんだけどなぁ。

 とりあえず、エールでいいよね。アンジェ、ボクの分ももらえる?」



 結局は酔っ払いに理屈なんて通用しないからね。諦めて勝負を受けることにしたよ。

 たぶん、ある程度飲んだところで降参した方が楽に終わるもの。

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