パーティ結成 1
翌日、僕は冒険者ギルドにある大きな掲示板の前にいた。
そこには所狭しと依頼書が貼り付けられており、冒険者ランクなどの条件をクリアする依頼を受けることが出来る。
僕が探している隊商護衛依頼も数件あって、条件も先日受けたものと同じようなものだった。
結局この前は、ノラ達の好感度を上げる事がメインになって、商人はそっちのけで終わっちゃったんだよねぇ。
あ、それが悪いとかは全く思ってないよ? おっさんと美少女がいたら、美少女の方に行くのが当然でしょ~。
だからまぁ、もう一度受けてみてもいいと思ったんだけど……うーん、どうしようかなー。
このまま受けたってさぁ、次もたぶん商人に興味持てないよ……。
――いや、そうか。おっさんの商人から依頼を受けるからダメなんだよ。
美少女な商人の依頼を探せばいいじゃん!
「って、依頼人の外見に関する情報なんてどこにも書いてないよねー」
行き先とか必要なランクとか報酬の額とか、注意事項とか……。
はぁ、どうでもいいことは書いてあるのに、重要なことが抜けてるよこの紙切れ。
あーあ。やる気なくなったし、もう宿に帰って寝ようかなぁ。
それで、夜になったら昨日の酒場に行ってみよ~。
ずっと料理担当だったカルラは顔も見れなかったし、今日は会えるといい――。
「いいじゃんか! 仲間は多い方がいいだろ?」
と、この後の予定を考えながら出口に向かっていたら、少女の大声が聞こえたきた。
声のした方には、小学生くらいの少女と四人の若い男達がいる。
今の声はあの娘のものみたいだ。
仲間どうのって聞こえるから、彼らのパーティにでも入りたいのかな?
ふむ。周りの冒険者達は見てるだけで、止めるつもりはないみたいだね。
というか見世物になってるし、じゃあ僕も見物させてもらおっと。
「あー分かった分かった。だがワリィけどよ俺達、ガキのお遊びに付き合ってやれる程暇じゃねぇんだ。
冒険者ごっこがしたいなら、広場で遊んでるガキ共でも誘ってくれよ」
「……ガキって、あたしのこと言ってんの?」
どう見ても子供にしか見えない少女は、男の言葉に不満そうだ。
きっと背伸びしたい年頃なんだろうねー。
でも、赤紫色の髪をサイドテールにしてるところなんて、幼さが強調されてむしろ可愛さアップだと思うけどなぁ~。
「お前に決まってんだろ。他に誰がいるんだよ?」
「はぁ、人間ってヤツはどいつもこいつも……ハイ、まずはコレ見て。
耳の先、尖がってるでしょ? で、この小柄な体型。もう理解できたと思うけど、あたしはドワーフなの。
だからガキじゃないし、てかあんたらより長く生きてると思うよ?」
あホントだ。エルフみたいに耳が長いわけじゃないけど、先の方が尖ってるね。
んーと……? ドワーフの特徴ってそれだけ?
もうちょっと異種族感が欲しいなぁ、とか思わないでもないけど……髭モジャよりは、こっちの方が可愛いか。
「ドワーフか……。おい、どうする? 入れてやるか?」
「……俺達五人で十分じゃないか? あまり多くなっても、連携が取り辛くなるだけだぜ?」
相手がドワーフだと分かったことで迷いが生じたみたいだけど、結果は変わらなかったみたいだ。
うーん、何か反応が微妙っぽい?
エルフと比べると、ドワーフはそこまで特別感ないらしいね。
アレ? "五人"? ……ああ、ホントだ。
四人しかいないように見えてたけど、彼らに囲まれて見えてなかった位置にもう一人いたよ。
「ですねぇ。リーゼもぉ、パーティメンバーはこのままがいいですぅ。
あんまり多くなっちゃいますとぉ、みんなのことを深く知れなくなっちゃいますからぁ」
「っ! そ、そうだよね!
リーゼちゃんのいう通り、まずはお互いのことを知ることが大事だよな! なっ、みんなっ?」
「ああっ」「だよな~」「うんうん、俺も賛成!」
まるで砂糖菓子のような甘ったるい声が聞こえたと思ったら、四人の男達はその言葉へ即座に同調し出した。
声の感じからするともしかして――うん、思った通りだ……! 五人目は可愛い女の子だね~。
少し立ち位置を変えてみれば、ピンクのふわっとした髪をツインテールにした少女が男達の中心に立っていることが確認出来た。
周りの男達より頭一つ分小さいために、完全に隠されていたようだ。
冒険者というより、普通に街中を歩いていそうなおしゃれな女の子……ガーリッシュって言うのかな?
そんな服装をしてる。なんとなく庇護欲を掻き立てられる娘だね。
「そ、それも一理あるけど、一人くらい増えても変わんなくない? だからさ――」
「あのぉ、準備もしたいですしぃ、これからみんなでお買い物に行きませんかぁ?」
「ああ、もちろん行こう! ……あ、荷物持ちなら俺に任せてくれよ? 力には自信あるんだぜっ」
「――は? えっ、ちょっと待てって!?」
そして、話の途中にもかかわらずに置いて行かれるドワーフの少女。
彼女の加入交渉は見事に失敗したっぽいね。




