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異世界王国と放浪少女と百合  作者: 山木忠平
2章 商人と親子
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パーティ結成 3

 パーティ登録を済ませた僕達は、その流れでテキトーな討伐依頼を受けて、街の近くにある林の中へ移動していた。

 道と呼べるようなものは存在しないが、地面が平坦で木々も(まば)らのため苦労なく歩くことが出来る。


 なんだか森林浴にでも来たのかなってくらい落ち着いた気分になっちゃうなぁ~。

 まぁ場所の問題というより、討伐対象が見慣れたアレだからって感じもするけどねー。



「そういえばさぁ、ニコラって早くランクを上げたいんじゃなかったっけ?

 それならゴブリンよりも、もっと強いモンスターの依頼を選んだ方が良かったんじゃないの?」


「あー……まあ、そういう考えもあるけどな…………。

 こ、今回は、互いの実力を知るためだからぁ? 軽く肩慣らし程度のヤツを選んだってわけよっ」



 ふーん、思ったよりも慎重なタイプの()みたいだね。

 パーティ結成するも無茶な依頼を受けて即壊滅の危機!? ――みたいな展開にはならなそうだねー。



「そ、そんなことよりっ! あたしは、あんたがEランクだったことに驚いたけどね……っ!」


「ん? そうかな? でも、Eランクなんて簡単になれるってー。

 いやむしろ、ちゃちゃっとDとかCまで上げちゃお~」



 パーティ登録した時、最後に冒険者プレートを提示させられたから、その時にプレートの色の違いに気付いたんだろうね。

 ちなみに、ニコラのランクはFだったよ。何の驚きもないね。



「はぁ、気楽にいってくれるよね……。

 そうだ、得物を確認してなかったわ。あたしのはもう見えてるけどコレね、ウォーハンマー」



 そう言って手に持ったのは、工具箱とかによく入ってるハンマーを何倍にも大きくしたようなものだ。


 エモノ? 今回の獲物はゴブリン……ってことじゃないよねー。

 ハンマーとか言ってるし、武器のことなのかな?



「んーと、ボクのはコレかな」


「ナイフ……じゃなくてダガーか。

 それにバックラーも装備してるけど、割と軽装だよな……ってことは野伏とか?

 ギルドで気配消してたのはなかなかだったし」



 そういえば、今回はクラスどうしようかなぁ。


 回復担当は楽ではあったんだけど、二人だけなのに回復専門ってわけにはいかないよねー。

 うーん、いま急いで決めると後で後悔するかもしれないし、とりあえず保留にしておこっと。



「まあ、そんなところかなー。ニコラのそれは……重くないの? 大丈夫?」


「ふふん、あたしらドワーフは力持ちなんだよ。これくらいなんてことないってね!

 ……なんで、今後は子供扱いしないように。いいな?」



 自分の上半身くらいある武器を軽々と持てるんだから、彼女の言う通りなんだろうね……でも、ふふっ。

 態度は背伸びしたい年頃の子って感じがして、和むな~。



「……その笑顔なんか気になるけど、いまは置いとくわ。

 でさ。さっきから迷いなく歩いてるけど、どこか目指して進んでるわけ?

 もしかして、ここのこと詳しかったりする?」


「ううん、全然詳しくないよ。ここに来たのも初めてだしね。

 えーと、何と言うか……勘かな? なんとなーく、こっちの方にいるって感じるんだよ」


「なんだよ、勘かよ……。期待して損――」


「あっ、ほら見えてきた」



 (ライフディテクト)が教えてくれる地点に近付いたことで目標を視認した。


 ゴブリンは群れで行動するから、生命反応が集まってるところに行けば大抵見つけられるんだよね。

 もし違ってても次の候補を探せばいいやー、くらいの考えでも一発だったよ。



「え、どこ? 何もいないけど?」


「いやいや、あそこにいるアレ絶対そうだって……まだ遠くて見えにくいのかな?

