パーティ結成 9
「な、なにか飛ばした……? アイリス、いま何したの? 速すぎて見えなかったんだけど」
地面に倒れ動かなくなった十数匹のハーピーを前に、呆然とした様子のニコラが呟いた。
え? 見えない程速かったかな? 確かに、割とスピードは出てたけどさ。
「さっきと同じで、アイスショットの魔法を使っただけだよ? ほら、当たったところの周辺が凍ってるでしょ?
あ、彼女達動きが速かったから、避けられないように速度を上げる工夫はしたよ」
「そ、そう……。ごめん、一瞬のことで頭が追いついてないわ……」
ふむ。どうやら死ぬ覚悟までしたのに、呆気なく助かっちゃったから混乱してるみたいだね。
ここは落ち着いて考えられるように、ゆっくりと会話を楽しむのがいいかも。
「とりあえずさ。あたしたち……助かったんだよね?」
「だね。襲って来たハーピーはほとんど倒したし、生き残ったのも逃げて行ったから、もう安全だと思うよ」
「そっか……助かったんだ。――よ、よかった~~~っ!」
彼女は気が抜けたのか、へなへなと地面に座り込んでしまった。
何というか、安心し過ぎて魂が抜けたみたいな顔してるね。
「あはは。大袈裟だな~」
「全然、おおげさじゃないからなぁー? 本当に、死ぬかと思ったわ……」
「まあまあ、死ぬくらい――」
その時、ニコラの背後で動く不穏な影が一つ目に入った。その影は大きな鉤爪を振り被り、無防備な彼女に攻撃しようとしている。
あーそういえば、盾で殴ったヤツは気絶させたまま放置してたんだった。忘れてたよ。
「――よくあることだけど、今じゃないからさ。ゆっくりしててよ」
「へ? っっ!?」
「チッ!! バレてやがっタ――うぎゃァァァッ!! ア、アタシの翼っ!? つばサガァァッ!!?」
いつの間にか右手がフリーになっていたので、引き抜いたダガーでもって肩口を切り裂くと、その先がボトリと落ちた。
あちらの動きが緩慢だったこともあって、僕の攻撃の方が先になったね。
「翼? へぇー、腕じゃなくて翼って認識なんだね、なるほどー。
あ、ごめんごめん。まだ生き残りがいたの見落としてたよ。すぐに、片付けるからね?」
片方とはいえ翼を落とされたハーピーは、逃げることも出来ずその場でのたうち回っている。
まともに動けないみたいだね。そんなに痛かったのかな?
可哀そうだし、速く止めを刺してあげよう……って待てよ? ハーピー……それに羽、何か忘れてるような……あっ、そうだ。
「この羽毛の下がどうなってるのか、調べようと思ってたんだった。すっかり忘れてたよ~」
まずはハーピーのお腹の上くらいに馬乗りになって、動けないように固定してっと。
下手に暴れると砂とかで汚れちゃうから、こうして予防してあげないとね。
「はぁはァ、ぐゥ……ッ。なに、やってやがるゥ? 殺すつもりなら……ぅゥ、さっサと――ひぎゃウッ!?」
「おっ、意外とぷるぷるな肌だねぇ? これは、もっと毟りたくなっちゃうなぁ」
胸に当たる部分を覆う、ふわふわな羽毛を引っこ抜くと綺麗な肌があらわれた。
ちょっと赤くはなってるけど、普通に女の子の肌してるよ。
やっぱり、ベースはメスなのかな?
「ナニしやがア゛ァッ!? ぶ、ぶっこロスヴゥゥッ!? やめ、やめロォォォ……ッッ!!」
「えいしょ、えいしょ。ふむふむ……二つの膨らみも、ちゃんと柔らかいな」
羽毛の分がかさ増しになってるから、想像してたのと比べればボリューム面が若干残念だけど、なかなかに悪くないよ~。
さてと、上は堪能したから、次は下を確かめないとね。
徐々に彼女の体を降りていく手が、一際フカフカな羽毛に辿り着き……。
「……ひゅぅ……ヒュゥ。ッ!? マ、まってェ……そこはダ――ピギィィィッ!?」
「うん、こっちも見た目は女の子だね。ではでは、手触りを確かめさせてもらおうかな……」
顔を出した肌色部分の外観は僕のそれと大差がないし、これ以上の行為は必要ないのかもしれない。
けれど、ここまできたら中身を確認しない方が失礼ってものだよね!
ということで再び手を伸ばしたところで、重大な事を思い出させてくれる声がした。
「あ、あんた……ハーピーに恨みでもあるの?」
「いやだなぁ~。恨みなんてあるわけない……っ!!?」
し、しまったーっ! ニコラがいるって事を忘れて、欲望に忠実になり過ぎちゃったよ!!
……ま、まぁ、仕方ないよねー? 誰だって、目の前にほぼ全裸の女の子がいたら、色々したくなっちゃうでしょ?
「えぇぇ……、ないの? 恨みがない割には、やることエグくない……?」
「(いっそのこと、"恨んでる"って言っておけば解決してたかもじゃんね……)
えーと、羽を毟ってたのは……そうっ! この羽ってすごいふわふわでしょっ?
だ、だからこれ、素材として換金しようと思ってね?」
自分で言っておいてなんだけど、無理があるかなぁ。
胸と股間の羽毛だけ毟り取るだなんて、どう考えてもおかしいもの。
「人間って、ハーピーの羽も使うものなのか…………」
え、ホントに信じたの? ……引いてはいるけど、一応納得したって顔してるね。
よし。人間全体に誤った認識を持ったかもしれないけど、代わりに僕個人へのダメージは最小限になったね!
「あたしも手伝うけどさ……せめて、楽にしてやりなよ?
悲鳴聞いてたら、つらくなってきたわ……」
「あー。うんうん、そうだよね~。可哀そうだもんね~?
パッて止めを刺してあげるのが優しさ……って、あれ? もう死んでない?」
動かなくなったなーとは思ってたけど、いつの間にか生命反応が消えてるね。
酷い出血だったから、たぶんこれが原因かな? ま、ちょうど良かったよ。
――最後に。
僕が確認した範囲では全員がメスだった事を付け加えて、今回の依頼については終わりになるね。




