表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界王国と放浪少女と百合  作者: 山木忠平
1章 終わりと始まり
23/134

親友探し 2

「おう、あん時の嬢ちゃんか。今日は『黄金の盾』と一緒じゃねえんだな?」



 2人のエルフと一緒に、ブルクハルトの城門前まで帰って来た。


 転移魔法が使えることは隠しておきたいから、徒歩での移動になったが体感時間としてはそこまで長く感じなかった。

 これは体が全然疲れないのもあるけど、美少女なエルフが2人も一緒だったからかな?



「ええまあ、そうですね。ノラさん達とは、あの後すぐに別れましたから」


「そうなのか? おいおい、お前さんそれなのに街の外へ出たのかよ……」



 この人は確か初めてブルクハルトに来た時にいた門番だったはず。

 僕がノラ達と一緒だったことも知っているし、たぶん間違ってはいないだろう。


 朝、城門を出る時は会った覚えが……ああ、うん、違うか。

 街を出る時はテレポーテーションの魔法を使ったんだった。


 あれ、これって入出記録みたいなものがあったら不味いよね……?



「ねえ、この人やけに馴れ馴れしいけど、アイリスの知り合い?」



 門番の言動が気に障ったのかカルラは不機嫌そうだ。



「知り合い、というほどでもないかな。

 ここで門番をしてる人だから、通った時にちょっと面識を持った程度だよ。

 名前は確か……、フ、フラ……」


「そういや、名乗ってはなかったか?

 俺はフランツだ。ここに住むならこれからも顔を合わせることになるんだ。よろしく頼むぜ。

 だが、ひでぇな。俺はお前さんのこと覚えてるぜ。アイリスちゃん、だろ?」


「あはは、覚えてくれてたんですね……。こちらこそよろしくお願いします。フランツさん」


「ああ、そりゃあ覚えてるとも。

 初めの印象が強かったってのもあるが、お前さん顔は結構な美人だからな。

 ま、俺の好みとはちいっとばかり違うけどな」



 フランツは「胸も尻も足りねえんだよなぁ」とか言いながら、一人で盛り上がっている。

 不要な情報を得てしまった……。早く頭から消し去っておこう。



「あなたの話はいいから、早くここを通して」



 不機嫌さを隠そうともせず、カルラは門番に詰め寄り出した。


 アンジェは、そんな彼女の陰に隠れている格好だ。

 門番はガサツな感じだし、怖がれているんだろう。



「あ? ……ああ、そうだな。

 ええと、お前らはアイリスちゃんのお友達ってとこか?

 それじゃあ身分証なんて持って……ねぇよな」



 僕の友達だから身分証を持ってないって……。

 決め付けるのは、ひどくないだろうか?



「身分証というのは知らないわ。

 けれど、これを見せればいいんでしょう? はい、後これも見て」



 そう言うと彼女は小さな紙を取り出した。

 また、アンジェも一緒になってフードを脱ぎ、自分達の長い耳を見せている。



「その耳、エルフかよっ! 珍しいな。……この入国許可証も問題なさそうだ。

 なんだ嬢ちゃん、エルフのお友達なんていたのかよ。

 ……ああ、このエルフ達に護衛でも頼んだのか?」


「? 何を勘違いしてるのか知らないけど、あたし達がアイリスに護衛を頼んだのよ。

 第一、彼女に護衛なんて必要ないでしょ?」


「はぁ? 護衛を頼んだ? この嬢ちゃんにか……?」



 そうだよね。やはり、この体の容姿は守られる側って感じがするよね。

 ここまでの経緯を知らなければ、僕も同じように不思議に思っただろうね。




「……ええ、まあ、彼女達の護衛です。

 それにボクも冒険者になったんですよ。あっ、これ、冒険者プレートです」



 こんなので信用されるのかは分からない、というか別に信用される必要もないんだけど、冒険者プレートは提示しておこう。

 これって身分証代わりにもなっているみたいだからね。



「マジかよ……。本当に冒険者プレートじゃねえか。

 ランクはまぁ、妥当だろうが。冒険者なんて、どう見ても向いてないと思うがな……。

 どうせ、レオノーラに憧れてってやつだろ? そんな甘いもんじゃねえぞ。冒険者は」



 さすがはノラだね。また彼女に憧れて冒険者になったと思われてしまった。

 きっかけは確かに彼女だし、間違ってはいないのかな。



「そ・れ・でっ! 許可証も問題ないのでしょ。ココ、通ってもいいのよね?」


「はぁ。俺が口を出すことじゃねえか……。

 おっと、待て待て。アイリスの嬢ちゃんは問題ねぇが。

 エルフの二人はこっちで身体検査だ」


「し、身体検査ですか……っ!?」



 今まで黙って成行を見守っていたアンジェが、初めて会話に参加した。

 

 そんなに驚くなんて、なにか調べられると困ることが……?

 ……いや、よく知らない男に身体検査されるなんて普通は嫌か。


 女性門番がいたりはしない。異世界のツライところだね。



「(だ、大丈夫よ、アンジェ。バレたことなんてないでしょっ!)」


「(う、うん。そうだよね……。ごめんなさいっ! つい反応しちゃって……)」



 この反応はどう考えても何かある。


 うーん、でも見た感じ彼女達の持ち物は、ゴブリン戦で使っていた弓とか杖くらいなんだよね。

 ……あとはナイフも持ってたか。


 いやまあ、前世では十分アウトだけどね?

 でも、この世界だったらあまり問題になるとは思えないけど……。



「おい、いくらエルフだからって変なもん持ち込むなよ?

 モノ次第じゃあ、最悪、牢屋行きだからな?」


「も、もちろんよっ!!

 あ、あなたが検査と偽って、いやらしいことをするんじゃないか不安になっただけよっ!?」


「……本当だろうな? とりあえず、あっちの詰所に来い。

 そこで、全部調べてやるからよ」



 ところで、通行税については話がなかった。

 フランツも2人が"エルフ"ということを気にしていたみたいだし、エルフ特権とかあるのかもね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