 ま、もっと近付いてみれば分かるよ」



 ということで、僕の指差す方向へさらに進んでいくと……



「まさか、あれがそうなのか? 少し背の高い草……じゃないか、動いてる。

 ああ、たしかにゴブリンだわ。あんた、目がいいんだね」


「ま、まぁねー」



 ……変に思われたかも? いや、これくらいだったら平気かな。


 つい忘れちゃうけど、この体の身体能力って異常に高いんだよねぇ。

 実際に歩いてみると、かなり遠くから見えていたことが分かったよ。



「じゃあ、目標も見つけた事だし早く倒しちゃおうか~」



 さてと、ちょっとぶりのゴブリン戦の開始だね。

 実力を知りたいってことだから、僕も少しくらいは戦わないといけないかな。



「だ、だな。だけど数が多い……? ――いやいや、やるんだよっ、あたし……っ。やらなくちゃ……っ!」



 なんか彼女、繰り返すように呟いてるね。

 この感じ、もしかしてゴブリン戦は初めてだったり?


 んーまぁ、たかだかゴブリン程度だし、今回はこのまま僕が先頭でやるかー。



「な、なぁ? そろそろこっちもバレるんじゃない?

 ……何か作戦があるんだよね? だから、そんな散歩するみたいに無警戒に進めるんだよねっ??」


「あー作戦ね、そうだなぁ。

 えと、相手はただのゴブリンだし、"近づいたら攻撃する"でいいんじゃない?」


「ばっ!? このまま突っ込むだけっ!? ま、まって待って!! あんた正気なの……!?」



 さらに進もうとしたら、ニコラに慌てて止められた。

 ふむ。彼女はやっぱり慎重派みたいだね。



「あのねぇ、今まではそれでなんとかなっていたのかもしんないけどっ! そんなもの運がよかっただけだからなっ!

 無策で突っ込んでたら命がいくつあっても足りないわ!」


「そう? うーんと、じゃあどうしよっか?」


「……ま、まずはそうだなぁ……。

 か、観察してみるとか、どう? そうすれば、何かひらめくかもしれないっ」



 なるほど観察かー。僕も初めはそんなことしてたような、してなかったような?

 とりあえず、そこらの草に隠れて眺めてみよっと。


 えーっと、色は全員普通の緑色だね。

 それで、こん棒を持ってるのが十匹に、弓を持ってるのが三匹、それと――



「ねえ、あのデッカイ亀の甲羅みたいなのは何だろう? ニコラは分かる?」


「あれは……スタークトータスじゃないか? そうか、ゴブリンどもはあいつを狙って集まったのかも……」



 ゴブリン達は、ニコラがスタークトータスと呼んだ甲羅をガンガン叩きながら喚いている。

 そっちに集中してるから、こっちの方は全然見ないね。



「スター……その亀、ずっとゴブリンに攻撃されっぱなしだね。甲羅の中からは出てこないのかな?」


「あたしもそこまで詳しくないけど、スタークトータスは敵が近づくとああやって甲羅に閉じこもってやり過ごすって、聞いたことがあるな」



 ふーん、なんか亀がいじめられてるなんて童話みたいだよね。

 助けたらいいとこに連れて行ってくれるのかな?


 ああでも、あれはウミガメの話で、これはリクガメだからダメかー。



「そうなんだ。それで、観察してみて何かひらめいた?」


「うっ。今のところ何も……。あ、あんたはどうなのさ?」


「ボクも特には。でも、あの亀に夢中なってるし、このまま近くまで行っても案外気付かれないんじゃない?」


「奇襲できるってこと? 悪くはないけど、ちょっと予想が楽観的過ぎ……って、まだ話してる途中なんだけど!?」



 まだ何か言っているけど、彼女はきっと後押しして欲しいと思ってるんだよ!

 だから、ちょっと強引な手段でも戦闘開始しちゃうのが正解だね。


 ……決して、ゴブリン程度の事で頭を使うのがメンドーになったからじゃないからね?



 というわけで歩き出した僕の後ろに、小さなドワーフの気配をしっかり感じてるよ。



「一緒に来てくれるってことはボクのこと信頼してくれてるってこと? 嬉しいな~」


「う、うっさい! 気づかれるだろ!? 黙って進め……っ!」



 そういう二コラの方が、声は大きいと思うけどね。


 ま、<隠密>スキルくらいは使っておこうかな。

 彼女も一緒にかけておけば、発見されずに近寄れるでしょ。

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