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異世界王国と放浪少女と百合  作者: 山木忠平
2章 商人と親子
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パーティ結成 9

「な、なにか飛ばした……? アイリス、いま何したの? 速すぎて見えなかったんだけど」



 地面に倒れ動かなくなった十数匹のハーピーを前に、呆然とした様子のニコラが呟いた。

 え? 見えない程速かったかな? 確かに、割とスピードは出てたけどさ。



「さっきと同じで、アイスショットの魔法を使っただけだよ? ほら、当たったところの周辺が凍ってるでしょ?

 あ、彼女達動きが速かったから、避けられないように速度を上げる工夫はしたよ」


「そ、そう……。ごめん、一瞬のことで頭が追いついてないわ……」



 ふむ。どうやら死ぬ覚悟までしたのに、呆気(あっけ)なく助かっちゃったから混乱してるみたいだね。

 ここは落ち着いて考えられるように、ゆっくりと会話を楽しむのがいいかも。



「とりあえずさ。あたしたち……助かったんだよね?」


「だね。襲って来たハーピーはほとんど倒したし、生き残ったのも逃げて行ったから、もう安全だと思うよ」


「そっか……助かったんだ。――よ、よかった~~~っ!」



 彼女は気が抜けたのか、へなへなと地面に座り込んでしまった。

 何というか、安心し過ぎて魂が抜けたみたいな顔してるね。



「あはは。大袈裟だな~」


「全然、おおげさじゃないからなぁー? 本当に、死ぬかと思ったわ……」


「まあまあ、死ぬくらい――」



 その時、ニコラの背後で動く不穏な影が一つ目に入った。その影は大きな鉤爪を振り被り、無防備な彼女に攻撃しようとしている。

 あーそういえば、盾で殴ったヤツは気絶させたまま放置してたんだった。忘れてたよ。



「――よくあることだけど、今じゃないからさ。ゆっくりしててよ」


「へ? っっ!?」


「チッ!! バレてやがっタ――うぎゃァァァッ!! ア、アタシの翼っ!? つばサガァァッ!!?」



 いつの間にか右手がフリーになっていたので、引き抜いたダガーでもって肩口を切り裂くと、その先がボトリと落ちた。

 あちらの動きが緩慢(かんまん)だったこともあって、僕の攻撃の方が先になったね。



「翼? へぇー、腕じゃなくて翼って認識なんだね、なるほどー。

 あ、ごめんごめん。まだ生き残りがいたの見落としてたよ。すぐに、片付けるからね?」



 片方とはいえ翼を落とされたハーピーは、逃げることも出来ずその場でのたうち回っている。


 まともに動けないみたいだね。そんなに痛かったのかな?

 可哀そうだし、速く止めを刺してあげよう……って待てよ? ハーピー……それに羽、何か忘れてるような……あっ、そうだ。



「この羽毛の下がどうなってるのか、調べようと思ってたんだった。すっかり忘れてたよ~」



 まずはハーピーのお腹の上くらいに馬乗りになって、動けないように固定してっと。

 下手に暴れると砂とかで汚れちゃうから、こうして予防してあげないとね。



「はぁはァ、ぐゥ……ッ。なに、やってやがるゥ? 殺すつもりなら……ぅゥ、さっサと――ひぎゃウッ!?」


「おっ、意外とぷるぷるな肌だねぇ? これは、もっと(むし)りたくなっちゃうなぁ」



 胸に当たる部分を覆う、ふわふわな羽毛を引っこ抜くと綺麗な肌があらわれた。


 ちょっと赤くはなってるけど、普通に女の子の肌してるよ。

 やっぱり、ベースはメスなのかな?



「ナニしやがア゛ァッ!? ぶ、ぶっこロスヴゥゥッ!? やめ、やめロォォォ……ッッ!!」


「えいしょ、えいしょ。ふむふむ……二つの膨らみも、ちゃんと柔らかいな」



 羽毛の分がかさ増しになってるから、想像してたのと比べればボリューム面が若干残念だけど、なかなかに悪くないよ~。


 さてと、上は堪能(たんのう)したから、次は下を確かめないとね。

 徐々に彼女の体を降りていく手が、一際(ひときわ)フカフカな羽毛に辿り着き……。



「……ひゅぅ……ヒュゥ。ッ!? マ、まってェ……そこはダ――ピギィィィッ!?」


「うん、こっちも見た目は女の子だね。ではでは、手触りを確かめさせてもらおうかな……」



 顔を出した肌色部分の外観は僕のそれと大差がないし、これ以上の行為は必要ないのかもしれない。


 けれど、ここまできたら中身を確認しない方が失礼ってものだよね!

 ということで再び手を伸ばしたところで、重大な事を思い出させてくれる声がした。



「あ、あんた……ハーピーに恨みでもあるの?」


「いやだなぁ~。恨みなんてあるわけない……っ!!?」



 し、しまったーっ! ニコラがいるって事を忘れて、欲望に忠実になり過ぎちゃったよ!!

 ……ま、まぁ、仕方ないよねー? 誰だって、目の前にほぼ全裸の女の子がいたら、色々したくなっちゃうでしょ?



「えぇぇ……、ないの? 恨みがない割には、やることエグくない……?」


「(いっそのこと、"恨んでる"って言っておけば解決してたかもじゃんね……)

 えーと、羽を毟ってたのは……そうっ! この羽ってすごいふわふわでしょっ?

 だ、だからこれ、素材として換金しようと思ってね?」



 自分で言っておいてなんだけど、無理があるかなぁ。

 胸と股間の羽毛だけ毟り取るだなんて、どう考えてもおかしいもの。



「人間って、ハーピーの羽も使うものなのか…………」



 え、ホントに信じたの? ……引いてはいるけど、一応納得したって顔してるね。

 よし。人間全体に誤った認識を持ったかもしれないけど、代わりに僕個人へのダメージは最小限になったね!



「あたしも手伝うけどさ……せめて、楽にしてやりなよ?

 悲鳴聞いてたら、つらくなってきたわ……」


「あー。うんうん、そうだよね~。可哀そうだもんね~?

 パッて止めを刺してあげるのが優しさ……って、あれ? もう死んでない?」



 動かなくなったなーとは思ってたけど、いつの間にか生命反応が消えてるね。

 酷い出血だったから、たぶんこれが原因かな? ま、ちょうど良かったよ。



 ――最後に。

 僕が確認した範囲では全員がメスだった事を付け加えて、今回の依頼については終わりになるね。

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