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異世界王国と放浪少女と百合  作者: 山木忠平
1章 終わりと始まり
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救出作戦 2

 ――2日前、『ルンプ商会』訪問日の夜、同商会地下にて。



「思った通りだ。やっぱり、ここにいたんだね」



 重厚な鉄格子で区切られた牢屋の1つには、輝くような銀髪に(あで)やかな濃褐色の肌を併せもった美少女が眠っていた。


 大まかな顔立ちがカルラ達に似ていることや、エルフの特徴である耳が長いことから考えて、彼女がラドミラで間違いないだろう。



「『発育の良い体』か……、たしかにいい身体してるよね。

 あの2人じゃなくて、この娘が狙われたのも納得だぁ」



 彼女は背丈が大きいというのもあるが、要所要所の肉付きが良く……いや、より直截(ちょくせつ)的にいってしまえば男好きする体をしている。

 何より一番に目がいくのはその豊満な胸だ。


 アレの感触は絶対にぽよんぽよんだね。


 片方の手で自分の胸を揉みながら、もう片方の腕で彼女の胸を揉む想像をすれば、まるで本当にあの大きな胸を揉んでいるような気分になってくる。

 牢屋の中に入って、本当に揉んでやろうかな……。



 ん? ああ、僕がこんなところにいる理由を説明しないとだよね。


 とはいっても簡単な話で、商会を見つけた時には生命反応が建物の地下部分にもあることが分かっていた。

 なので、たぶんここに捕まってるんじゃないかなー、と考えて探しに来ただけだよ。


 マップウィンドウには地下を表示する機能もあったから、それと合わせれば詳細な地下の構造も分かるし、それで各種の隠密向け魔法やスキルを使ったら楽に侵入できちゃった、という感じだね。



(たず)(びと)は見つかったわけだけど……この娘をただ連れ帰るだけじゃ面白くないよね?

 どうしようかなぁ~……、うん? 足音? 誰か来たみたいだ」



 まぁ足音も何も、この建物内にいる人間の位置くらいすべて把握してるんだけどね。


 聞こえてくる足音と話し声から言って、2人組の男みたいだ。

 とりあえず様子見しておこうっと。



「……よく眠ってやがるぜ。こいつ、自分の状況が分かってんのか?

 後、2日もすれば売られるっていうのによぉ」


「誰もこいつに教えてねぇんだから、分かるわけないだろ。

 それに売られるとはいえ、行き先は伯爵様のお屋敷だしな。

 もしかしたら、俺達みたいな庶民よりもずっといい暮らしが待ってるかもしれねぇんだぜ?」


「伯爵様かぁ~、いいご身分だよな。

 街娘だろうがダークエルフだろうがすべて自分のもんってか? 俺もなってみたいもんだぜ。

 ……あ゛あ゛っ、考えたらムシャクシャしてきたっ! 売られる前に、こいつの口に突っ込んでやろうか!!」



 突っ込むか……そういえば僕って、その突っ込むモノも無くなったんだよね。

 いつの間にか、そんなことも考えなくなっていたことに気付いた。


 でも、それがあることを羨む気持ちもほとんどないし、いまさら欲しいとも思わないや。

 偶に、ほんとたま~にあったらいいなって思う時もあるけどね。……隣でカルラが寝てる時とか。



「ハハッ、そいつはいいな。

 そうすりゃ、お前の汚ねぇムスコと一緒に首も飛んで、貴族様に生まれ変われるかもしんねぇぞ?」


「……はぁぁ、笑えねぇ」


「おら、馬鹿言ってねぇで、ギュンター様にこの経路マップ届けんぞ?

 早く返さねぇと何言われんか分かったもんじゃねえからよ」



 んん? 経路マップって、なんだろ? <デュプリケーション>っと。


 見た目はこの人が持ってるものと変わらないけど、たぶん中身も複製出来てるのかな?

 えっと、中身は……ふむ、マップというくらいだから地図だね。


 いやでも、いくら何でも簡略化し過ぎじゃないかな?

 大雑把な目印の情報に、これは休憩ポイントで……後は大きなミミズみたいな線がある。


 だけど、そのミミズの両端に"ブルトハルク"と"レーヴ"という文字が書いてあるから、おそらくはラドミラの輸送経路なんだろうね。



 これだけだと何処を表してるのか不明だから、<念写>スキルでマッピングで得た地形情報を印刷してあげれば……あら不思議、詳細な地図の完成だ。


 ふーん、レーヴ伯爵って人のところまではこうやって行くのか。



「へいへい、しっかり働きますよー。ってか、俺達は何でこんな時間まで働かされてんだ?

 こいつを運ぶのは数日後って話じゃなかったか?」


「知らねぇのか? 昼間そいつを取り返そうと乗り込んできたヤツらがいんだよ。

 しかも、恐ろしいほど強いそうだ。たしか……"魔女"に襲われたらしいぜ?」


「はぁ? 魔女……? ああ怖え怖え。

 怖くて、仕事に手がつきそうもねぇから、俺は次の仕事休むわ」


「俺達にその選択肢があればいいがな」



 そんな会話をしながら、2人組の男達は元来た方向に戻って行った。


 "魔女"ねぇ。誰のことだろうね?

 候補は3人、そしてあの時に魔法を使ったのは1人だけ。


 誰のことか絞れそうな話じゃない?



 いいや、一旦それは忘れることにしよう。


 で、話を戻すと、ラドミラの助け方はどうするか、だね。

 それについて、さっき手に入れた地図を見てたらひらめいたことがあるんだぁ。


 アンジェ風に言えば、僕もいい考えが浮かんだって感じかな。



 ということで、僕のいい考えを実行するため、彼女は牢屋に放置してちょっと場所を変えることにしよう。

 はい、久しぶりの<テレポーテーション>!。

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