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異世界王国と放浪少女と百合  作者: 山木忠平
1章 終わりと始まり
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親友探し 3

 僕は一足先に都市の中へ入り、身体検査を受ける2人を待つことにした。

 本当に冒険者プレートを見せただけで、何の検査もなく通ることができるみたいだ。


 それに、何も言われなかったということは、入出記録が厳格に取られているわけではないようだ。

 管理が杜撰(ずさん)なのは心配にもなるけど、これなら転移魔法とかで好きに出入りしても問題なさそうだね。



「なっ、なにするのよっ!?」


「尻を撫でたくらいでそんな怒ん――へぶっっっ!?」



 2人が身体検査を終えて戻ってきた。

 検査に行く前の反応が気がかりだったが、無事ブルクハルトに入れたようだ。


 そして、予想通りといえばいいのか、フランツはカルラにもセクハラをしたらしい。

 ただ、彼女は僕とは違ってビンタをプレゼントしたみたいだね。


 フランツの頬には紅葉のような真っ赤な跡が出来ている。



「さあ、身体検査も問題なしだ。ほら、すきに行け、行け」



 完全に自業自得だったけど、門番に暴力を振るったのは事実だ。

 だから、何か罰があるのかと思ったが、彼はビンタされたことを気にもしていないのか普段通りといった様子だ。


 この手慣れた感じ。

 もしかして、ここを通る女の子全員に同じことをしているのだろうか?



「あのー、最後に聞きたいことが。

 この辺りで人が売買されている場所……なんて、心当たりありませんか?」


「アイリスっ!?

 こんな変態オヤジに尋ねることないわよっ!!」



 完全に頭に血が上っているな。

 彼女に非はないけど、今は我慢してもらおう。



「まあまあ、そう怒らないで……。地元に詳しい人の協力を得られた方が、きっと早く見つかるよ」


「奴隷市場のことか?

 一番手近なのだったら、この道をあっちに行って…………。

 目印がないと説明がメンドイな……ああ、あれだ。

 あの冒険者ギルドを、さらに先に行ったとこにある広場だ」



 なるほど、奴隷市場ね。この国には奴隷制があるようだ。

 誘拐した人をお金に換えるにはうってつけといえる場所じゃないか。


 冒険者ギルドの先というと、マップウィンドウだとここかな。

 メモしておこう。



「あの辺りなら奴隷は買えるが……。

 エルフが人間を買いにこんなところまで……? いや、ねえか。

 まさか、目的の奴隷はエルフ、か?」


「……ええ、そうです。

 この娘たちの友達が誘拐されて、この国に連れ去られたそうなんです。

 なので、奴隷として売られ――」


「待てっ! それ以上は勘弁だ。

 俺はただの門番。そいつは管轄外だからよ」



 ずっと飄々としていたフランツの態度が変わった。

 エルフの奴隷に何かあるのだろうか?



「助け出すことまで頼む気はないのですが……。

 そんなに慌てること……なんですか?」


「おいおい、当然だろ?

 同盟結んでる国から奴隷目的で誘拐なんてな。獣人なら問題ねえが、エルフじゃあなぁ……。

 そんなことしたヤツは死罪確定だ」



 この国とエルフの国とは同盟関係。それに、犯人は死罪を承知で誘拐を行った?

 ……前者は、いまは置いておくとして。後者は犯人に繋がりそうな情報じゃないか。


 なんて、それっぽいことを考えたけど、これだけだと何も分からないね。



「まともなヤツならそんなことはしねぇだろ。てぇことは……。

 ともかく、俺はそんな面倒事には関わりたくもねえ。

 お友達を助けたいのは分かるが、嬢ちゃん達も引き際は大事にした方がいいぜ?」


「そうですか。情報ありがとうございます。

 それじゃあ2人共、その奴隷市場ってところに行ってみようか」


「……ええ、そうね」「……は、はい」



 奴隷市場の場所が聞けただけでも十分だ。まずはそこに行って情報収集かな。




 ***




「ほんっっっと! 最低なヤツだったわねっ!!」



 フランツが見えない位置まで来くると、カルラの怒りが爆発した。

 彼と話している間、ずっと溜め込んでいたんだろう。



「そうだよね……。でも、身体検査のときは助かったかも。

 ごめんね。カルラちゃんにばかり負担かけちゃって……」


「……アンジェが謝ることじゃないでしょ。

 悪いのはアイツよ。もう一発くらい殴っておけばよかったわ!!」



 結局、身体検査は何が気がかりだったのだろう……? さっぱり分からないな。


 こういう時、女の子の相手は僕には務まらないし、アンジェがいてくれて助かった。

 やっぱり同性じゃないと分からないこともあるよね。


 って、今は僕も同じ女の子だったか……。



「行き先、勝手に奴隷市場に決めてしまったけど、それでよかったかな?

 ボクは用心棒だから、2人にどこへでもついて行くよ」


「ええ、あたし達はそれで構わない……のだけど、冒険者ギルドがその途中にあるんでしょう?

 寄らなくていいの? それくらいならあたし達だって待てるわよ」



 冒険者ギルドか。いまはオーガの討伐報酬をもらうとか、そんな緊急性の低い用しかないな。

 でも、そう提案してくれたってことは、冒険者というのはギルドへ頻繁に寄るものなのだろうか?



「ああ、うん。じゃあその言葉に甘えようかな。

 少しだけギルドに寄らせてもらうよ」



 それにしても、僕のことを気遣った提案をしてくれるなんて、彼女は意外に冷静だったのかもね。

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